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番外編 新聞配達人のカザーナ

ルイスはこの町の太陽だった。

いつからかひょっこりと現れた彼女は不思議な事が多く、しかしいつも笑顔でみんなの人気者だった。


「あら、カザーナ。今日も配達?ご苦労様ね」


普段は誰も会わない早朝の時間帯に会うようになった彼女は毎回挨拶をしてくれる。それが毎日の楽しみになるのに、そんなに時間がかからなかった。


「ああ、ありがとよ」


しかし、彼女が朝早くに会うようになったのもこの町に一人の男がやってきてからだった。どこかのおぼっちゃまのような彼は金銭感覚も金持ちで、性格も見事だった。

そんな彼にルイスは色々教えはじめ、構うようになった。


「なぁ、ルイス」

「ん?なぁに?」

「あいつってどんな人?」

「あいつって?」

「……最近この町にやってきた奴だよ。」

「あぁ、アーシャネットのことね」


ルイスはんー、と少し考えの込む。

そしてそんなルイスをよそに俺は段々苛ついてくるのがわかった。自分の知らない間にどんどん親しくなっているのが気に入らない。というか、ルイスと出会ったのは自分が先だし、彼女の色んな事もしっている。だからこそか、ルイスのことを他の人に知らされたくなかった。


「性格もツンツンしてるわ。けど、優しいところもあるのよ。」


ルイスは笑顔で俺に別れを告げた。

一応自分も別れに手を振るが、そこに笑顔はなく、ただただルイスの後ろ姿を見つめるだけであった。






それからしばらく経って、新入りの男は少しずつこの町になれてきていた。


「おう、カザーナ!配達終わりか?」


ルイスの言うとおり、彼は優しかった。この町の人と触れ合って、人間性をどんどん豊かにしていく。町の人も根はわるくないアーシャネットを知り始めると声をかけ始めるようになっていった。


「……ああ。今日は少し時間がかかってしまったが」


いつも昼ごろに終了するものが辺りはすっかり夜だった。だからだろう、彼にあってしまったのは。大体彼は俺の配達が終わる昼ごろには店にいてほとんど会わない。


「カザーナとは時間が噛み合わなくてあまりあえないから今日、会えて嬉しいよ」


俺の気持ちもなにも知らないアーシャネットが腕を頭の後ろで組み、笑う。


「あぁ……俺も会えて嬉しいよ」

「無理だけはするなよ」

「いつも通りなのにいつ無理をするんだ」

「いや、今日はちょっと疲れてそうだったし」


顔が整っている彼は誰もが惚けてしまいそうになる柔らかい笑顔を見せる。


「またな」


アーシャネットは俺に背をむけ歩き出した。そして不意にこんな時間に出かけるのか気になった。彼は、いつもは持たない大きな荷物を背中に背負っている。

これは不自然なように思えたが、俺は特に気にしなかった。




久しぶりに見返すと番外編が作りおきされていました。


この話は上の通り、第三者からみてのお話です。

少しここで設定話を。


カザーナは王都のニュースを町に広げるための新聞会社の長男です。将来は自分がここのまとめる人になるんだと早くもわずか9歳で自覚するという、なんとも賢い青年。現・18歳。

しかし、その賢さ故に真面目でおちゃめなことが出来ない性格。それから、肝心なときにダメ男。


続きは、次の話の後書きで…

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