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夢者  作者: 高島 良
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酒場へ

 用意してもらった服を着て、部屋をでる。廊下は豪華なホテルの様、絨毯がひいてあり、天井が高い。まだ、どこか海外のホテルにいるのでは? と感じずにはいられない。

 階段を降りていくと、1階でケンがメイド姿の女性になにか話している。本物のメイドさん、すごく普通の人だ、当たり前か。

 メイドさんが、自分になにか言おうとした時、頭痛が走る。足元がふらつき、階段の手すりにしがみつく。

 ケンが、大丈夫か?と声をかけてきた。


「すごい頭痛がする、なにこれ、メイドさんの魔法かなにか?」

「うーん、魔法と言えばそうなのかな、こっちの人って言葉に魔力のせて話すから、慣れないうちは、何言ってるかわからないし、頭痛がする。意味がわかるようになるには数日かかるけど、頭痛は、1時間もすればなれるよ」

「意味って、そもそも日本語なの?」

「そうだよ、今まで落ちて来た人もそうだったけど、日本の人しかいないみたい。噂では、国とか地域、言語別に地獄があるとか、だれも別のとこ行ったって人いないから、あくまでも噂話だけどね」


 メイドさんがもどってきて、刀を渡してくれる。ケンの日本刀ほど長くはなく、脇差よりかは少し長い、まっすぐな刀、すこし抜いてみると、両方に刃がついている、そして結構重たい。これは、自分が貧弱なせいだろう、鍛えないと生きていけない。


「飾りでも、ベルトにさしといて、そんな高級な品じゃないから、気にしないで」

「ありがとう。なんか、ちゃんばらして遊んでる気分、なんか恥ずかしいわ」

「なれろ、丸腰で町にでたら、襲ってくだいさいと、背中に書いて歩くようなもんだからな」

「そんなに、物騒なのか?」

「そうだよ、今は特にね、無駄に喧嘩うったりしないように」

「しないよ」


 メイドさんに、ありがとうと言うが反応が無い。ケンが言うには、こっちの言葉も伝わらないらしい。


 玄関の扉が空き、女性が入ってくる。綺麗な肩までのブロンド、整った顔、息をのむ美しさとは、まさにこんな美人の事を言うのだろう。ケンに軽く手を上げ、少しだけ目があう、階段をすたすたとのぼっていく。足ながいなぁ。


「おい、見すぎ、俺の雇い主だから、寝込み襲ったりしないでよ」

「しないよ、俺ってどんな奴だと思われてるわけ。あんな美人に声かける勇気とかないし、いや、そもそもしらふでナンパとかしたことないし」


 外に出ると、ドアの前に鎧を着た兵隊がたっている、ケンが軽く手を挙げると、兵隊は敬礼でかえす。


「もしかして、ケンってかなり偉い人なのか?」

「そんな事ないよ、さっきの彼女はかなり偉い人だよ」

「ケンって、仕事はなにしてるの」

「うーん、用心棒かな、偉い人はそれなりに危険もおおいから、腕の立つ人間が必要な時があるって事」

「そうなのか、てっきり戦場で100人切りとかして、褒美で優雅な生活してるのかと」

「そんな化け物いないから」

「魔力高くて、剣の腕あれば、出世できるんじゃない?」

「うーん、あんまり興味ないかな、出世して領地の管理とかめんどくさそうだし、さほど恨みも買わずに、飯が食えて、手ごたえのある奴とたまにやり合えればそれでいい」

「サムライだな、俺も今から修行したら、そこそこまではいくかな?」

「うーん、こっちきてから剣の修行して、200年近く戦場に出てた夢者がいたらしいから、なんとかなる場合もあるかも。それでも最後は、乱戦の中囲まれて殺されたらしい」

「ちょっとまって、200年? 夢者ってなに?」

「俺たちみたいに、落ちて来た人間は、夢者って呼ばれてる、向こうは夢の世界の話って事。あと、200年って話だけど、夢者は歳とらない」

「ほんとか! もうすこし若いほうが、良かったかな」

「贅沢言うな、俺なんか10年近くこの見た目だぞ、こっちでガキに見られて得することなんて無いからな」

「10年って事は、ほとんど歳一緒?」

「うーん、経過した年数で言えば一緒だけど、落ちた日は、向こうでは10日ぐらいしか変わらない」

「こっちのほうが早く時間が進んでるって事?」

「そうそう、歳とらないって言っても、命の軽い世界だから、こんな長く生きると思ってなかったんだけどね。ちなみにだけど、夢者は、嫌われてるからなるべく黙ってたほうがいいよ。着いたよ、ここ」


 西部劇のガンマン達がたむろしてそうな酒場、わざと危険なとこに行っていませんか?

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