お城から追い出されるわがまま王子
「お前は次期王としての自覚が足らんのだっ!」
とある国の王城に罵声が響いた。
「自覚ならはっきりと心に刻み込んでおります、陛下。」
「なっておらんのだ、このクソ息子め!」
思わず耳を塞ぎたくなる声量だが、塞ぐと余計にひどくなることを人生を通して学んだ。だからしない。
「ならば、何が足らないんでしょう?私にはさっぱりです。」
わざとらしく両手をあげ肩をすくめる。
ーー俺、ネンジュリス・アーシャネット・トーラシュは次期王として生まれた。剣も勉学も1人前に励み、にいわゆるデキる人なのである。
「……ネンジュリス、お前に一つ課題をやろう。」
目の前にいる父親、国王陛下が咳払いをする。
「下町に行き、利益が出るまで帰ってくるな。」
「…それは、私に商売をやれ、ということですか。」
「よくわかってじゃないか。そう言うことだ。ほれ」
すると、パンパンと手を叩くと衛兵が自分の周りにやってきて王子とは思えない扱いをされる。腕を両方抱えられ無理矢理立たされる。
それに珍しく父上に褒められたが、こればっかりは嬉しくない。
「ちょっ…!陛下!……おい!」
「しっかりやる事だな。」
………そんな事で、俺はあるボロボロな家に放り込まれた。
ベッド、キッチンらしきところと生活必要最低限はあるし、多少の食料が常備されている。
でも、だ。跳ねない、まるで板のようなベッドに寝れる訳がない。あんの、クソ親父。
とにかく、色々中を捜索していると大量のお金が出たきた。
ははーん、なるほど。これを使ったらいいのか。
そして、ふとある事を思い付く。
「………見てろよ、すぐに終わらせてやる……!」
俺は、次期王となる身だ。早く戻って政務をしなければ。
真っ暗な部屋の中で不気味な笑い声が響いた。