薬草採取
「半年間お世話になったな」
『いつでも帰ってきてもいいぞ』
『これは俺からだ。自由に使えばいいさ』
俺はセンカから魔石セット基本7属性×8個を鞄の中にしまい、1ヶ月間かけて作った魔導戦闘機に乗り込む。
「今までありがとうな。じゃあ、行ってくる」
家の上に作った滑走路から手作り戦闘機が離陸する。
それからすぐに高度15000kmに達し、速度は3675km/h。7000km離れた目的地まで2時間30分かかる。理由は着陸時の旋回などに時間がかかるからだ。
俺だって馬鹿じゃない。技術の進歩していないところで他所の世界の技術を大っぴらにはしたくない。
聞いた話によると、飛行技術を理解し、実現できるものは今までおらず、それを公開するといろいろな国に追い回されるだとか。
追い回されないための兵器を積んでいるわけだが。
離陸してから2時間、魔導戦闘機はレドラン王国という国にある人のいない街道で着陸した。
「小型化」
戦闘機を鞄の中に仕舞い込み、一先ず森林の中に隠れた。
森の中から街道の様子を見ると、騎士団の人?がやってきていた。
「さっきの飛行物体どこに行った」
「探せ!!探すんだ!!飛行技術を手にするのは我らだ!!」
隠れておいてよかった。
俺が胸を撫で下ろした時、後ろに何者かの気配を感じた。
「隊長、こんなところに人がいますよ」
夢中になり過ぎていたか……
俺としたことが……
ここはどう切り抜けるか……
「賊かもしれん。捕らえよ!!」
「揺れろ大地よ、地震」
「な、なんだ!?」
「親に教わらなかったか?人に刃物を向けていけないと」
「お前は何者だ!?」
「ただの迷子だ」
嘘だけど。でも、街がどの方向にあるかわからないんだよな。
俺は騎士団の人と距離を置き、万が一のために逃げる準備をした。
「迷子?ここに来るための道は5年前の魔獣の侵攻で橋が崩落してそう簡単にこれなさそうだと思うが?」
「旅行で隣の街に行くために港から歩いていたんですが……
息抜きのために森の中の動物と腕試ししていたら魔獣と遭遇しまして……
逃げたらこんなところまで来ていたんですよ」
「そうか……それは災難だったな……身分証明書やお金は持っているか?」
「逃げている最中うっかり落としてしまいました……」
「それは…ミスリル!?」
「旅の途中、山でであったのでこれでどうにかなりませんか?」
「偽物ではないみたいだし……よし、金貨15枚で買おう」
「ありがとうございます。近くの町に行くにはどうすればいいでしょうか?」
「そうだな……よし、着いてこい。身分証明書がない場合はギルドにでも登録すればいい」
俺は騎士の後をついて行き、無事ギルドがあるレリスという町についた。
この町は昔別の国の領地だったそうなのだが、5年前の魔獣の侵攻で壊滅したらしい。
5年前の魔獣侵攻の魔獣は召喚した勇者が30人動員する程だったとか。
他にも、勇者がどれくらいの強さか教えてくれた。
勇者100人集まれば竜を1体倒せる程で、竜1体で国一つ滅ぼせる程度。
後者は前に言ったかな?
また、魔王1人の強さは勇者30人程で世界に13人いると言われている。
「ついたぞ」
「ありがとうございます」
俺はお礼を言い、ギルドがある建物へ向かった。
建物内に入ると、受付が3つのブロックに分かれていて看板に冒険ギルド、商業ギルド、魔道具ギルドと書いていた。
もちろんのこと冒険ギルドのところに並ぶ。
「登録お願いします」
「銀貨3枚です……では、この用紙に職業、戦闘方法、魔法の属性、名前を記入してください」
戦闘方法?剣も使えるし、魔法も使えるし、殴っても竜くらいなら倒せるけど……
俺は職業を魔導師と書き、戦闘方法を魔法(魔術)、殴る、斬ると書き、属性は全属性(炎、氷、風、地、光、闇、時、空間、神、邪、無)の11属性保有しているが、時、空間、神、邪は滅多に持っている人はいないので、無難として基本7属性と言われる属性の炎と氷と風と地属性の4属性として置いた。最後に名前はカズキと苗字は書かなかった。
「カズキさんですね。ここに右手の手のひらを置いてください」
置いた途端、横にある機械からカードが出てきた。
「1度目の紛失は無料で発行しますが、それ以降の紛失は金貨1枚取るのでお気をつけください。ランクの説明ですが、聞きますか?」
「お願いします」
「ギルドランクはE1/3から始まり、SSSで最高ランクとなります。
E2/3に上がるためには同じランクの依頼を3つクリアする必要があります。
ですが、ランクが上がるごとに
D1/4,C1/5,A1/10と上がりにくくなります。これでわかりましたか?」
「ありがとうございました。掲示板は2階ですよね?」
俺はこの後2階に行き、ある依頼を早速受けてきた。
薬草の採取だ。
毒を消す薬草でそれを20株採取すればいいと書いてあった。
この薬草はすぐ近くの草原で手に入れることができ、
魔獣と遭遇しにくいことから大抵の低ランクの人はここの依頼を受けることが多いらしい。
「1つ目……
2つ目……
ここいっぱいあるじゃねぇか……
合計19株!?
