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夢者  作者: 高島 良
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目へ

 日も落ちて暗くなってきたころ、斧を持った大男が固いパンを持ってくる。なにも話しかけてこないところを見ると、ケンが声をかけた逃亡防止用のみはりと言ったとこだろうか。パンをかじっていると、わらわらと人が集まりだす、前方の森の近くまで点々と松明がともされる、月明かりでそんなに暗くはないが、的を確かめるにはありがたい、どうやら戦闘が始まるようだ。大男と一緒に、馬車の幌ををはずし一段高い位置を確保する、ケンもここから撃てるようにと置いていったのだろう。冷静に考えてみると荷台は戦場とは反対を向いているわけで、やばくなったら馬に鞭をいれて、すぐに逃げれるとか考えていたのだが。大男が馬を外して、すこし先につなぎに行ってしまった、揺れないようにする為だろうか? 逃げる考えが読まれているようで怖い。

 兵隊の整列が終わり、荷馬車の前には、20列ほどの人の壁が出来上がる。確かに、後衛は生存率が高そうだ、兵はお盆ほどの丸い盾に短めの剣、前方の数人は槍を持っている。間隔は剣を伸ばした程度に広く開け、その後ろには予備兵だろうか、固まった兵たちが等間隔で待機している。

 後列の兵たちがたまに振り返り、少し呆れたような目線を投げてくる。その中に若い女の子もいるので、それはまるで、あの人チャック開いてる、わざと開けてるのじゃない、変態。とか言われてるのと同じ感じだ、すこし興奮するが、やはり悲しい気もする。それだけ戦場と弓兵がおかしな組み合わせなのだろう、言い訳も出来ないし、逃げれないやれることをやるさ。弓を構え、矢を引き絞る。林の奥をみると、かなり遠くでなにか動くのが見える。目をこらすと、たぶん狼だろう、かなりの数が見える。周りの兵隊達はまだ気が付いていないようだ、普通に考えれば望遠鏡が無いと見えない距離に思える、なにか目がおかしい。

 なんどか試してみたが、目をこらすとピントを合わせるのに時間がかかるが、かなり遠くまで見えるようになったようだ、そのかわり周りは見えない、天体望遠鏡でも覗いているようだ。ライフルのスコープいらずという状態なのか、レーザーサイトがあればなと考えながら、矢を放つ。横に移動する的を、届くまでの数秒をなんとなく計算して、進路の先へ矢を放つ。真っすぐ飛ぶと言っても、立派な木の間を通すのは、難易度が高い。数発撃って、やっと当たる、とりあえず一匹は倒したように見えた。

 周りを見ると、また冷たい目線がこちらに向けられている、どうやらこのスコープ付きの目もレアスキルのようだ。これは、もしかしたら、めちゃくちゃ遠くから、露天風呂のぞいたり、資格試験でカンニングしまくったりできるんじゃ。

 そんな呑気な事を考えている場合ではない、林の中を横切っていた狼達がこちらへ向かってくる。獣でもどっちから飛んできたかぐらいは分かるらしい。今更だが、指示なしで撃ってしまったが、たぶん大丈夫? ではないな。大きな作戦がひっくり返っていないことを祈るだけだ。とりあえず、林の先を指さしてみるが、目に力を入れなければただの林でしかない、変質者っぷりが上がっただけだ。やがて、不気味な音が迫ってくる、だれも振り返らず盾と剣を構え、不気味な林をみつめている。

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