討伐依頼 前編
F・9・5
「今日も依頼を受けるとするか」
俺は宿屋から出てギルドへ向かった。
ギルドでは何やら人集りが出来ていた。
「どうしてこんなに人集りが出来ているんですか?」
「知らないのか?
今日、世界に6人しかいないSSSランカーでチーム陽炎を率いるレッド様がこのギルドに来てんだ」
「SSSランカーか……」
こんなに人集りが出来ているならこれは依頼を受けるのは難しそうだな……
あ、でもその人が移動したから周りの人も移動したな。
今がチャンスだ。
俺は2階に行き、掲示板を眺めた。
E3/3 ゴブリン討伐
内容 エルグ村近辺にある巣から漏れたゴブリンを5体討伐せよ。
報酬 半銀貨1枚
今報酬の欄をみて思い出したのだが、この世界での硬貨の価値をせつめいしていなかった?な。
銭貨100枚で銅貨1枚。
銅貨100枚で銀貨1枚。
銀貨10枚で金貨1枚。
金貨10枚で白金貨1枚。
白金貨10枚で神金貨1枚。
銭貨50枚で半銅貨1枚。
銅貨50枚で半銀貨1枚。
銀貨5枚で半金貨1枚。
金貨5枚で半白金貨1枚。
白金貨5枚で半神金貨1枚。
銭貨1枚は1円なので、
半銅貨1枚は50円
銅貨1枚は100円
半銀貨1枚は5000円
銀貨1枚は10000円
半金貨1枚は50000円
金貨1枚は100000円
半白金貨1枚は500000円
白金貨1枚は1000000円
半神金貨1枚は5000000円
神金貨1枚は10000000円だ。
まず、白金貨以上が市場に流れることはない。
神金貨ってものは戦争での賠償金に使われることが多い。
「手続きお願いします」
「ゴブリン討伐ですね……期限は5日間です。依頼を失敗すると報酬の半額を違約金として払わなければならないのでご注意下さい」
俺はギルドカードを受け取り、妖魔の森と言われるオークやオーガ、ゴブリンなどの魔獣が出る場所の浅いところへ向かった。
森の奥に行けば行くほど魔獣は強くなり、種類も増えて行くそうだ。
また、ここは男性なら特に問題ないが、女性は狙われる可能性が高いことから受ける前に注意などを受け、チームで行くのを勧められるらしい。
「えーっと、討伐証明はゴブリンの両耳ね。流石に鞄に入れるわけにはいかないから安くてボロボロで拾ったやつに入れるとしよう」
あくまで俺からしたゴブリンの価値観はゴキ並だ。そんな汚いものを鞄に入れたくない。
ゴキで思い出したが、九州に旅行へ行った時、駅構内で買った弁当にゴキさんが入っていたな。
あのゴキさんのせいで400円パーになったのは記憶に新しい。
「あー昔のこと思い出すとムカついてきた」
俺はそう言いながら森の中を進む。
視界はどんどん暗くなって行き、やがて日の入り前ほどに暗くなった。
あたりで動物の鳴き声が聞こえ、蛇が木々に巻きついている。
それからしばらく歩いた頃、オーガと遭遇した。
「討伐証明は首だったか?それなら最高品質で渡せるかもしれないな」
俺は近くにあった枝を3本へし折り、剣がわりとして構える。
「gaaaaaaa!!」
「死ね」
枝をオーガの顔に向かって2本の枝を突き立てた。
枝はオーガの目に吸い込まれるように突き刺さり、そのまま頭蓋骨を貫いた。
「目潰しにはなったが……死ななかったか……ならばこうだ」
暴れるオーガの脛を蹴り、怯ませて目に突き刺さっている枝を掻き回した。
その後、オーガは悲鳴を上げようと口を開いたが、上げることなく絶命した。
「首を仕舞い込んで……次の相手は……スライムか」
赤、青、黄、緑色のスライムがプルプルと目の前に居た。
「………」
無言でスライムを踏み潰し、ゴブリンを見つけるために奥へ向かった。
そして、ようやくゴブリンと出会うことができた。
森を抜けたところにある、林で50匹という小規模なゴブリンの群れだった。
