間話 冴えないヒーラーのしつけ方
「ま、まだ、あと五分なの...」
「ユフィ、いい加減起きてください」
私、アリアはタロウ様になんとか無理を言ってユフィをパーティーに加えてもらったのですが、彼女をしつけるのはなかなか難しいです。
ですが、そんなポンコツな彼女だからこそ、しつけがいがあります。
「―――――ブリザード―――――」
「ひゃっ!なんなの!死んじゃう!死んじゃうの!」
「ようやく起きましたね、ユフィ。さあ、朝の特訓にいきますよ」
「と、特訓!?そんなの聞いてないの!」
「今初めて言いました。早くしないと、また魔法を唱えますよ」
「わ、わかったの。わたし特訓は大好きなの。だから魔法はやめてほしいの」
今日は、タロウ様たちの特訓もひと段落したところでお休み。
ずっとぶっ続けでグリフォンのクエストもあったので大変だったでしょう。
ということで私は、この休日を活かし、ユフィをしっかりしつけなくてはいけません。
しかし、どうやってこの子のポンコツを治せばよいか...。
「な、なんで特訓なのにこんなところに来るの...」
ユフィが愕然とした表情でつぶやく。
私たちが訪れたのは、この街唯一の図書館である。
「ユフィあなたには、魔法のお勉強をしてもらいます。あなたはなかなかの魔力を持っているので高度な魔法も使用することが出来ますが、魔法の中身を全く理解していないので、あんなミスを犯してしまうのです」
「いや!いやなの!勉強だけは絶対にいやなのーーー!」
ユフィはそう叫びながら逃げ出す。
しかしこれは想定済みだ。
ユフィの性格上勉強嫌いなのは見てわかる。
しかし、この特訓には彼女が、パーティーに残っていられるかが掛かっている。
意地でも彼女には勉強してもらわなければならない。
「―――――雷電―――――」
指先から放たれた白い稲妻はユフィをしっかりと捉える。
「ぎゃあ!」
ユフィは倒れこみ、私はユフィに近づき、ユフィの左手と私の右手に手錠をかける。
「私、これ見たことあるの。私の里で悪いことした人はこれを付けてたの」
「さあ、私と一緒に勉強しましょう」
「いや!勉強だけは勘弁なの!私、まだ悪いことしてないの!」
こうして、ようやくアリアとユフィの特訓が始まった。
しかし、それからユフィの姿を見たものはいないという...。
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