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夢者  作者: 高島 良
52/119

魔獣ハンターとして22

 映画とかだと、肩かすったり、足を撃たれたりしても死なないものだが、どうやら俺の魔力を帯びた矢は猛毒のようで、残り5人も動かなくなっていた。矢を回収し、傭兵達それぞれの盾と剣を集めて穴を掘る、倒した順に4人目までを埋めて、5人目の所へ移動したが、遺体がない。そうえいば、最後に倒した人以外は脈をみてない、まだ生きてたのか、とっくに日も落ちて視界がきかない。不意をつかれたら終わりだ、とりあえず剣を構える、もちろんたいした意味はないがお守りぐらいにはなる。


「おい、こっちだ。」


 後ろからの声に、振り返り剣を振る。


「おい、あぶねぇな。」

「あ、すいません。」

「すいませんって! 笑わせるなよお前!」


 そういって声をかけてきたのは、5人目の傭兵。木を背に腰かけて、楽しそうに笑っている、見た目は40代ぐらいだろうか、肩当のみの防具からは、立派な筋肉がこれでもかと圧力をかけてくる。右足は自分で止血したのか付け根に紐が巻いてある、しかしまだ血は止まっていない、動かせるのは左腕だけなのか力なく手をふる。


「さっきまで、殺し合いしてた相手にあやまるなよ、調子狂うじゃねぇか。」

「まぁそうなんですけど……。」

「殺す気なかったんだろう? お前の腕なら、頭吹き飛ばせてたろうに、人撃つのは初めてだったのか?」

「はい。」

「そっか、俺らも聞いてなかったよ、足撃たれたら数分でおだぶつ、しかも盾を貫通するなんて。ぼろい仕事だと思ったんだけどな、最後なんてこんなもんだよな。おいおい警戒しすぎだって、心配すんなよ、血が止まらないし、立ち上がる事も出来ないしな、残り数時間ってとこだろ、話し相手になれよ。」

「いや、かなり元気そうだけど。」

「そうでもないぞ、今まで何度も死にかけたからな、分かっちまうんだよ。お前だってそのうち分かるさ、夢者でも死ぬんだぞ。」

「あなたも、そうなんですか?」

「そうだよ、もう50年以上になるから、向こうの事はだいぶ忘れちまったけどな。お前は、まだ一年ぐらいなんだろ?」

「なんで知ってるんですか?」

「そりゃ、仕留めればみんなで引退できるような大物なら、きっちり調べるだろう。まぁ、本当かどうか怪しかったけどな。」

「なぁ、最後まで残ってた奴、酒もってただろう、取ってきてよ。」

「殺しあってた相手にそこまで頼むかな。」

「取ってきてくれたら、こっちの世界でのもっとも重要な秘密を教えてやろう。」

「なんですかそれ、勇者になれる方法とか、魔王の居場所とかですか?」

「いや、酒場の姉ちゃんの口説き方だ。」

「すぐ、とってきます!」


 その後は、笑えない話だった。こっちの世界に来て、鍛冶屋の婿養子になり平和な暮らしが始まったが、栄えてた国を逆恨みして隣国が攻め込できて、目の前で妻が犯され殺され、町ごと焼かれた。それでも夢者のおっさんは死なず、回復後は兵士となり戦争へ、元警官の戦闘力はすさまじく、容赦なく殺し犯しまくった。戦争が終わってからは、傭兵として戦場にでて同じことの繰り返し。加入した傭兵団の棟梁や仲間が何度も入れ替わり、少しずつ護衛や魔物狩りの仕事へと団の方針が変わっていき、戦場にはでなくなり、だいぶ丸くなり滅多に人も殺さなくなった。他にも色々聞いたが、最後に”こんな大人になるなよ”と言うと、さっきまで笑っていたのが嘘のように静かになり、それ以上は話をしてはくれなかった。


 


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