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夢者  作者: 高島 良
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逃走者へ

 なんとか山小屋まで到着し荷物を積み込む、服と弓矢、日記のビー玉に食料、クローゼットの奥に大きめの鞄が置いてあった、今まで気が付かなかったけど、アンはこんな日が来ることを予想していたのだろうか?

 鞄の中に小さな袋がはいっており、中には銀貨と銅貨がかなり入っている、そもそもこっちに来てから流通するお金には触っていないが、なんというかそれぞれが薄く、中央に1~5個の穴が開いている。動き出した場所の荷台から、運転中の兵士に質問してみる。


「どさくさで金ももってきてしまったけど、食事や宿にどれくらいかかるのかな?」

「それは赤目討伐の報奨金だと思われますので、問題ないかと。宿は食事付きで銅10枚もあれば十分かと。しかし逃走中ですので、あまり大きな町の宿屋など使うのは避けたほうがよろしいかと。ヒロ様いまなにか手に持ってますか?」


 そういって兵士は、俺のもっている硬貨の入った袋をみている。


「そうだけど、銅貨とかこんな袋には入れないの?」

「私からは見えません、たぶん特殊な布を使用しているヒロ様にしか見えないような袋だと思われます。」

「見えない? それは、隠しとく為の機能なのかな?」

「そうですね、作成には本人の大量の血が必要と聞きますし、隠せるのは硬貨や宝石、水晶だけと。とても貴重な品ですので、それを持っていると知られると、それだけで盗賊達の標的になりかねません。数枚普段使いに分けて持ち歩いてください。」

「そうか、ありがとう。」

「ヒロ様、本当に夢見る者なのですね。」

「あまり自覚はないが、そう呼ばれてる人間みたい。」

「かなりの矢を放ったと聞いていましたので、そうなのかもと思っていましたが、これからは隠されたほう安全です。」

「夢者は嫌われものなの?」

「人によりますが、大抵の人間には恐怖の対象です。突然魔物に変わると信じる者もいますし、ヒロ様はそれでなくても弓使いですから。黒・闇・影の魔力使いとも呼ばれる、さらに上の恐怖の対象ですので、弓も隠された方がよろしいでしょう。」


 嫌われ者か、どうやら主人公では無いことは分かってたけど、悪役っぽいな。メインストーリーに関係ないサブクエストの賞金首、仕留めたら金とレア武器が手に入るのだろうか。狩るほうは、相手の事なんて考えないよな、狩られる方も相手に気にしている余裕は無さそう。


 それから、兵士は御者を二人雇い、一週間止まらずに走り続ける。その間矢筒にカバーを付けて偽装し、兵士から一般常識を教わる。今持っている金額なら、贅沢しなければ一生暮らしていけるらしい、賞金首でなければ。森には魔物がいるので街道からそれたら、基本的に人はいない。街灯の様に見える明かりが魔よけになるので、それ以外の場所で人に会う事はない。しかし、魔物にはすこし眩しい程度、痛みや壁となって食い止める効果は無いので過信は禁物。貴族や位の高い兵士でないかぎり字は読めないので、文字に関してはそんなに苦労しないだろうとの事。他にも色々聞いた気がするが、重要なのはこれぐらいだろう、アンの領地の最後の町について、逃がしてくれた兵士と別れ彼の勧めに従って、大きな街道から外れ辺境の村をつなぐ道を徒歩で進む、ひとまずアンの領地は出たが何の目標もなく、日々生きるだけ向こうにいた時と何も変わっていない。

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