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マワリ川村への打通戦

 翌11月24日の昼過ぎまで、ムササビ村で過ごした。皆の治癒と病魔退散に鉱脈の破砕や雑木の切り倒し等、忙しく過ごした。


 夜は夜で、鉄造りの男達と、色々なアイデアについて話した。加工技術から考えて、今は挑戦する事すら馬鹿げているような物──ノコギリとか台(かんな)とか──まで含めて色々引き出されてしまった。

 ノコギリは、純粋に金属加工の精度的に今は無理で、台鉋はそれに加え木工の精度の問題もある。話しても負担にしかならないかも知れない。

 流石に、釘とか金具とかは話題にしなかった──勿体無さ過ぎて理解できないだろう──その程度の分別はある。


 11月25日からは海岸沿いの打通作戦だ。


 起点はクワガタ村とハチ村の二つだ。


 クワガタ村はムササビ村から南南東約17㎞で、ハチ村はムササビ村から南南東約28㎞だ。計画では9個の妖魔の巣を叩き潰して6つの村を結ぶ。

 クワガタ村から西南西約10㎞のスズキ村(海沿い)への2箇所

 スズキ村から南約6㎞のイサキ村(海沿い)への1箇所


 一方ハチ村からはまず南西約6㎞のチョウ村への2箇所

 チョウ村から南約11㎞のイシダイ村への1箇所

 イシダイ村から南南東約15㎞のマワリ川村への3箇所(経路に近いカタシロ村も打通される)


 暖かい海沿いとはいえ寒い季節、身体が硬くなって思わぬ怪我をする事を懸念していた。だが、予備戦力が十分あり、思った以上に順調に進行した。特に、マワリ川村のタイラさんが途中参加してくれたのは大きい。戦士も多数連れて来てくれた。


 そして、あっさり12月9日に戦死者無しで打通作戦が終了した。マワリ川村主催の戦勝の宴も盛大で戦士達も大いにはしゃいでいた。


 翌朝、戦士達の帰還で慌ただしい中、タイラさんが話しがあるとワシらを呼んだ。ワシと副隊長3名──今はオオカゼさんとテン村のヤスカワさん、そして狐村のマナブさんだ──で向かうと、マワリ川村の幹部が揃っていた。


「話半分に疑っていた事、改めて謝罪する。

 誠に申し訳ない。私等の不明だ」


 いきなり、皆に頭を下げられた。意図が不明で怖いよ。


「頭を上げてください。此方が恐縮してしまいます」


「此方の不明で、無礼な事になったのは重々反省している。頼み事を出来る立場で無いと判っているが、それでも頼みたい」


「無礼などと、此方は何も気にしていません。それで、頼み事とは何でしょうか? ワシらに出来る事ならば良いのですか……」


「北部大連合さんの闘いを見て、私等は不明を深く恥じた。妖魔は踏み潰す事が可能な相手だ。私も魔闘術が使える。戦力を集めて積極的に殺るべきだった。これまで、私はそれに気付いていなかった。

 マワリ川村は、今後弟分の村との間の妖魔を踏み殺すつもりだ。それに協力して欲しい」


 協力と言われても、何のことか良く判らない。思わず、振り返ってオオカゼさんの顔を見てしまった。オオカゼさんは、一つうなづいて言葉を重ねた。


「一口に協力と言われても、具体的な要望が判らないと何とも答えようが無い。ご理解いただけるとは思うが、妖魔の巣を踏み潰すのは、多数の戦士に多量の物資が必要だ。

 私らとしても軽々しく請け負える事ではない」


「イヤイヤ、別に戦士が欲しいとか、鉄の武器が欲しいとか、そんな欲深い事を言っている訳では無い。北部大連合さんの戦い方を教えて欲しいだけだ。参加してみて判ったのだが、多数の工夫がある事を感じる。

 多くの犠牲を出しながら身に着けた戦訓を教えて欲しいなどと、甘えた事を言っているのは自覚している。だが、共通の敵である妖魔を叩きのめすために協力して欲しい」


 今度は、オオカゼさんが他の副隊長と顔を見合わせた。オオカゼさんにも意外な話だったようだ。


「私等の闘い方は、経験を積んで徐々に工夫を重ねただけだ。改めて教えろと言われても……第一、戦力や状況に応じて変わって行く。私らの今回の闘いを真似ても上手くいくとは限らない」


「イヤイヤ、手に取り足を取り箸の上げ下げまで教えて貰おうと思っている訳じゃない。単に、マワリ川村の戦士を何人か、交代で北部大連合さんの作戦に参加させて欲しい。そして、少なくとも一人は軍議に参加させて欲しい。そう言っているだけだ。

 難しいだろうか?」


 大袈裟に頼まれたので何かと思っていたが、そんな話か、悩む必要など無いと思うのだが?


「連合の全ての方針は、総会で決定する。だから、ワシ個人で確約する事は出来んが、戦士を出してくれるなら大歓迎だ。オオカゼさんヤスカワさんマナブさんそう思うだろ?」


「マワリ川村の衆に頭を下げさせて申し訳ない。そのような話なら、気楽に言っていただければよい。戦士を出して頂けるなら、此方からお願いすべき事だ。タツヤはああ言っているが、援軍の受け入れまで総会に掛ける必要は無い。何時でも大歓迎だ。

 妖魔を皆皆々殺しにするため、お互いの武技を高め合う。大変有難い申し出、感謝の言葉も無い」


「それでは、北部大連合さんの新年の儀に合わせて、慶賀の使者を送るので、詳細はその時にさせて頂こう。いや、北部大連合さんが話が分る相手で良かった」


次から新章の北部大連合の年越しです。


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