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夢者  作者: 高島 良
35/119

魔獣ハンターとして4

 さくらの笛に呼応して、村中から笛の音がこまだする。それに反応して、大型の狼は頭を高く上げあたりを見回す、その高さからどうやら3m以上ありそうだ。その動きは野生のドキュメント映像で見るように、冷静な狼のものだった、群れで襲ってきたときのよう、キバをむき出してして怒りを表すでもなく、ゆっくり獲物を探しているようだ。やはりこちらは見えていないようだ、地面の血のついた匂いを再度嗅ぐと、地面の匂いをたどっているのか、ゆっくりとこちらへ近づいてくる。

 

「さくら、走れ。」


 その声に彼女は答えない、目を潤ませて力なく首を横に振る。恐怖で固まってしまったのか、こわばってほほをひくつかせて、声もでない。それが普通の反応なんだろう、俺はなぜこんな冷静なんだろうか、先に発見できたからと、油断しているのだろうか。そんなわけはない、動く的に当てる自信はほぼ無い、撃てるのは多くて3発、そのどれかが額を打ち抜けなければ、食いちぎられて、村は全滅。なのに余裕だなぁ、むしろ、ちょっと喜んでいる、ハンターだしな獲物をみればうれしいのだろう。


「さくら、大丈夫だ、ゆっくりでもいい、家にむかって歩いて。」


 そう言ってその小さな頭をなでる、本当に小さな頭だ。下を向いたまま、少し頷くとゆっくりと歩きだし、そして走り出す。こんな俺でも助けてやりたいと思う。

 敵にはそんな事情は関係ない、子供がいるから、年老いた両親がいるから、そんなベタな命乞いも奴には関係ないだろう、もちろん俺にも関係ない。敵とみなしたら、殺す。


 弓を構え矢を引き絞る、今まで何度もやってきたが、今回は最高に緊張する。そして俺は大事な時は大抵外す、大会でもいいスコアが続くと最後には外す、今は思い出したくなかった。そんなことより、血の匂いにどれぐらいで反応するのかが問題だ、指を切り矢に魔力を送ったとして瞬時にやつが反応したら、それが俺の最後の一矢となるだろう。しかし、普通の矢がとおる相手とも思えない、もう考えても何も浮かびそうもない、息をゆっくりとはいて再度矢を引き絞る。指を切ると、両手に熱さを感じる、狼の反応をみるため数を数える、1、2、3、頭を上げ真っすぐにこちらを睨む。

 それを合図に矢を放つ。大きく外した時は、大抵すぐわかる、矢は狼のはるか頭上を越えていく。落ち込んでいる暇はない、すぐに次の矢を構えるが、狼は走ってこない。こちらを真っすぐに睨み、ゆっくりと近づいてくる、街灯を超え止まる。

 これは、完全になめられているのだろうか、座り込みこちらを見下ろす、そのサイズに距離感がおかしくなる、たぶんもう100mもない。走りこまれれば数秒でやつの勝ちだが、こちらには切れるカードがない、的が大きいとは言え魔力を込めると的が定まらない、矢が跳ねる原因がわからない。しかしいつまで奴がこんなお遊びの時間をとってくれるかわからない、跳ねる分少し下を、どれぐらい下げればいいのか、普通矢は上に打つもんだが、この世界では、わからない、もうあきらめ半分で前足首に狙いをつけ矢を放つ。

 右上にズレた、また外したと感じたが、矢は黒い影を引き連れ、夕焼けに照らされた狼に向け飛んでいく、横を通り抜け、それをなぞるように派手に血しぶきが飛ぶ。痛みに苦しんだのか、くるくるとその場で回りだす、矢を構え動きが止まる一瞬を待つ。

 痛みが落ち着いたのか、疲れたのか、狼は背中を向け止まり、ゆっくりとこちへ向き直る、その大きな横顔から牙が見え怒りを表しているようだ、指を切り素早く矢をいる。横に向けた顔を、一瞬上に向けると、その場に倒れる。接近して額に矢を撃ちこむ、しばらくしてわずかな胸の動きも止まる、どうやらこっちはかたがついたようだ。

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