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第2話 人間の証明

第2話 人間の証明


「俺はゴリゴーリ・ゴリラ。魔法学園の高等部2年生で、Fランク冒険者だ」

 やっとまともに声が出た。しかし、冒険者の女性は聞く耳持たぬといった様子だ。

「そんななりの高校生がいてたまるか! まずはその兜を取りな!」

「本当だ! 信じてくれ!」

 それに、そっちこそ何なんだよそのメガネは、というのは、思っても言葉にできなかった。

 俺が必死の思いで呼びかけていると、今度は老人の冒険者が口を開いた。

「脱ぎたくても脱げんのじゃろう」

 えっ。

 老人の言葉は予想外だった。

「その鎧から禍々しい力を感じる。呪われていて外せないのじゃ。我々から逃げたのも、鎧の呪いと関係があるかもしれん」

 そうなの!?

 でも、これは好都合だ。自分がゴリラであることを悟られずに済むかもしれないのだ。

「のろい……おじいちゃん、何とかしてあげられないの?」

 今度は小さい女の子の冒険者が老人の冒険者に提案している。呪いは鍵のようなものだと聞いたことがある。かけた者以外にはそう簡単に外せないはずだ。老人はゆっくりと杖を掲げた。

「おっけー。解呪はずしちゃおうね」

 できるんかーい!!!

 次の瞬間、パキッと音がしたかと思うと、鋼鉄の鎧が粉々に砕け散った。中から出てきたのは、フサフサの毛皮に覆われた2メートル近いマッスルボディだった。

「やっぱりゴリラじゃねーか!!!」

 女性冒険者のもっともなツッコミが黒の森に木霊した。

「待ってくれ、俺は人間だ。本当に魔法学園高等部2年生なんだ! そもそも、ゴリラが言葉を話すはずがないだろう!」

「だったらゴリラ型のモンスターなんだろう。動物よりもよっぽど危険だ。エンじい、鑑定を頼む!」

 エンじいと呼ばれた老人は髭をさすりながら、再び杖を掲げた。

「ほほー! この子は人間じゃ。まさかこんなことが」

「なんだって!?」

 女性冒険者が今日何度目かの驚きの声を上げる。

 老人は杖を虫眼鏡のように動かしながら俺を観察している、のだと思う。変なメガネでよくわならないが。

「いや、やっぱりゴリラかも」

「いやいやどっちだよ!」

 女性冒険者のツッコミがさらに冴え渡る。

「鑑定結果を転写しようかのぅ。いらない紙とかあるかの?」

 老人の問いに、すかさず少女が答える。

「わたしティッシュもってるよー」

「ありがとう。しぃちゃんはいい子じゃのぅ。じゃ、やってみるかの、ほいっ」

 老人がティッシュを1枚受け取って杖を振りかざす。すると、ティッシュに文字が浮かんできた。


--------

ゴリゴーリ・ゴリラ 種族:人間ゴリラ

HP 300/500

MP 10/10

ステータス(鑑定Lv.不足のため不明)

【所持スキル】

豪腕Lv.10 毛並みLv.10 生存本能Lv.5 聞き耳Lv.5 混乱耐性Lv.3

--------


 これは! 人間ゴリラ

「どっちだよ!!!!!」

女性冒険者のツッコミに、この場の誰もが頷いていた。


【スキル】

人間やモンスターに備わっている特殊能力。生まれつき持っているものと、後天的に獲得するものとがある。

スキルを使うことで、常人では成し得ない様々なことができる。魔法もスキルの一種である。

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