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あべこべ世界も大変です  作者: 川木
友達編
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部活紹介

 部活紹介が終わった。

 吹奏楽は演奏が凄かったし、サックスのソロとかめっちゃ格好よかったけど、あの中に素人が入るとか絶対無理なのでやめる。興味はあるけどね。

 バスケとか運動系は流す。演劇部も寸劇でも面白かったけど、熱血すぎる気がしてやめておく。


 正直、凄いところって、今さら素人の僕が入っても、情熱がなくてなんとなく興味がある程度じゃ迷惑だよね。

 あとは美術部とか、書道部もあった。書道部は、おっきい筆で文字書いてて格好いい。他はそんなに、大がかりなことはなくて、普通に活動とか紹介してる感じだった。

 ボランティア部とか、兼部歓迎で、定期活動してるのに好きなときに参加してくれたらいいよって感じで、気楽そうだった。内申点にもいいよって言うのもひかれた。


「たくちゃん、いいのあった?」

「うーん。あんまり大会目指してるようなのはあれだし、ボランティア部とか、いいかなって思うんだけど」

「まあ、あれなら、入ってから他のも入りやすいし、入ってるひとも多そうだから、友達増やしたいってたくちゃんの希望にもあうんじゃない?」

「そう思う? うーん、明日とか、見学行かない?」

「いいよ。気に入ったの全部見て回ろうか」

「うん」


 明日から部活の体験入部期間だし、見て回ってから決めてもいいよね。


「高崎さんたちはどうする?」

「え、一緒していいなら、一緒にまわりますけど」

「んー。私もまわりたいけど、心は結構、吹奏楽かなぁ」

「それは私もですけど、見学くらいなら、見たいとこありますし」

「それもそうだね。うん。じゃ、四人で回ろうか」


 よーし、早速明日、って、また会話に参加してない! ぐぬぬ。かなちゃん、なんで僕と一緒にいて友達いないはずなのに、そんなさらっと話しかけられるの? おかしくない?


 複雑な気分になりつつ、帰宅する。靴箱を出たところで、先輩たちがそれぞれの部活紹介の紙を配っていた。


「バスケ部です! よかったらどうぞ!」

「!」


 勢いよく近づいてきて紙を差し出してこられたので、思わずびくっとしていると、すかさずかなちゃんが僕の前に出て、代わりに受け取ってくれた。


「この男子の分は私が受けとりますね」

「おっとー、ごめんね、おどかして! うちは女子はもちろん、男子もマネージャーとして大募集だから、特に君みたいな可愛い子にはね! よろしく!」

「は、はぁ」


 かなちゃんのブレザーの裾を引っ張りながら先輩を見送る。と、そこにどんどん人が集まってきて、それぞれ部活名とよろしく!と言いながらかなちゃんに紙を渡していく。

 な、何故こんな流れに? 普通は歩きながら渡されるのに。立ち止まったの僕だけど。


 と言うか、数少ない男子だからって、とりあえず勧誘しとこう感はんぱないなぁ。これ、かなちゃんいなかったら大変だったかも。

 うう、かなちゃん、さっきは逆恨みしてごめんね。かなちゃんにコミュ力なくて、先輩にすぐ応えてくれる人じゃなかったら、一気に人がきてパニックになってたよ。


「かなちゃん、ありがとう」

「どういたしまして、帰ってから、詳しく見ようか」

「うん」


 まあ、何はともあれ、これで初日は問題なく終わったぞ。

 あ、僕の会話力の低さが出てしまったけど。でも友達候補もいるし、順調だ! 頑張るぞ!









「たくちゃん、今日は入学おめでとう! 格好よかったわよ」

「ありがとう。でも入学式なんて、別に新入生代表でもないし、何にもしてないよ」

「そんなの関係ないわよ。あ、あと出てくる時、手を振ったのに気づかなかった?」

「……気づいたけど、やめてよ、恥ずかしいなぁ」

「えー」


 家に帰ると、お母さんがご機嫌でお昼の用意をしてくれていた。

 お昼を食べながら、テンションの高いお母さんの相手をする。


「でもでも、たくちゃんは本当に格好よかったわよ。男子の中で一番格好よかったわ」

「他に男子いた? わかんなかった」

「新入生には多分、たくちゃんいれて3人ね」

「……少なくない?」

「まあ、そんなものじゃないかしら。私が学生の時もそのくらいだったし」


 全校だと10人くらい? 今日欠席してる人とか、お母さんの見落としを考えても、僕のクラスは欠席なしで1人のことを考えると、8クラスだから仮に一クラス一人でも、全校で24人……一クラス分にもならないのか。

 それは、男子珍しいってなるか。


「ねぇお母さん、ちょっと聞きたいんだけど」

「なぁに?」

「たくさんの人と一緒に喋るときって、どのタイミングで話したらいいの?」

「あら、もうお友だちができたの?」

「うーん。隣の席と、前の席のかなちゃんの隣の人と、連絡先交換した。明日も、一緒に部活見学する約束はしたよ」

「よかったわね」

「う、うん。それはいいんだけど、話すタイミング難しくて」

「そうねぇ。……まあ、無理に話そうってしなくても、話したいタイミングで言えばいいと思うわよ」


 うーん。だからそれが難しいんだけど。

 ずっと黙ってるわけにいかないし、と言うか……お母さんとか、そう言うので苦労したことないから、そう言っちゃうんだろうなぁ。

 お姉ちゃんもずばずば言うタイプだし、あてにならない。かなちゃんも言わずもがな。先輩にも普通に自分から答えるんだから。


「うーん。あれ、と言うか、お姉ちゃんは?」

「部活してるわよ。勧誘で見なかった?」

「そう言えば……バスケ部だっけ?」

「そうよ」


 春休みも何回か出掛けてたね。そう言えば。ふーん。なら、明日はバスケ部も見学に行っちゃおう。


「たくちゃん、今夜は外食しましょう。何がいい?」

「えぇ、別にいいよ。明日も学校だし」

「駄目。だって入学式なのよ?」

「う、うーん」


 まぁ、祝ってくれる気持ちは嬉しい。中学の時のことを考えると、どうせ最初の授業何てたいしたことしないだろうし、いいか。

 じゃあ何がいいかな。ハンバーグとか、お肉がっつり食べたい気もするけど、せっかく外で食べるならお寿司とかもいいなぁ。


「……お寿司か、ハンバーグか、中華がいい」

「範囲広いわね。じゃあ、お母さんはその中ならお寿司かしら。やっぱりお祝いと言えば、お寿司かステーキでしょ」


 え、そうかな。別にお寿司も、家では食べないけど、そんなにお祝いイメージないけど。まぁ、お母さんがいいならそれでいいけど。


「じゃあ、お姉ちゃん帰ってきて、お寿司でいいって言ったらそうしようか」

「そうね。あ、お店予約しておくわね」


 機嫌よくお母さんは立ち上がって、携帯を持って電話し始めた。早い。お姉ちゃんに聞いてからって、そうねって今言ったの何だったの? いやまぁ、お金出すのお母さんだし、いいんだけど。


「ごちそうさま」


 食べ終わったので、食器を下げる。


「あ、洗い物はまとめてやるから、置いておいてくれていいわよ」

「あ、うん。わかった」


 洗おうと思ったけど、そう言うならいいか。午後から何しようかな。

 あ、そうだ。かなちゃんに、新しい友達について相談しておこう。

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