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第二段作戦開始

 9月25日の夕方にマムシ村に着いた時には、既に8割方の戦士が集結していた。

 現地で調整を進めていた、オオカゼさんら3人の副隊長と合流して、直ぐに状況の確認を行った。


「戦力も物資も更に充実した。周りの村が貢献を競い合って困る位だ。まあ、事情が事情だ。少しでも貢献を示して発言力を強めないと、不安で仕方ないだろう」


 誘い込む気満々だったから、シカ村での戦いには無かった問題だよな。戦場になれば例え勝利でも被害は甚大だ。どの村も嫌がる役目だよな。


「ワシが独断で決めて良い話では無い。連合の新年の儀の主要議題だな。出来ればその前に第二段階の作戦は終了させたいな。打通する対象は、どうなっているの?」


「ああ、先ずはその説明からだな。最終決定は明日の軍議になるが、一応根回しは終了している。逃走経路が確保できるよう、どの村も必ず二つの村と繋げる方針にした」


 オオカゼさんの説明によると、マムシ村から反時計回りに9つの村を打通する予定だ。

 ・クワガタ村:マムシ村住民の避難先

 ・ハチ村:バッタ村住民の避難先

 ・カブト村:コオロギ村住民の避難先

 ・ムツゴロウ村:トンボ村住民の避難先(貝貨を発行する村の一つ)

 ・ドジョウ村:ヤマメ村住民の避難先

 ・ギンブナ村:ゴリ村住民の避難先

 ・アユ村:コイ村住民の避難先

 ・ナマズ村:ムギツク村住民の避難先

 ・ドンコ村:山椒村住民の避難先


 位置関係から順序も複雑で次のように28もの繁殖地を叩き潰す必要がある。

 ・マムシ村からクワガタ村:南西約13㎞、繁殖地3

 ・クワガタ村からハチ村:南南東約11㎞、繁殖地2

 ・ハチ村からバッタ村:東北東約9㎞、繁殖地2

 ・コオロギ村からカブト村:南南東約7㎞、繁殖地1

 ・カブト村からトンボ村:北東約9㎞、繁殖地2

 ・トンボ村からムツゴロウ村:東約13㎞、繁殖地3

 ・ムツゴロウ村からドジョウ村:北北東約10㎞、繁殖地1

 ・ドジョウ村からゴリ村:北西約10㎞、繁殖地2

 ・コイ村からアユ村:西北西約13㎞、繁殖地2

 ・アユ村からギンブナ村:南南西約7㎞、繁殖地1

 ・ギンブナ村からドジョウ村:南西約16㎞、繁殖地3

 ・ムギツク村からナマズ村:北東約6㎞、繁殖地2

 ・ナマズ村からドンゴ村:西約12㎞、繁殖地3

 ・ドンゴ村から山椒村:西南西約7㎞、繁殖地1


 村々の事情も様々だ。オオカゼさんの説明は続く。


「ただし、説明した村々の内、ナマズ村、アユ村、ギンブナ村は、北部大連合への参加には色よい返事は無い。避難民受け入れにも戦力提供にも積極的だから、特に問題は無いが、ハモ村への遠慮とか言っているが、今一要領を得ない」


「うーん、費用分担で揉めないかな?」


「そこは、全て自弁で良いと言っているから良いが、良く判らん話だ」


「ハモ村には、再生も使える魔術士のライゾウさんが居るか……でも、行き来には3、4日は掛かりそうな距離なんだけどな。本当に必要なら、ハモ村まで行って確認しても良いんだけど……大戦に参加してくれるなら、放置しても良いんじゃないかな?

 連合への参加を強いる理由もないでしょ?」


「まあ、そうだな。参加したいなら歓迎するとは、キチンと言ってあるしな」


「それより、誘引する方向については、議論は進んだ?」


「まだだ、戦力の集中の都合から言って、女狐村か白ヘビ村なんだが、どちらも乗り気では無い。物資や戦士の割り当てを増やしても良いから、何処かに押し付けたいという感じだ」


「負担を増やしても良いなら、秘策はあるんだけどね。一度、どの程度までなら負担できるか感触を探る必要があるね」


「秘策があるのか???」


「ああ、結局の所、周りのどの村より多くの人が居れば良いんだよ。だったら、無人地帯内に前線基地を作れば良いのさ。主力になる何百人もの戦士が一時的にでも泊まれる基地を作る負担、さらにそれを維持する負担、その負担が調達できれば作戦として成立するよ」


「2村だけの負担では、流石に無理だろう。だが、参加する村は多いからな。押し付け合うよりは、分担し合う事を選択するかも知れん。作戦中に感触を探っておく。何れにせよ、連合の新年の儀での議題に挙げられるようにしよう」


 そして、新規に参加した戦士達との訓練もして、予定通り9月27日から第二段作戦を開始した。


 第一弾もそうだったが殆ど山の中での作戦だ。出来れば11月の半ばまでには終了させたい。慌ててはいかんが、天気の都合もあるしギリギリかも知れんな。


 そうそう、前線基地建設と維持については、どの村も賛意を示していた。位置も、女狐村の東、白ヘビ村の南とした。前提となる女狐、白ヘビ間の掃討作戦は、第二段作戦に引き継ぐいて行う事で根回しが済んだ。


 そして、10月6日の秋分には、カブト村に到達した。たった11日間で8つの繁殖地を潰せた。順調すぎて怖いほどだ。


 次は、ムツゴロウ村です。

 なお、秋分の日を何処かに書きたかっただけで、カブト村には特に意味はありません。

R4.11.12:秋分の日付を修正

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