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夢者  作者: 高島 良
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魔獣ハンターとして13

 さくらは眠気に負けて村長に抱き上げられて帰っていき、最後まで酒の強い数人とダラダラと飲み続け、お開きとなった時には、すでに深夜となっていた。村はずれの自分の小屋まで千鳥足で歩く、うん、酔っている、かなり酔っている、自覚しているから大丈夫、そんなに酔ってない。先ほどまでの騒ぎが嘘のように、村は静寂につつまれている、その平和な静けさが不安にさせる。逃げ回る生活も終わり、村人と仲間になれるのだろうか。

 そんな不安の中で小屋につく、誰もいない小屋にただいまとつぶやく。サラリーマン時代と何も変わらない、永遠に一人かもしれないと、このスイッチが入ると、帰り道と部屋について数分が辛い、うずくまり数分で回復するから耐えてくれと、大丈夫だと自分に言い聞かせる。その数分が過ぎ、立ち上がってまだ大丈夫だと、シャワーを浴びて寝る、そんな日々と違い、今は部屋の脇に誰か立っている!

 暗くてよく見えないが、賞金稼ぎだろうか、腰に手を回すが剣が無い……。酔ってどこかに置いてきた、傘じゃないんだから、あっさり忘れるなよ俺。いや、あったとしても勝てる確率は限りなく低い、人影がゆっくりと近づいてくる、細い、思ったより小柄というか、女性だし、あれさっき挨拶した人?


「おかえりなさいませ。」

「は、はい?」


 暗闇から現れた女性は、確かに先ほど挨拶した中の一人、名前は憶えていないが旦那と一緒だったような。そして、薄い浴衣のような物一枚を羽織り、前はとめていない、ほぼ見えてしまってます。


「こんな田舎女でもうしわけございませんが、英雄の労をねぎらわせてくださいまし。」


 そして、ゆっくりと抱きついてくる。そうそう、酔っていたからで、ちょっと寂しい過去もおもいだしたからであって、仕方なかった、そう、仕方なかったのです、意思が弱いのです、いたしてしまった事はしょうがない。

 そしてまた声をかけていただければ、いつでも参ります。などと甘い誘惑の言葉を置き土産に、帰っていく、これはなんだろう?


 翌日も、朝からさくらと狩りにでかける。足跡の説明を受けるが、野生動物は大型だ、アンの小屋近くのも大きかったが、ここいらのはさらに大きい、もうすこし見晴らしがよければ狩り放題なのだが、そんなことよりも。


「なぁ、さくら、闇の血って、飲むと力が増したりするのか?」

「なにそれ? 逆じゃないのかな、毒になるとか数滴で死ぬとか、噂だけど普通の人にはよくない話しかきかないよ。」

「いやいや、それって俺のそばにいると、やばいんじゃないのか?」

「そうだね、でも魔物でも人間でも魔力削るには闇の血が必要だし……。」

「だし、なに?」

「夜すごいんだって! 天の果てまで連れてってくれるんだって、ヒロ期待してるからね!」

「何を期待してるんだよ! 残念ながら迷信だ。」

 

 残念そうな顔を一瞬みせるが、それでもいいよと笑顔をみせ抱きついてくる、本当に10年後に言ってくれ。

 そして、そんな事を期待して昨夜の女性は部屋に来たのだろうか? あきらかに天の果てまでの旅に出られた様子はなかった、暗くて分からなかったけど……、がっかりしてたんだろうか。なんだこれ、めっちゃハードル高く設定されてる感じか、あれの後、ため息とかついてたんだろうか、だとしたら見えなくて良かった、その攻撃は魔物の一撃よりもダメージは大きい。そういえば、手配書にも書かれてたな、なんの試練なんだろうこれ。


 その後も獲物を探して歩いたが、残念なが遭遇せず、成果無しで帰宅。村長宅で飯を食べて部屋にもどる、狩りの成果とはどれぐらいあればいいのだろうか、ただ飯ぐらいは流石に気まずい。せっかく増えた金も使いどころないし、追い出されたりはしないだろうけど、無難に畑仕事手伝った方がいいのだろうか。等々悩みながら部屋にもどると、二人の女性が立っている。

 昨日の女性とは違う、挨拶したような、してないような、何より二人かなり似ている。聞けば姉妹なのだとか、何か要がおありかと尋ねると、労をねぎらいになんて回答が、前日も同じような事があったような、そうそう混乱ですよ、混乱していたのですよ、だってほらしらふの女性に言い寄られることなんて、今までなかったし、酔ってたとしても二人でしかも姉妹なんて、もう混乱ですよ、混乱、そうそう、うんうん。

 

 パチッと、焚火の中で弾ける独特な音と火の匂い、目をあけるとさくらが松明を持って立っている。寝ぼけてすこし反応が遅れたが、危険を察知して起き上がろうとすると、手首と足首にロープが食い込む。これは昼にさくらに教わった、逃げようとすればさらに締まるやつ、ベッドに大の字に縛られ、自分ではほどけない、これはつんだか。


「次はないから、あんたらの旦那、子供も容赦しないからね。」


 さくらの低い怒りのこもった声に、姉妹が反応し、さくらちゃんごめんねーと、ドアを開け走っていく。あの二人も人妻だったのか、もしや俺はそのゾーンが得意なのか。今は、そんな事を考えている場合ではない。極妻へと進化した少女は、ゆっくりとわら束を俺の体の上に置いていく、本気で焼くつもりなのだろうか、松明で照らされた顔は笑っているように見える。慈悲を請うなど、無駄な事に思えてくる。

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