覚醒
「なんだあいつ……」
その大きな怪物はこちらを見ている
僕の身長の5、6倍位はあるんじゃないだろうか。
「!」
頭が痛い、それに寒気もする。
「なんだ……あれ……」
「やばくない?」
「4階から上が……」
「うわぁぁ!!」
みんなパニックになっている。それも当然だあんな怪物怖がって当然だ、そういう僕も怖い。足がすくんでいる。
「とにかく逃げなくちゃ、ここから」
そう僕は言った。
「そうだな」
「そうだよね」
二人が共感する。
僕たち三人は学校から出るため昇降口を目指して走った。
いつも通っている道が長く見える。
「助けてくれ……」
「あ!暁たち!」
声が聞こえた。
「大丈夫か!二人とも」
そう思った瞬間に暁は二人に駆け寄っていった。やっぱり暁はいいやつだな。
助けを読んでいたのは友達の「石田達也」僕の部活のエースだ。そして瓦礫に埋まっていたのは、うちの学校の生徒会長、「竜宮信也」だ。
「僕も今手伝う!」
そうして暁と達也と三人で協力して信也は助かった。
「ありがとう。もうすぐで死ぬところだった」
「俺からもありがとう」
二人からお礼を言われた。
「けど今は逃げた方がいいと思う」
「そうだった!怪物から逃げてたんだ!その途中瓦礫に挟まれたんだった!暁たち!五人で逃げるぞ!」
そうして長い長い廊下を走っていった。
「しまった!見つかった!」
途中あの怪物に見つかってしまった。
「ニガ……サナイ……」
「やばいって!あいつ追いかけてくる!」
「暁危ない!」
そう美月が叫ぶと、間一髪暁は気付き攻撃を避けた。
「あぶねー!」
あと十センチずれていたら当たっていただろう。ヒヤッとした。
「とにかく走るぞ!」
信也がそういう。
しかし怪物の足はとても速い。あっけなく暁は怪物に手で捕まれてしまった。
「離せ!」
暁は身動きがとれていない。
助けなくちゃ……。頭はそう思っていても体が動かない。
「暁!」
美月がそう叫ぶ。
助けなくちゃ……助けなくちゃダメなんだ……でも足が動かない
「何で……僕は肝心な時にビビって足が動かないんだ……」
自分に問いかける。もうあのときみたいな思いはしたくない。
「なら力が欲しいか……」
「?」
どこからか声が聞こえる。
「力が欲しいかと言っている」
「誰だか知らないがもらえるならもらいたい……」
「ならくれてやろう……その力を使い、自分自身にけじめをつけろ!」
「!」
頭が痛い。これまでの人生のなかで一番の痛みだ。
「うあああああああああ!」
右目もいたい。視界がおかしい。なんだこれは……自分の目ではないようだ。
「ぐあああああああああああ!」
「それは俺の右目だ!その力を使ってあの怪物から友達を救え!あの思いはもうすぐでしたくないんだろう?」
「ああ!そうだ!」
この力なら助けられる!
「暁!今助けてやる!」
この目はかなり動体視力がよくなった。相手の動きが遅く見える。
「次は右だな!」
軽々と避けていく。
「グアア!クルナアア!」
身体能力もよくなっている。
「!」
何事もなく怪物の手にたどり着いた、この手を放さなくては……なんと力も強くなっているようだ、みるみるうちに手が離せる。
「バシ!」
ついに暁を怪物は手放した。
「はあ……はあ……はあ……」
「大丈夫か!暁!」
「ああ……なんともない、それにしても今の動きすごかったな、」
「話は後だ!今だ!逃げるぞ!」




