魔獣ハンターとして22
映画とかだと、肩かすったり、足を撃たれたりしても死なないものだが、どうやら俺の魔力を帯びた矢は猛毒のようで、残り5人も動かなくなっていた。矢を回収し、傭兵達それぞれの盾と剣を集めて穴を掘る、倒した順に4人目までを埋めて、5人目の所へ移動したが、遺体がない。そうえいば、最後に倒した人以外は脈をみてない、まだ生きてたのか、とっくに日も落ちて視界がきかない。不意をつかれたら終わりだ、とりあえず剣を構える、もちろんたいした意味はないがお守りぐらいにはなる。
「おい、こっちだ。」
後ろからの声に、振り返り剣を振る。
「おい、あぶねぇな。」
「あ、すいません。」
「すいませんって! 笑わせるなよお前!」
そういって声をかけてきたのは、5人目の傭兵。木を背に腰かけて、楽しそうに笑っている、見た目は40代ぐらいだろうか、肩当のみの防具からは、立派な筋肉がこれでもかと圧力をかけてくる。右足は自分で止血したのか付け根に紐が巻いてある、しかしまだ血は止まっていない、動かせるのは左腕だけなのか力なく手をふる。
「さっきまで、殺し合いしてた相手にあやまるなよ、調子狂うじゃねぇか。」
「まぁそうなんですけど……。」
「殺す気なかったんだろう? お前の腕なら、頭吹き飛ばせてたろうに、人撃つのは初めてだったのか?」
「はい。」
「そっか、俺らも聞いてなかったよ、足撃たれたら数分でおだぶつ、しかも盾を貫通するなんて。ぼろい仕事だと思ったんだけどな、最後なんてこんなもんだよな。おいおい警戒しすぎだって、心配すんなよ、血が止まらないし、立ち上がる事も出来ないしな、残り数時間ってとこだろ、話し相手になれよ。」
「いや、かなり元気そうだけど。」
「そうでもないぞ、今まで何度も死にかけたからな、分かっちまうんだよ。お前だってそのうち分かるさ、夢者でも死ぬんだぞ。」
「あなたも、そうなんですか?」
「そうだよ、もう50年以上になるから、向こうの事はだいぶ忘れちまったけどな。お前は、まだ一年ぐらいなんだろ?」
「なんで知ってるんですか?」
「そりゃ、仕留めればみんなで引退できるような大物なら、きっちり調べるだろう。まぁ、本当かどうか怪しかったけどな。」
「なぁ、最後まで残ってた奴、酒もってただろう、取ってきてよ。」
「殺しあってた相手にそこまで頼むかな。」
「取ってきてくれたら、こっちの世界でのもっとも重要な秘密を教えてやろう。」
「なんですかそれ、勇者になれる方法とか、魔王の居場所とかですか?」
「いや、酒場の姉ちゃんの口説き方だ。」
「すぐ、とってきます!」
その後は、笑えない話だった。こっちの世界に来て、鍛冶屋の婿養子になり平和な暮らしが始まったが、栄えてた国を逆恨みして隣国が攻め込できて、目の前で妻が犯され殺され、町ごと焼かれた。それでも夢者のおっさんは死なず、回復後は兵士となり戦争へ、元警官の戦闘力はすさまじく、容赦なく殺し犯しまくった。戦争が終わってからは、傭兵として戦場にでて同じことの繰り返し。加入した傭兵団の棟梁や仲間が何度も入れ替わり、少しずつ護衛や魔物狩りの仕事へと団の方針が変わっていき、戦場にはでなくなり、だいぶ丸くなり滅多に人も殺さなくなった。他にも色々聞いたが、最後に”こんな大人になるなよ”と言うと、さっきまで笑っていたのが嘘のように静かになり、それ以上は話をしてはくれなかった。