だが、徐々に数が増えて行き、辺り一面がゴブリンと化した。
「ざっと200匹か?」
ゴブリンは一回りほど大きいゴブリンの後ろについて行く。
その先には村があった。
恐らくそこを襲うつもりなのだろう。
「討伐するのは5匹だし、俺じゃ200匹を倒すのは出来ない。討伐証明もできないし、放置するか」
倒すことは出来ないが、消滅させるなら出来る。
と、思いながらさっさと5匹倒そうとオーガと出会った時拾った残りの一本の枝を構え、ゴブリンを襲った。
『ギギ!?』
「こっち来るんじゃねぇ!!」
あっという間に斬り伏せて、帰ろうとした時、一部の集団が俺の方へ向かってきた。
「よっと……うん?あれってオークか?ってことは……まあ、あれだ。あの村に住む人は不幸だったってことにして帰るとしよう」
俺は帰還しようと背を向けた。
「君はゴブリンの大群を見て見ぬ振りをして村人を見殺しにするのかな?」
「仕方ないことだ。
俺にはあれほどの量の魔獣を相手にすることはできない。俺よりも力を持った陽炎さんがやった方がいいと思いますが?」
俺の目の前には陽炎のメンバー(12人中4人)が居た。
リーダーであるレッド(SSS)とサブリーダーであるエメル(SS1/25)
とその他アイレン、グルースで全員Sランク以上だ。
「私は君がオーガを無傷で倒すところを見たよ?」
「……わかりました。協力しましょう。凍れ氷よ、氷の王国」
俺を中心に冷気が流れ、周りの木々やゴブリンを次々と凍らして行った。
また、完全に氷ったか確認し終えたゴブリンは片っ端しから砕いて行った。
「なかなかだね。渦巻け風よ、突風」
レッドの右手から放たれた空気の塊はゴブリンの群れの中央部を襲った。
ゴブリンは空高く舞い上がり、カズキの氷の王国の影響を受け
絶命した。
「切りが無いな」
魔法で倒すのをやめ、自分の手や足で戦うことにした。
拳で片っ端から殴り殺して行くと、一部のオークが俺やレッドのいるところから逃げ出した。
「逃がすか!!」
俺は近くにいたゴブリンを引き寄せ、殴り飛ばした。
殴られたゴブリンはマッハ10くらいの速さでキングゴブリン?に向かって飛んで行き
周りの木々や後ろにいるオークを巻き込んでそれら全部は絶命した。
「凄いな。でも、これを都市部でやられると被害総額が神金貨が必要になってきそうで怖いな」
「失礼な。俺は無闇に力を使わないぞ。ただ、時給神金貨10枚なら考えてやろう」
「魔王とかなら大金は炊いて雇ってくるかもしれんな」
「あー…」
俺は一度【蒼炎】の魔王って奴に配下にならないか?と言われたことがる。
もちろん断った。
断るとうるさいので公衆の前で決闘をしてフルボッコにしてやったわ…
あの時は魚が全く釣れなくてイライラしていたからな……
うまくストレス発散ができてよかったな。
「もしかして……」
「いや、魔王と名乗る魔王に相応しくなかったものだ。せいぜいあれが10人集まれば俺の一番弱い友達に勝てるかもしれない」
「それって?」
「竜」
「嘘だろ!?」
後ろにいたエメルが声を上げた。
「竜ってのは1体で大国を落とせるくらいの力を持った生き物なんだぞ!?
それを弱者というお前は何者なんだ!?」
「さあね」
「おかしい!!まさか、お前魔王だな!?」
「あんな雑魚共と一緒にしないで欲しい」
俺達が会話しているうちにゴブリンと
オークの群れは絶滅して辺りにそれらの体液が撒き散らされていた。
だが、まだ終わりではない。
まだ村にいるゴブリンがいるのだ。
「よし、行くぞ」
カズキはレッド達の後を付いて
その襲われている村へと走って行った。
次話も投稿しました。
明日用事があるため、投稿できないかもしれないので早めに仕上げ、投稿しました。