1株足りない……」
「兄ちゃんこの薬草いるか?」
4人組の明らか下心見えまくり男女PTのリーダーがゲドク草を持って俺に近づいてくる。
「無料ならな」
「それは出来ねぇ…
有り金全部渡しな。
お前がギルドで金貨を出していたのを俺は見たぞ」
「あー…申し訳ない。錬金術で金箔に変えてしまった」
「嘘付け。もう、めんどくさい!お前ら殺るぞ」
「あ、バレた?この俺を殺る気になったか?それなら…それなら…」
俺は鞄から魔導銃を取り出す。
「そいつをくれるのか……なら無礼を許し……」
男の言葉は続かなかった。
「やるわけねぇよ。どうした?顔を真っ青にして……悪いものでも食ったんじゃねぇの?」
引き金を引き、魔導師の脚の付け根を撃ち抜く。
「ぐっ……」
「これで終わり「待った!!」……なんだ?」
俺は振り向き、1人の乱入者の方を向く。
「お前が低ランカーを狙う盗賊だな?ガイラス、大丈夫か!?」
「お前もあいつらのグルか……
なら、容赦はしない」
乱入者を打つふりをして魔導師と剣士にトドメを刺した。
「お前、俺を殺すんじゃなかったのかよ……おい……」
「俺はお前から攻撃を受けていないから正当防衛が成り立たない。
俺はこいつらに殺されそうになったから魔導銃で殺したわけだ。盗賊を殺して何が悪い」
「ガイラスはそんなことをするやつじゃ……」
「残念だが、そういう奴だ。っと、逃げんじゃねぇ」
下心見えまくりPTは全滅した。
「だが、俺は認めるものか!!ギルドに報告しに行く」
「それなら……お前を殺そう。こいつらの仲間ということでな」
「どうしてお前はすぐ人を殺すと言えるんだ」
「じゃあ、どうしてお前は真実を知ろうとせずに俺を容疑者扱いをしたんだ?
偶然殺そうとした奴が自分達に相性が悪かっただけじゃねぇか。
それを俺の所為にするのは……納得できないな」
「……俺はお前を許さない……」
「そうか」
「だから……俺はーー
ーー今ここで蹴りを付ける!!」
男は剣を手に取り、身体強化で一気に俺の目の前に来た。
だが、まだ遅い。
本気で自転車を漕いだ時と同じくらいの速さぐらいで俺を殺せると思わないで欲しい。
攻めて時速100kmぐらいに訂正して欲しいものだ。
「その威勢はどこまで続くかな?」
「C4/5ランク相手によく余裕を見せれるな。自分が最強だと思っているのか?悪いが、それはない。最強は俺グホォッア」
「変な声出すんじゃねぇ!!」
空高く飛ばされたCランカー君は俺の元へ落ちてくる。
だから股間を狙ってもう一撃ぶつけてやった。
中々生暖かい感じだったな。
Cランカー君は顔を(痛みで)真っ青にして地面にのたうちまわっている。
時々ズボンの中に手を突っ込んで潰れていないか確認しているみたいだ。
よかったな。
ここに好きな人が来ていなくて。
間違いなく変態扱いされるぞ。
あー…でも、そういう系の人だったら……
「みーりんを侮辱するな!!」
「いや、それ誰だよ。って潰れてなかったのかよ……仕方ない追撃するまでだ!!」
今度こそ潰れたはずだ。
「ぐあっ……………あー?うぅぅ…あい?」
「まさかの幼児化!?ってくっせー」
まさか…こいつ、脱糞したな?
1歳児の時まで時間が遡ったのか?
おいおい……俺は知らないぞ。
そうだ!昔のテレビみたいに叩いたら元に戻るかな。
「ぶへらっ…はっ、俺は何を」
「お前はここで殺人を起こした。そして、お前は俺によって捕まって騎士団に引き渡される」
「お、俺はなんてことを……ガイラス……こんな俺を許してくれ」
これでよかったのか?
俺はこれ以上は面倒になると思い、宿屋に引き返した。
余談だが、Cランカー君は出頭したそうだ。
が、殺した相手が盗賊だったので罪にとらわれなかった。
殺したことでショックを患わなかったが、
友人が盗賊だったことにショックを受け、再び幼児化したのだった。
次回のお知らせ
次話 討伐依頼
の内容の一部を編集しているところなので投稿が遅れます