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夢者  作者: 高島 良
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魔獣ハンターとして8

 また睨みあい、ため息がでる、愚痴が多いと小言を言われそうだ。少し腰を落としてナイフを構える、頭の高さは少し低いていど、4mほど先だろうか、とびかかるにはちょうどいい間合いなのだろう。弓を奪われるついでに、左腕には肘から手の甲にかけて派手な傷ができた、ゆっくりと血が滴っている。長引けばこちらが不利なようだ、そもそも狼相手にナイフ縛りって、飽きたゲームで暇つぶしにやることだろう、冗談でも実際にやるもんじゃない。勝てる要素などほとんどないのに、なぜか恐怖は消え、少し楽しい壊れたのだろうか。

 とびかかれる間合いを相手にくれてやる分けにはいかない、少しずつ間を詰めると、狼は目をそらさず下がっていく、さすがに4本足、しっかりと立っている、つまづいて転んだりはしない。それでも、後ろは見えていない、ゆっくりと木の方へ誘導していく、下がれなければ一瞬でも目をそらすはず。

 尾でも木に振れたのか、横を向きこちらへ首をさらす、狙いを定めていっきに距離を詰める、こちらの刃が届く前に、牙をむき飛び込んでくる。引っかかったのはこちらほうだ、見た目よりもでかい口は胴体をとらえて押し上げ振り回す、波にのまれ天地が分からなくなるように、いまどうなっているのかもわからない。なんどか犬がおもちゃで遊ぶように振り回され、投げ飛ばされ地面を転がる。まだ動ける、すぐに起き上がりナイフを探すが、見つからない。

 狼は先ほどの倍も間合いをとり、こちらを睨んいる、よくみると右側の目の上から出血しているようだ、もっていたナイフが運悪くあたったようだ。片目がすこし見えにくいぐらいでは、力の差はうまらない、目をそらさずに腹を触る、一瞬目線を下げると、振れた感覚通りにべったりと血がついていている。これも魔力のなせる技なのだろうか、血と痛みは食い破られた勢いだが、実際には内臓までは届いていない、守ってくれるなら皮膚の上で守ってほしいもんだ、それと意識とびそうなほどの痛みを止めてほしい。

 ナイフまで取り上げられて、素手でこのデカい狼と戦うのか、口元がゆるみどうやら俺は、薄ら笑いをうかべているようだ。いよいよ無理だな、素手かぁ。素手で熊をたおす奴とかアニメとかだと、そう考えた時、思い出した。ケンに手を切られて、素手で人を殺した、つまり今血のしたたっている左手のこぶしを奴の眉間にたたき込めば、俺の勝ちだ。いくら賢くてもそこまでは知らないだろう、俺ですら忘れたぐらいなのだから。

 こちらがゆっくりと距離をつめると、狼は下がる、先ほどと同じようだが動きが遅い。そうだ、俺の矢に当たったやつは、動きが鈍くなるんだった、ナイフでも同じなのか。しかし、戦ってもあまり経験値としては蓄積されていない、やはりメモは大事だ。

 人間なら、一度うまくいったことは、もう一度やる。ましてや、唯一の反撃となったナイフはもう無い。先ほどの間合いまで詰めると、顔の前に構えた右腕におやつに飛びつく犬の様に噛みつく、しかし先ほどのように持ち上げる力は無いようだ、左フックが決まると、あっさりと倒れる。

 地面に倒れた2匹の狼達をみても、何も感じない。本当に勝てるなんて思っていなかった、こいつらが終わらせてくれると期待していたのだが。なんかこれ、悪役のセリフみたいだ、賞金首だし英雄側ではないな。

 どれくらい時間がたったのだろう、止まらない血はズボンに染み込み、ただでさえ重い足をひっぱる。それでもすり足で何とか進む、やっと村が見えるところまで戻ってきたのに、足から崩れ、顔から地面に突っ込む、空が見たい。

 

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