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旅商人達との愚か者対策会議

「村々の行き来が楽になったのは事実です。でも、タツヤ様の言いたい事が『儲かっているのだから、貝貨を寄越せ』という話なら、……僭越ながら命を賭けてでも言いたい事があります」


 少し、近状を聞いただけでコレだ。まあ、でないとこんな世界で行商人など出来る訳ないか。


 此処には、タビスケさんやカイタロウさんを含め、何人かの商人が来ている。キバヤリさんに頼んで集めて貰った。貴重な機会だ。不信感で無駄な時間を費やしたくは無いな。


「信じれないかも知れないが、ワシは皆さんの味方だ。皆さんが居ることでどれだけ村々が助かるか、一応は理解している。

 だから、連合における商人の位置付けを早めに確立したいと思っている」


「私らとしては、村々を自由に行き来出来れば良いだけです。精々、無体に身ぐるみ剥がそうとするような村が出なければよい。まあ、危なそうな村には近寄らないので、それもどうでも良い。

 連合があっても無くても私らの行動は何も変わりませんよ」


 カイタロウさんだ。


「危険な遭遇戦を繰り返して、何とか村々の交流を維持していた。その皆さんの行動は変わらない。それは、その通りだと思う。そんな生き方を選ぶのは、儲かる儲からないの話では無いんだろう。

 そんな、生き様を選ぶ皆さんが居て、色々助かっている。最近も、カイタロウさんに命を救われた兎村の若衆に会ったよ。

 だが、村々の交流が楽になると、濡れ手に粟を狙う者が出てくるだろう。中には、トラブルを起こしたり、詐欺まがいの事に手を出す者が出てくるだろう。

 連合は、普通の村人にとっては広すぎて、遠い村での悪評など気にならないのが普通だ。しかも、行き来し易くなる範囲はこれからまだまだ広くなっていく」


「タツヤさんの耳には入ってないかも知れませんね。馬鹿げた事をやって袋叩きにあった若造は既に出ています。特に、大船がサバ村に来た時の混乱は酷かった。

 甘い汁が落ちていないかと、遠方の村から、次から次へと有象無象がやってくるなんて、流石に私らも予想できなかった。

 でも、そんなバカな奴らと私らを同一視するなんて酷くありません?」


「今は、長年築いてきた信用があるから、笑い飛ばせる話でしょう。でも、5年後10年後を考えてください。代替わりもあるでしょう。第一、村々の交流拡大に伴って、手を増やさざる得ない状況になって居ませんか?

 増やした手の者が問題を起こしたらと、胃が痛い思いをしていませんか?」


「……」


「アハハハハ、カイタロウさん。試すのは止めましょうぜ。タツヤさんは自他共認める戦の鬼。だから、カイタロウさんが、警戒するのは判ります。

 でも、一緒に旅した私にはわかります。タツヤさんは、かなりのお人好しです。戦鬼の尊称に相応しい、武威と難しい顔が、カモフラージュになっていますが、性格は甘々です。商人にしたら、一月で破産するでしょう。

 事情や希望を聞きたいと言っているんだから、主張しましょうよ。そう悪い事は起きないと思いますよ」


「そうでしょうか? タツヤさんは、目的の為には予想も付かないような手段を使います。タツヤさんの目的も知らない内に下手な事を言うのは危険では無いでしょうか?」


 カイタロウさんだ。そりゃそうだ。ワシが何も言ってないから不安になるんだよな


「失礼した。ワシは、村々の取引が増えれば増えるほど村々は豊かになると考えている。だから、取引を増やしていく方針だ。

 そして、商売には色々難しい問題があって、連合が直接乗り出しても上手くいかない。商人の方々に任せた方が上手くいく。儲けも出るだろう。そこで、連合が商人に適切な保護を与える代わりに、商人も連合に貢献して貰う。そういう、お互いに益ある関係を作りたいと考えている。

 この場合、連合が欲する物は明らか。富と情報だ。一方、商人の方々が欲している物は……聞かないと判らない。だから、まずは事情や希望を聞きたい。

 それが、今回の目的だ」


「一番、手早いのは、私ら以外の商売を禁ずる事ですが、タツヤさんもそこまで甘く無いですよね?」


「バカな事が起きないように、何らかの制限は必要と考えている。だが、新規に商人になる事を禁じる事は長期的な弊害が大きいと考えている。

 特に、村が主体の商売は、制限を掛けれない。自分の村に必要な物の買い付けや、自分の村の特産品の販売に制限を掛けるのは村々の反発が大きすぎる。それに、バカな事をする者が出たら、その村に責任を取って貰えば良い。

 悪評は、商人全体というより、その村に付くだろう。連合への貢献も村を介して行って貰えば良い」


「とすると、村々の産物を自由に取り扱うような旅商人だけを議題にしているのですね?」


「そうだ。そのような旅商人が活発に活動する事が、村々の繁栄に繋がると確信している。そして、嫉妬なり言いがかりなりで、迫害される事を危惧している。

 そんな事が起きないように、連合内での商人の位置付けを早めに確立したいと考えている」


「何時もながら、無茶苦茶遠大な事を考える人ですね。神々の神託は、そこまで微に入り細に入り多様なんでしょうねw」


 カイタロウさんもワシが議論したい事に納得してくれたようだ。


 議論とアイデア出しを進めたが、やはり貝貨の問題との係わりが大きすぎる。11月の満月の日を目途に、再度関係者を集めて、会議を行う事のみ決めて。その日の話は終わった。今日が9月22日で、満月は11月11日前後か、兎に角一歩でも進めよう。


 その日のアマカゼの魚類型魔獣料理は、結構おいしかった。昨日、不審を買うような事を言ってしまったが、忘れて、料理に集中してくれたのだろうか。


 次は、内政チート回。石灰岩を取り上げます。


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