表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夢者  作者: 高島 良
20/119

尋問へ

 小屋に戻って、椅子に座る。正確には無言の圧力でそうさせられている、普段とは違ったアンの顔が見れてうれしいなどと余裕を感じる状況ではない、目力が半端ない。恐怖のあまり目をそらしてしまいそうだが、そらしたらそれはそれで、やましいことが有りますと語るようなもの、言葉が通じないので挙動には注意をはらわなければいけない。ギャング映画なら、言い訳やギャグがすべって手にナイフとか刺される場面、気まずいし怖い、すぐにでも逃げ出したい。

 アンはしばらくテーブルを挟んだ正面の椅子に座り、恐怖のにらめっこが数分続く、その後席を立ち翻訳メモを持ってもどってくる。そうくるか、そうだよね尋問だよね、でもそのメモでは正確な情報は伝えられない気がする。そんな時間稼ぎの言い訳もジェスチャーでは伝わらないし、ちょっと肩をすくめただけで、目力が数倍に上がる、そういった補助系の魔法だろうか、もう微動だにできない。

 彼女の尋問は適格だ、俺を指さし、狼、殺す、そしてYESとNOの間を指でなぞる。聞かなくてもわかってるよね? YESを指さしたら、その後は?あれかな、ナイフとかでスパッと首を切られるやつかな、魔力が尽きるまでそれが続くのだろか、怖いが助ける為だった、覗きではない! などと都合のいい言葉はメモには無いし、それを探す動作に入っただけで刃が飛んできそうだ。

 無い選択肢を探してもしょうがない、そっとYESの単語をさす、目力に変化はない、そりゃそうだよね、ほぼ確定だったわけだし。予想では、ここで刃が向かってくるタイミングだが、どうやら第2の質問に移るようだ、数分生き永らえた。

 彼女は自分を指さし、メモから見るという単語を指し、YESとNOをなぞる。ちょっとだけしか見ていない、本当だって本当、伝わらないと分かっていても、喉は言葉を発する。最後の言葉がこれとは、特にかっこいい辞世の句が思いつくわけでもなく、指をYESに落とす。こんな可愛い人に殺されるならと目を閉じ、胸か首に来るであろう痛みの信号を待つが、何もこない、やるならひと思いにすぱっとお願いします。

 ゆっくりと目を開けると、すこし目力の落ちたアンが立っている、睨んではいるが、なぜかその目線はいたずらっぽい照れ隠しのようにも取れる、腕を組んだり眉をさわったり、なぜか可愛らしく感じる動作を連発する。先ほどまでの恐怖の反動だろうか、狼にきずかれ終わったと感じ、彼女にはもう会え無いとあきらめた、あの時、もう一度会えたらそう思っていた。

 体が不思議な動きをする、立ち上がり彼女に口付けする。それは、とても自然な動きだった、気持ちに迷いもなく、拒まれる恐怖もなく、それが当然の事のように思えた。アンは少し驚き、唇を重ねたまま俺のシャツを破いた、結局ケンのアドバイスを守ることは出来なかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