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bio element  作者: 桃月
6/25

6.O

「えっと……現在回収出来た元素は銅とカリウム、それに今手に入れたコバルトとアルミニウム。

20種の元素を集めないといけないからあと16個もあるのか……まだまだ先は長いな」


コアの部屋で元素の確認をし、新しく扉に表示された数字をみると「6/8.26」となっている。

この新しく出現した扉は論外だと思うが、「1/2」と「8/2」のどちらか……。

多分……ここを乗り切れればこの世界の攻略も少しは楽になるはず。俺はそう願い「8/2」の扉に向かった。


そんなに広くもない部屋で、一際目立っているのは目前の壁に設けられた電光掲示板。その掲示板には青い色で21%と表示されている。

そして部屋の中央の床で何かが燃え上がっていた。その火を消してくれと言わんばかりにいくつか用意されている鉄製のバケツに入った何かの液体。

後は一番最初の部屋で見た排水口のようなものが今度は壁に一箇所ついていた。


「この中で何か出来るとしたら火とバケツに入った液体か。そもそも何の液体なんだろう……」


ふと背後で何か気配がしたので振り返ると女の子がバケツの液体をガブガブと飲んでいた。


「ちょ……何飲んでるんだよ! もし劇薬だったりでもしたら……」


「ほっといてよぉ……。どーせうちなんか……登場シーンも省略されるくらい

影が薄いキャラで世の中の嫌われ者だし……。だからこれ飲んでポックリ逝っちゃえばいいのよぉぉ」


どうやら先程回収したコバルトのようだ。


「そ、そんなことないって! 後でちゃんと説明しようと思ってたから……それにコバルトが影薄いなんて思わないって。

だってほら、がん治療とかで有名じゃん! あとじゃがいもの発芽防止で頑張ってるってよく聞くし」


「……ホントに? あなたを……信じてもいいの?」


「あ、ああ。もちろんだよ」


「……うん。そんな風に言ってもらえたの初めて。……アリガト。じゃあ二人が出会った記念にこのコバルト60を……」


「ちょっと待てぇい!! そんなもん生で出されたら危険すぎるわっ!!」


俺がコバルトと変なやり取りをしているとコッパーがバケツを持ち火に向かって走って行くのが見えた。


「てりゃーーーーっ」


コッパーが液体を火に掛けた瞬間、爆発したかのように火は飛び散り、またもや緊急事態に昇華した。


「ありゃりゃ~、お水だったのになんで消えないんだろ?」


「だからあれほど勝手に行動するなと……あれは?」


床の一部がガラスで出来ている。おそらく最初火が燃えていた場所で、コッパーが水を掛けたせいで火の場所が移動したのだろう。


しかし、それと同時に自分の身体の異変に気付く。呼吸の乱れや頭痛が脈を打つたび酷くなっていく。

何かを触ったり飲んだりしたわけでもないのに何故……何か気体を吸い込んだとか……。


「掲示板がいつの間にか変わってる……赤い数字で16%……」


この状況、消火が第一優先みたいだ。水を使っても消えない火となると酸素の遮断でいくしかない。


「コッパー! この部屋に散らばった火をすべて銅で囲い消火してくれ! 」


「はーい! なるほどー。そうすればよかったんだね」


コッパーは火の上からたらいを落とし、銅の熱される音が響きわたる。

俺はふらつきを耐えながらガラスで出来た床に近寄よると中には透明な結晶がみえる。俺はガラス越しにクロクラを近づけた。


「テッテレテッテッテー」


またもや奇妙な音が流れ女の子が出現した。


「あっ、えっと……こ、こんにちは、元素第2……あれ1だったかな? 18族2のヘリウムです。よろしくお願いします」


なんかすごくおっとりした感じでにこやかな表情がとても似合っていた。


さっきまで感じていた頭痛も治まり、掲示板の数字は青で23%となっている。

さっきまでは気付かなかったがまたもや排水口から気体が送り込まれているようだ。

ここの扉の数字は8/2……、だからこのステージで回収出来る元素はヘリウムと酸素。

だから排水口から出でいる気体はおそらく酸素だ。掲示板の数字は室内で燃焼が起きている時に低く、

酸素が送り込まれた事によって上昇したのであれば室内の酸素濃度の目安なのかもしれない。

酸素濃度が低すぎても高すぎても命の危険に変わりはないから急いで回収しないと。

ただクロクラが反応しないところをみると、気体のままじゃ回収できないのだろう。

酸素が液体になるには-182℃以下にしなければいけない。


「ヘリウム、さっそくで申し訳ないがあそこから出ている気体を液体になるまで冷却してもらえないか」


「き、気体ですか……!? ううっ、わたし目が悪いみたいでよく見えません……」


「いや……普通見えないから。排水口から出ていると思うんだがそれを……」


「そーゆー事だったのですね。りょーかいしましたっ! では気体さん、どうか液体になってくださいっっ」


ヘリウムが気体に向かってふうっと吐息をかけた瞬間、薄紫の液体がぽたぽたと落ちてきた。


「おおっ! ちゅごい……!? 」


自分の声が裏返ってアヒルみたいになっていた。ヘリウムを吸い込んでしまったせいか……。

俺はすぐさまヘリウムをクロクラに収め、液体から酸素を回収することが出来た。


「うーん、やっとあたしを回収してくれたのね。退屈すぎて爆発起こしちゃうとこだった。あたしは元素第2週期16族8の酸素、アクシーって呼んでね」


「……元素って変なやちゅしかいないのか」


「あははっ! 何その声! あんたの方がおかしいわよぉ」


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