殺人者へ
この溢れてくる感情が、良くないことなのはわかっている。今までの自分を全てを壊す危険があるし、文字通り誰かを壊す、些細な言い訳があれば人を殺す。
少しだけ誰もいないことろへ、落ち着くまで何も心に入れなければ、呼吸を整えてしばらく歩こう。
そんなほんの少しの心の修正も、あっさりと打ち砕かれる。なにやらガタイのいい男が、話しかけてくる、さっぱり何をいってるかわからないし、わかったとしても聞いてやりたくもない。今すぐに殺してやりたい。
しかし、よく考えてみればガタイの良さと腰の大きな刀、相手が一人とは言え屍になるのはこちらのようだ。剣を置いてきたのは、間違いだったか、ケンがせっかく丸腰で歩くなと教えてくれたのに。
ガタイのいいチンピラは、刀に血がつくのがいやなのかぬこうとはしない。さっさと金だせと言っているような気もする、持ってないと伝えることもできないので。しばらくにらみ合いとなる。
さすがに、しびれを切らしたのか、チンピラに胸ぐらをつかまれたので、股間めがけて膝を蹴り上げる。痛みにもだえて、転がりまわってくれるかと思ったのだが、その場に崩れるように倒れる。魔力が守るからダメージは入らないのではなかったのか? 痛みはあるって言ってたから、何度でも急所への激痛を感じることができるのか? こっちの世界の拷問はこれに違いない。
すこし予定が狂ったが、当初の予定に戻ろう、崩れたチンピラから刀を奪い心臓の位置を確かめる。そういえば、刃物を使うのは久々、自分の胸に手をあてて場所を確認する。見られると面倒かと思い、周りを見渡すと、花売りの少女がさっき渡した剣を胸にかかえて走ってくる。
彼女はなにか言いたげだが、伝わらないと分かっているので、なにか考えているようだ。彼女は、先ほど渡した剣を差し出す、とりあえずチンピラの刀を地面において受け取る。これは、この剣のほうが切れるから、こっちを使えてということ? とりあえずそう判断して、剣をぬいて振りかざす。彼女に腕を引かれ、彼女を見ると、顔を大げさに横に振っている。
切れ味の問題では無い、そうなると、これは止めをさしていけないようだ、知り合いだろうか。彼女の顔をみてすこし欲求が収まったとは言え、本能的にチンピラを駆除したい欲求がすべて収まったわけではない。
言い訳することもできないし、勘違いで殺してしまったことに、すこし腕を振り上げる。やはりきずかれたか、また腕を引かれ、さらに力強く顔を横に振り手を顔の前で合わせ目を強くつぶる。
美少女の力はすごい、彼女が止めるならそれでもいいかと思える。剣を鞘にもどし、彼女に渡すと、彼女は、自分の剣を指さし手を振る。そうか、みんなが持っているの見慣れて、特に気にしていなかったが、最初から細い剣を腰にさしていた。そういう意味ではないのだが、またチンピラに絡まれるのも面倒なので、自分のベルトに戻す。
彼女は、深々と頭を下げ手をふる。もったいない、さっきまでの自分がまるで別人に思える、不思議な気持ちだ、さっきの無しでとか言って、押し倒してしまいそうだ。
振り返ると気持ちが揺らぎそうなので、酒場に向かって歩く、酒場に入った時も、まだ後悔していた。




