聖獣に愛されし少女 (後編)
F・9・9
聖獣に愛されし少女 (後編)
「ふわぁ……ふぅ……」
「なあ、お前冒険者なんだろ?俺を連れてってくれよ!
おい、なんだ……眠いのか?」
俺の元に3人の小学五年生ぐらいの男子がやってきた。
3人の目は本気だが、この先何が起こるかわからない。
「よし、ならあの人に言うがいい」
俺は戦闘狂を指差す。
レッドは俺達の視線に気付き、やって来る。
レッドは少しだけ少年達を威圧しながら近くにあった木材の上に座った。
「話なら聞いていた。お前ら、私と一緒に来るか?」
少年達はブンブン首を降っていた。
そのうちもげるんじゃないか?と思いつつ、少年達の次の行動を待った。
「言っておくが、それは俺よりも強いぞ?」
「怖いから嫌だ」
「魔獣はこれよりも恐ろしいぞ?」
「それはわかっているけど……この人といると何か危険な目に遭いそう」
「俺といる方がよっぽど危険だと思うが?
それに俺はEランクという最低ランクの冒険者だ。
何も教えてやれることはない。だが、あれは最高ランクの冒険者だ。
たくさん学べるだろう」
「けど……kりんが
『私達はアイナちゃんについていく』
って言っていたから置いていかれるのが嫌なんだ」
俺がこれを聞いた時、ニヤリと笑った。
きっとこいつはカリンって子が好きなんだろうと。
これは人肌脱いでやらなければ。
「わかった。同行を許可しよう。
ただ、そこのお前。ちょっと来い」
それ以外の2人は喜び、何処かへ消えて行った。
あとの1人……は俺の後ろについてきている。
「お前、カリンって子が好きなのか?」
「ちっ、違う。断じて……」
「本当はどうなんだ?」
「煩い!!」
図星か……
「まあ、俺は協力するぜ?」
「……ありがとう」
「気にするな」
俺たちは茂みから誰もいないことを確認し、村に戻った。
村に戻った後、魔法で簡単に壁を作り、簡単に魔獣が入り込めないようにした。
「レイン」
「何?」
「お前の兄は?」
「えーっと……彼処」
レインは周りとは全く違う種類の木を指差した。
木はガサガサと揺れ、足と手が生えた。
それを見ていた陽炎のメンバーは警戒し、子供達を守るように動く。
まるでレイン兄は歩く木……そう、トレントみたいだ。
「やあ、カズキ」
「ウィンディか……お前、どうやってここに来た」
「えーっと、魔獣の方の知能のない竜に乗ってきた。と言っても喋れないだけだけどね」
「陸も大丈夫か?」
「陸ならねえ……」
ウィンディはパチンと指を鳴らした。
すると、ウィンディの背後に黒い穴が出現し、そこから馬が出現した。
「こいつを使えばいいよ。ストールって名前なんだ。25人くらいなら余裕で引っ張れるよ」
「よし、なら馬車の方を作るぞ」
俺はこの後1時間かけて馬車を完成させた。
強度は高度2000メートルから落ちてもびくともしないぐらいだ。
ただ、馬が耐えれるかわからないが。
「後出発まで1,5時間」
「じゃあ、食料調達にいかない?僕、アイテムボックス持ってきているんだ」
「でも対した奴いねぇぞ?動物しかいないと思う」
「それでも猪とか食べれるんだしいいじゃない。じゃあ、行くよ」
「「「え、俺たちも!?」」」
「じゃあ、お前らは飯が必要ないんだな?」
俺が聞くと少年達はウィンディの後ろを一生懸命に走っていく。
ウィンディのやつ、わざとスピード上げてるな。
「はあ、はあ……速い…」
「なんて速さだ」
「あんなの追いつけねぇよ」
少年達はそれぞれ走った感想を言う。
少年達は疲れたのか寝転がった。その瞬間、ウィンディの方からの魔法が放たれてきた。
「!?」
「君達走っただけだよね?ノルマ3匹。狩って来い!!」
3人は勢い良く立ち上がり森の中に消えて行った。
俺はやりすぎなんじゃないか?と言ったが、
こうでもしないと生きてられないとウィンディが厳しめだけどと最後に付け足して言った。
其の後、ウィンディは俺の目を見てある合図をした。
俺も目で合図する。
「おい、そこでこそこそしているやつ出てこい」
「やはり気付いていたか……流石冒険者だな。
だが鷹がEランク2人だ。この数を相手出来るか?」
2人じゃないです。1人です。
もう1人は魔王の息子です。
「君たちに教えてあげよう」
「何をだ?」
