暗闇の館
あらかじめの注意です。この短編小説は芥川龍之介著の「羅生門」を元に著者の文章力を上げるために執筆したものです。この文章は読みにくいなどご不満な点やもっとここをこうしたほうがいいのでは?などの改善点などはコメントにて承ります。尚、もし盗作と判断されるならばこれもまたコメントにて承ります。即刻削除致します。
高校生の書く短編小説です。汚くはありますが最後まで読んで頂けましたら幸いです。
ある日の夕暮れのことである。
名も知れないような若者が溜息を吐きながら歩いていた。
「どうやって生活しよう。このままでは飢え死にだ。」
と、いうのもこの若者の住む村やその周辺一帯では米や野菜の不作、疫病の蔓延、更には竜巻と不運なことばかりが続き貯めてきた食糧や金が底をついてしまったのである。
「頼る親族もいない、食べるものもお金も底をついた。これからどう生きようか。」
そう言いつつも心の中では本当は分かっていた。生きるには盗人になるしかないという事を。だが若者は盗人になる事になかなか勇気を出せずにいた。
幾分か歩いた時、とある廃れた館を見つけた。
「ああ。ここも随分と廃れたことだ。」
若者には覚えがあった。この館は幾年か前、この村でも随一の金持ちが建てた館でそれはそれは豪勢な館であった。しかし今ではもうこのざまである。
「もう誰もいなさそうだし少しぐらい、いいよな。」
若者はそう言って館の中へと入った。
館の中はもう先客がいたのだろう。あると言えばもう使えないような家具や割れた皿ばかりである。
そうして使えそうなものを探して行くうちにある部屋にたどり着いた。
その部屋には誰もいないはずなのに薄っすらと灯りがともっているのが少し遠くからでもわかる。
「こんなところで一体何をしているのだろうか。」
他の部屋を見て回ってももう金目の物や使えそうな物など何処にもない。
「ゴクッ」と生唾を飲み込むと近くにあった廃材を手に持ち扉の隙間から覗いた。
そこには老婆が一人、「何か」から「何か」をプツップツッと抜いていた。老婆が何をしているのか、何のためにこんなことをしているのか気になり、意を決して勢いよく扉を開けこう言い放った。
「こんな時間に何をしているんだ。言え、言わんとこの場で叩きのめすぞ。」
この時の若者には館を見つける前の考えなど微塵たりとも憶えてはいないだろう。
老婆はびっくりし、目が飛び出るのではないかというくらいに開き、皺ばかりの薄い唇で一、二度あうあう。声にならない声を発すると怯えるような声でこう言った。
「わ、わしはの、この死骸の頭から髪を抜いての、かつらにして売ろうと思ったんじゃ。」
それを聞いた瞬間、若者の心にさっきまであった好奇心など無くなっていた。その穴を埋めるようにとある別の感情が渦巻いた。
若者は呆れたような、もしくは悟ったような声でこう言った「さっきはすまない。言い過ぎてしまった。1つ聞きたことがあるのだが、何故かつらを作ろうと考えたのだ。」
老婆は少し安堵したのかさっきよりはいくらか明るい声で饒舌に語り始めた。
「ここ最近不作が続き、食糧も金も底をついてしまったんじゃ。そこで金目のものがないか村でも豪勢やったこの館に訪れたんじゃ。もう金目のものがなく半ば諦めていたところにこの死骸を見つけたんじゃ。こいつはの、この館の主人での、人を騙し金を巻き上げては裕福な生活をしてたんじゃ。この主人は悪人じゃ、世の中のためにならん事ばかりしてた輩じゃ、わしがこの死骸からかつらを作ろうと、誰も恨まんし逆にやっと人の役に立ったんじゃ。喜んでもらいたいわい。」
この話を聞き終えた時、この若者の心には老婆への憎悪などの他にある勇気が生まれた。それは、館に入る幾分か前、歩いていた時には欠けていた勇気である。決心がついた若者はすっと立つと
「なら私がお主からその着物を盗んでも文句は言いまいな。」
と言い放ち老婆に襲い掛かると老婆が着ていた着物を全てはがし逃げ去っていった。
それから幾分かのことである。
老婆は身ぐるみはがされた後気絶してしまい今気がついたばかりである。老婆は館の窓から外を見た。外には暗い暗い世界が渦巻くばかりであった。
とある精神科学者は遺伝子「ミーム」を公表しました。これは遺伝子というわけではなく感情の移り変わり、流行の移り変わりを架空遺伝子ミームによって説明するためのものです。このミームと言うのはいわば感情そのもの。流行に流され、周りから遺伝子bを貰い、まるで人が前のことを忘れるかのごとく自分が前もっていた遺伝子ミームAを忘れていく。そんな遺伝子ミーム。ただしこれは自分で選ぶことができるのだそうです。若者は選べなかったのか。どう心が移り変わっていったのか。この後どうなったのか。原作の「羅生門」を読んでいてもこれを自分で読んでいてもそう思ってしまいます。この作品を読んでまた羅生門を読もうかなと思って頂けたらそれもまた嬉しいです。
最後まで読んでくださりありがとうございました。コメント等あればよろしお願いします。それではまた。