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第29話○現実


 どれくらいの時間が経っていたのだろう……

 長い眠りから覚めるように目を開けると、見覚えのある天井……

 いつも通りの風景が広がる家の中だった。


(夢でも見たのかな?)


 私は記憶が曖昧で、気だるい身体を伸ばし、首を傾げながらゆっくりと立ち上がった。

 ……が、手のひらに握り締めていたクマのぬいぐるみを見て、昔に戻ったこと、不思議な出来事の全てを思い出した。


 あれは一体何だったのか……


 願ったことによって起こった幻覚?


 私は昔に戻った時に聞いた不思議な声のことを思い出した。


『タイムスリップじゃない……戻りたい瞬間に意識だけ飛ばしたんだ……』


 ふと……もう一度、彼に会いたくなった。


 意識だけその瞬間に飛ばせるというのなら、出来れば出会った最初から……


 クマを握り締めてあの時のように願ってみたが何も起こらない。


 ゲーセンで誕生日プレゼントを取ってもらった瞬間に……


 やっぱり何も起こらない。


(きっと夢だったんだ……)


 そう思おうとしたが、その場にいるような鮮明な感覚と不思議な声が、どうしても気になっていた。

 ……と同時になぜか泣きそうになったり、時々自分が変なことを言っていたのを思い出した。


「顔が似てると運命も似ちゃうのかな……」


(私は未来を既に知っていた?)


 ふいに友人との会話の中で聞いた『デジャヴ』という言葉がよぎる。


 この瞬間この光景を見たことがある……

 次の行動が分かる……

 日本語で言うところの既視感というやつだ。


 デジャヴはフランス語で『もう見た』という意味で、昔人間に備わっていた予知能力が、平和な世の中になり退化した名残という説もあると友人は言っていた。


 その時は世間話程度にしか思っていなかったが、思い返すとその神秘性を否定できない自分がいた。


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