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壊れた世界  作者: kill
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第四話 不信

人間とは信じられる生き物なのか?

少なくともそうは思えない

自分の為ならいくらでも掌を返す

簡単に裏切り、簡単に切り捨て、簡単に見捨てる

じゃあ信じられる人間はどこにいる?

そんなの一目見ただけで分かるはずない

そもそも、信じられる人間はどこにいると探す人も

信じる事は出来ないと思う

国の戦争を止めるという任務は強制的に終わらせた

普通は、そんな事は簡単には止める事は出来ないだろう

だがしかし、それを簡単に終わらせてしまった

どこかの大広間

それがどこなのかは、誰にも分からない、分かろうともしない

そこに、十人

コートの男はさっさと報告を終わらせている

あまり関わりあいたくないが、聞きたいことがある

「なあ」

「なんだ」

普通に話しかけたら、普通に答える

何かを滅茶苦茶にしている時とは大違いだ

「どうしてあそこまで人を殺すんだ?」

「…」

すると、コートの男は上を見上げる

上は天井

別段変わった物もない

「殺す理由は、簡単なものだ」

すると、次は下を見た

下は、床

血の色の床だった

「過ぎた欲を持った人間を殺したかった」

その時のコートの男の顔は、あの時と同じ顔をしていた

「だが、それはただの自己満足じゃ…」

ないのか、と言おうとしたのだろうが、いえなかった

コートの男は、話しかけてきた男───常にマスクをしている───

の目を見る

「【BloodHatedman】BH…血を嫌った男

俺達は自己満足だろうがなんだろうが、

言われた通りの事をするだけだろ」

コートの男の目は明らかに不機嫌である

「だが、今回の任務は」

「戦争を止めるには殺すしかないだろ?」

そう言われれば、反論は出来ない

戦争を止めるには他にだって方法はある

だが、自分達にはそんな他の方法は出来ない

殺ししか、出来る事はないのだから

「ここで口論するだけ無駄だ」

コートの男は、大広間から出て行く

他の人間も、大広間から出て行く

「…いまさら、何を言ってるんだろう…」

マスクをしている男も、そこから出て行く




コートの男はあの、賑わっている町に来る

周りを見る目はどことなく不機嫌で

怒りを含んでいた

賑わっているのは欲を持っている証拠

なぜそこまで幸せそうになれる?

なぜそこまで平和でいられる?

なぜ…

こういう平和な所を見ると壊したくなる

コートの男は自分の住んでいる場所へと帰る

そこの帰り道、考える

もしかして自分は…


マスクをしている男は、賑わっている町に来る

ここはいつも平和で、安心できる

血の匂いもない

人殺しも起きない

そう、自分の住んでる世界とは真逆の世界

どれだけ望んでも自分のいける世界ではない

だからこそ憧れる

手の届かない世界だからこそ

そこまで考えて叶わない願いは叶わないと考え

その場を去る

ここにずっといれば

自分は…




コートの男は、自分の住んでいる場所へ戻る

すぐに椅子に座り、今日あった事を考える

人を殺した

人を滅茶苦茶にした

その時の事を思い出すだけで、高揚感がこみ上げる

その時の血の匂い、感触

全てが鮮明に思い出せる

そう、自分はその時幸せだった

最高の気分だった

だが、一瞬で冷めた事を思い出せば

全てが消えていく

その後、外に出た

戦っている人間は、自分を見て驚いていたな

全員殺した

敵も、そのまま引けばよかったものを

自分を見るなり、攻撃をしてきた

その敵を、全て殺した

いや、一人だけは違ったな

滅茶苦茶にしてやった

わざと銃を撃たずに

激痛にのたうちまわっていたな

最後に「助け」と言っていた

それ以外は覚えていない

その後、飛行機に乗り、知らないところへ行った

あぁ、そういえば話しかけてきた男がいたな

なぜ人殺しに対してあそこまで反論するのか?

あの男も殺したはず

…考えるだけ無駄か

人間とは自分の行っている事を理解できない

だからこそ、人間は


町から遠く離れた所

そこのビルに入り、どこかの一室へ入る

中は、たいして他の部屋と変わらない

ベッドに座り、今日あった事を思い出す

二手に別れ、更にそこから別れて

血の匂いがした

そんな匂い、いつまでも嗅ぎたくなかった

だから走って急いだ

その時、地雷をおいておいた

中には、六人いた

質問してきた人がいたな

銃を撃って答えた

もう一人も質問してきた

答えて、銃を撃った

はっきり言って、人を殺すのに抵抗はない

ただ、血の匂いは感じたくない

他の人は、勝手に出て行き、勝手に死んだ

子供に質問したな

その後、子供を撃った

誘拐したという事は、親は死んでいるはず

そして、孤児になっても良い事はない

だが、これはあくまで自分の考えで

子供の方はどうだったのだろうか?

撃たなければ良かったのか?

過ぎた事を後悔しても、遅い

自分は後悔していたら、生きてはいられない

いや、元々生きてはいない

死んだ所を自分は…

そういえば、質問したな

なぜそこまで人を滅茶苦茶に出来る?

なぜそこまでする必要がある?

…分かるはずもない

相手の事なんて完璧に理解できない

だからこそ人間は


『信じる事が出来ないんだ』

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