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夢者  作者: 高島 良
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魔獣ハンターとして7

 一時間ほど待っても狼は表れない、川の上流か下流に渡れる場所があるかわからないが、周りこまれるとやっかいだ、一か所に止まってはいられない。また痛みを伴いつつも川を渡る、先ほど発見した場所から足跡が森の奥へと続いている、食われるの待っているよりかは、追うほうがましだ。

 少し寝て回復したつもりでいたが、それはそう、気のせいってやつだ、すぐに疲れを感じ、それが恐怖心を呼び起こす、いやな最期を考えて歯がふるえる、落ち着け、いい意味であきらめろ、どんな恥さらしな最期だってだれも見ていない、楽しもう。獣道を狼の足ををたどってひたすら歩く、もし刀の達人だったら、完全にスタートで武器の選択間違ったぁ、次は変えて挑戦しようって状態だが、残念な事に次はない。狼ってゲームだと雑魚キャラじゃない、最初にわらわらでてきて経験値稼ぎに数こなすやつ、赤目討伐の前に群れででてきたけどいきなり中ボスが群れで来た感じだった、経験にはなったかが、スキルポイントとかないんだろうか、そろそろ管理者とか神さまとか現れたり、声が聞こえたりとかしてもいいんじゃないでしょうか!

 恐怖のあまり現実逃避している場合ではない、最近のゲームもアニメも見ていないし、もう何年も初詣すら行ってない、神社とお寺の違いすら曖昧な人間に、助けが来るはずもない。今は立ち止まらず動き続けるしかない、足跡は続いている、たまに立ち止まって俺がついてきているのか確認しているのだろうか、ウロウロと足跡が乱れることもあるが、獣道にそって足跡が続いている。そして、自分の足跡と比べると、地面のへこみぐあいから推測するに、体重は倍以上ありそうだ、勝算……考えるな。それに、足跡は村へと戻っている、見失うわけにはいかない。

 考えずに、動き続けろ、それは必要だった、しかし予想外の事がおきると、あっさりと思考が停止して、足が止まる。たどってきた足跡が、左右二手に分かれている、慌てて足元を見ると、足跡の数がおおい、いつのまに2匹の後をたどってきていたのだ、何度か足跡が乱れていたのはこれを誤魔化す為か、狼ってそんなに頭いいのか? 恐怖で息が荒くなる、止まっては的になる、動かなければとあせる。しかしどちらに行けばいいのか、大きな木があれば、背中だけは守れるが、近くの木はみな曲がり低い位置に枝が分かれている、近寄ると弓を構えられない、横にして撃てるほど器用ではない。恐怖に追い打ちをかけるように、人間の恫喝のような遠吠えがほぼ同時に左右から響き渡る、完全に挟まれた。茂みも多く木は低い、遠吠えは村でこだました笛のよう、自分達に有利な場所に誘い込み、相手を混乱させる、どれだけ賢いのだ。

 長い遠吠えが終わり、感覚の短い足音が迫る、耳を澄ましてもどちらが先にくるかは分からない。迷ったら右、とくに根拠は無いが、右へ弓を向け矢を引き絞る、低い木と茂みのせいで目では確認できない、見えてから狙いを定める余裕はなさそうだ、音は木の方向と真後ろから、木の左右どちらかなら、真ん中に狙いを合わせればすこしずらすだけ、間に合うかもしれない、一匹仕留めらるかもあやしくなってきた。足音が直前まで近づき途絶える、冷静にもそれが地面から離れたと判断できた、視線と狙いを上げ、指を切り、射線上にとらえた獲物に向け矢を放つ。確実にとらえた、自信を持っていえるほど近かった。腰の矢筒に手を伸ばしつつ振り返る、眼前に狼の牙が迫る。自分でも驚くほど冷静で目を閉じなかった、狼の牙は首ではなく手にもった弓に噛みつき、勢いに任せて奪っていく。

 数歩先で止まり、弓を咥えたままゆっくりと振り返る、首を振り弓を木にたたきつける、あっさりと弓は壊れ、壊れた弓を目の前の地面になげつける。矢筒脇からナイフを外し、逆手に構える。ナイフ持って喧嘩したことなんてないが、映画とかでよく見るし、持ち変える余裕もない、やってみると籠手も盾も無い状態では、少しでも腕を守ってくれる物がありがたい。

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