「僕が雑魚で無いことを!!」
ウィンディは盗賊の視界からいなくなった。
盗賊は嘲笑い、ウィンディを馬鹿にする。
しかし、盗賊は1人ずつ倒れて行く。
「置いて行くなんてひどい仲間だなぁ。
まあ、俺は優しいから一緒に殺してやるよ」
盗賊は俺の方へ駆けてくる。
俺は動かず盗賊を観察する。
「なんだ怖気つ……」
盗賊は俺のアッパーを喰らい、綺麗に宙に舞う。
宙に舞う盗賊は当たり前のごとくしたに落下していくが
ウィンディが踵落としを食らわし、勢い良く地面に叩きつけられた。
「なんかつまんないね」
「そうだな……お前にこれをかそう」
俺は鉄製魔導銃を2丁取り出し、片方をウィンディに渡した。
この魔導銃は魔弾で攻撃するわけではない。
水で攻撃するのだ。
予め水魔法の魔法陣を刻んでおき、そこに魔力を流す。
流した分だけの魔力が水に変換され、圧縮された水は一直線に鉄の剣を切断した。
「これは何?」
「魔導水鉄砲だ」
魔導水鉄砲。魔力の込めように威力は異なるがミスリルくらいなら簡単に切断できる。
鉄の剣なんてものは少し力を加えれば切断できる。
「で何をするの?」
「今残っている盗賊は30人。
アジトには70人いるそうだ。
どちらが速く殺れるか競争しようぜ?」
「その勝負乗った!」
俺達は走りだし、片っ端から魔導水鉄砲で首を刎ねる。もしくは、体の何処かをぶち抜いて殺してゆく。
中には心臓を撃たれ、空いたところから噴水のように血が飛び出る死体があった。
「ひぃ……化け物だ」
「ま、待ってくれ……」
「お前はそう命乞いしたものを生きたまま見逃したか?なわけないよなぁ。自分たちの汚点を見られたんだから殺さないとなぁ」
俺は四肢を切断し、殺す。
もうここ周辺は血や脂で異臭を放っている。
魔獣が寄ってきそうだ。
この後俺達は集合し、アジト襲撃に向かった。
盗賊団のアジトがあるのは村の裏にある森の地下のようだ。
広さは大阪駅(新大阪じゃないよ)の敷地を半分ぐらいにしたくらいで
よくこんなものを地下に作ったものだと感心するくらいだ。
地下には魔獣が出現し、偶に盗賊が不意打ってくる程度だった。
あっという間にアジトの中心まで到達し、盗賊団の頭と思われるものと戦闘中だ。
盗賊団の頭はハゲだ。
ハゲって言ったらものすごく怒った。←普通?
「ハゲハゲ煩いんじゃ!!」
「僕は本当の事を告げているだけなんですけど?」
「そうそう。現実を早く受け止めた方がいい。ハゲ頭」
俺達はハゲ頭の攻撃を避け、水鉄砲で残りの毛(実は微妙に残っていた)を取り除く。
「ああ、俺の髪が!!」
「お前なんぞハゲで十分だ」
「ぎゃあああああ腕がぁぁぁぁああ!!」
「ごめん♪少し毛が生えていたから消そうと思って」
「ウィンディ!お前ばっかしずりぃぞ」
そういうことで俺も参戦。
結果ハゲ頭の意識が飛ぶまで遊んだ。
勝負の方は34で俺の負け。
ずっとハゲを殺すのに夢中だったから仕方ないかのとだよね?
でも、楽しめたし気にしない。
おっと。そろそろ狩りの方に移らなきゃ。
「ウィンディ行くぞ」
服についた血を落とし、少年たちと合流して狩り行った。
計40匹の魔獣や動物を解体し、鞄に収納する。
収納が終えた頃にはもう少年たちの旅立ちの時間が迫っていた。
馬車の方は空間魔法を使用し、車内の広さを40倍くらい広くし、
それをレインの部屋を20%、俺とウィンディを25%、残りを少年、少女達へ譲った。
と言っても15%を共有の場にしているが。
本当はもっと大きくしてやりたかったのだがもしものためにこれくらいが限度だった。
念のためにレインと俺たちの部屋を行き来できるようにしたが基本少年達を俺たちの領域に来ることを禁止した。
「お前ら覚悟は出来ているんだな?
生き物や人を殺す心構えはできているよな?」
俺の言葉に少年達は頷く。
「もう荷物は放り込んでいるよな?
もしそうでない場合、後7分で戻ってこい。
それで来なかったら置いてくぞ」
誰も村の方に行かなかったので、俺達は何も言わずに馬車に乗り込み出発した。
聖獣に愛されし少女 (完)
【聖獣に愛されし少女】編が終了しました。
次は何にしようかな……
【暗い世界で出会う者】
とかかな……
後、明日から講座が始まるので更新が出来ない可能性があります。