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第11話■異動


 結婚したその年、彼女は親父が前から打診をしていたケアマネージャーの試験に合格した。

 年が明けてデイサービスの仕事をしながら研修に通い、4月からケアマネージャーになった。

 そして親父の思惑通り、辞める予定の職員の後を引き継ぐために、ヘルパーとケアマネ事業所を兼ねた僕がいる事務所に異動してきた。


 彼女の仕事ぶりは未経験の新米ケアマネにしては中々のものだった。

 自分の事となるとボケっとしているくせに電話の時は別人のようにテキパキとしゃべり、仕事も丁寧で同僚曰く「一緒に働くまで誤解してた~ごめん」と言う程だった。


 仕事上一緒に訪問することもあり、(本当に本人か?)と思った瞬間もあったが、仕事以外のところは相変わらずドジだった。


 訪問に使う自転車を運転中に滑って転んだり、休憩中にソファーで昼寝しようと寝転ぶ目測を誤り後頭部をぶつけたり……

 どこでケガをしたのか、たまに手から血が出ていたりするので、仕方なく絆創膏を投げてみた。


 ある雨の日……

 車で向かった訪問介護が終わり、次は歩きで行く予定だったのでカギが濡れないよう事務所に置いておくことにした。

 ……が、時間がなかったので玄関から靴を履いたまま机に投げてみた。

 ……が、ノーコンなのでマットの上に落ち、たまたま横にいて書類を書いていた彼女の顔に雨ガッパの水が掛かった。


「何コレ? え?」


 液体の出どころが分からない彼女は、呆然として固まっていたので「水だよ」と教えてあげた。


「……じゃなくてごめんでしょー!?」


 怒鳴り声が外まで聞こえた。


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