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夢者  作者: 高島 良
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魔獣ハンターとして6

 もう丸一日歩いて村から遠ざかった、狼の足跡も姿もない、見つけたとして追跡できるほどの特殊能力はない。そしてちょうどいいサイズの洞窟や、人が登れるが狼は登れないなんていう、都合のいい木はない。好きで歩き続けているわけではなく、休憩出来る安全な場所が無いのだ、弓を構え矢を少し引いた状態を保ち続ける、左腕はしびれ魔物と鉢合わせた所で当たるかどうかかなり怪しい。

 高台へ出ると月明かりとひらけた場所のおかげですこし落ち着ける、とは言っても奴らは人より走るのは早いだろうから、先に発見されればそれまでだ。左手を見るとかなりの傷が手の甲に刻まれている、慎重に歩いていても森の中は頻繁に物音がする、その度に弓の向きを変え矢を引き絞る、しげみで手を切るのを気にしてはいられない、弓の下半分は綺麗な木目が消え、血を吸って黒く変色している。傷はふさがってはいないが、血は止まっている、魔力のおかげといいたいが、だんだんと治りが遅くなってきている、寝ないと回復しないというのはどうやら本当のようだ。

 村で対峙した大型は、約200mを3秒ほどで嗅ぎ分けたようだった、さくらにもらった布も腰に指して、そこら中に血をまいて歩いているのに、向こうがきずいていないとは思えない。今襲われても困るのだが、眠気に負けてそれでもいいと考えてしまう。なんとか、先に見つけないといけない、下を見下ろしてみるが木々が見えるだけで、動くものは何も見えない、村ももう視界にはない。少し距離があるが川を発見する、魔物が水を嫌うなら警戒するのは陸側だけだになる、追って来てるなら、泳いで川を渡れば少し眠れる、寝てしまう前に川へ向かう。

 川は流れもゆるく、腰ほどの深さしかない、狼が二足歩行しなければ渡れないはずだ。なんとか渡りきったが新たな問題が発生、というか薄々気がついていたが、水に触るとかなり痛い。町で水を飲んだりした時は大丈夫だが、旅の途中で美味い湧き水だと勧められて飲んだ時は、喉の奥までスタンガンを押し込まれたような激痛が走った、毒かと思ったが周りの人間に変化はなく、むせただけだと言い訳した。湧き水の時よりかは幾分ましだが、この川の水も舌がいたい、渡っている間も下半身に痛みがはしるし、手の傷に水がかかった時は、かなり情けない声がでた。狼に追われてなければ、川に入ったりしない、しかしいわゆる綺麗な水が苦手ってことになると、俺は魔物なんだろうか、魔物同士は襲わないとかは、ないか。まだ服は濡れているが、痛みは感じない、生きていれば検証してみよう。

 朝日がまぶたを撫で薄目を開ける、どうやら寝ている間に食われることは無かったようだ、寝ようと思ったわけではなく、なにか考え事をしている最中に木を背に立ったまま寝てしまったのだ。川向を見ると、狼と目が合う、急いで弓を構えると木の影へと姿を消す。

 寝ぼけていたわけではないだろう、確実に目があった。昨日の大型に比べれば小さいが2m以上はあった、なのに人間一人に逃げる? せめて一匹は目の前で威嚇とかしてる間に倒して、矢に警戒したもう一匹はその場しのぎで乗り切る、ぐらいが勝機だとふんでいたが。

 どこかから大型が矢で倒されるのを見ていたのだろう、親が子に狩りのしかたを教えていたのか、飛び道具に警戒しながらも、仕留めようと追ってきていたのか。俺はそれに気がつけなかった、もう勝算はゼロ近くまで落ちた、泣き落としでも矢は全部返してもらえばよかった。

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