変えれない日常へ
なんだろう、異世界に転生? だったろうか、こういう話はなんていくか、可愛い女の子とハーレム的な話ではなかっただろうか、まぁ主人公アラサーのおっさんではしょうがないのかもしれないが。
せっかく話が出来るようになったというのに、アンとの会話はほとんど無い、アンが来るのは大体三日に一回程度で夕方にやってくる、簡単な食事とお酒を飲んで、毎回泊まっていく、正確には朝気が付くともういない、ダメージ回復の為か昼過ぎまで寝てしまう。この三日空くのがポイントで、朝には今度こそもうしないと言おうと思うのだが、誰もいない山小屋に三日も一人でいるせいか、アンに会えると素直にうれしいし、正面からじっくりとは見れないほど可愛いし、自分から押し倒してしまいそうな上目遣いやしぐさが、決心をにぶらせる。
しかしそれももう、たぶん二ヵ月近くたつ、アン以外の人を見たのは、川での水浴び以外では一度もない。これはもう、ヒモ状態? もしくはたまに会いに来るご主人とペット、もしくは幽閉ってやつだろうか、なんにしても異常な状態ではあるが、見下ろす車を見てひき殺してくれたらこの現状も終わるのにと考えていたサラリーマン時代と変わらない、変える勇気もなく深いところの話をアンに聞けないでいる、それが本音だろう。
そんな変わるのが怖い中でも、知りたい欲求は止められず、アンがなぜシャツを脱がないのか、どんな入れ墨をしているのか、確認してしまった。めずらしく夜に目が覚め、水を飲みに立ち上がった時に、うつ伏せに寝る、彼女のシャツをまくってみた。そこにあったのは、恐ろしく引き締まった背筋、腕は自分の倍はあるかと思うほどのボディービルダー体系だった。そういえば、彼女の上半身に触ったことはないような、あれの時は両手をつなぐというか、押さえつけられているから無理なのだが。考えてみれば当たり前か、最近はやってないが、剣の稽古をしているときも、木刀とは言え片手で軽く振り回しているし、魔物や戦が日常の世界では、女性でも鍛えてないと生きていけないのか。
隠したいのは女ごころってやつだろうと、そっとシャツをもどし、アンの顔を見ると、目が合う。
「うぉ! 起きて、たの?」
「見たな」
その声は、ちょっとだけ怒っている。
「こんな筋肉女いや?」
「得意、とか言わないけど、嫌いってわけじゃないよ、顔、好みだし。」
「優しいな、でもまぁ、これで抱き着いて寝れるな。」
「骨、折らないでね。」
「すぐ治るでしょ。」
「痛いのは。」
「いい子にしてたら、やさしくするから、おいでおいで。」
そう言うと、彼女は腕を引き、背中から抱きしめられる、これは意外と落ち着く! しかし、何というかこれでいいのだろうか。




