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第一章 ― 2― 4 ※994文字

 なぜ、俺が解決方法を考える必要があるのか? そもそも、解決方法を考えるまでも無く、俺がコンビニに行かなければ、事件は起こらないので問題は無いのではないか? そういう意見は出てくるだろうと思う。しかし、それはそれで、俺に何か納得のいかないしこりを残すのだ。


 分かりやすい例えで言おう。ロールプレイングゲームのクリア後、そのゲームを続けるかどうかという問いがあったら、俺は間違いなく続けるタイプの人間だ。未回収の宝箱や、見ていないイベント、クリア後のお楽しみなど、やりつくさないと気がすまない。もちろん運の部分が大きかったり、特典がらみでどうしても無理というのであればあきらめるが。まぁ、最近はそうなるのが分かっているから、収集作業化したゲームはやらないようにしているのだが。

 おっと、話が横道にそれた。そう言う訳で、俺はこの分岐を知ってしまった以上、目を瞑ることはできなかった。ましてやゲームと違い、この事件は現実に俺のせいで起こってしまったのだから。想像して欲しい。もし自分のせいで間接的に誰かが死んだとして、すくなくとも、寝覚めの悪い気持ちにはならないだろうか? それをやり直せるとしたら、貴方はそれをやり直そうとはしないだろうか? 俺はやり直そうとする人間な訳だ。


 それから一週間、俺は事件の概要をつかむために、テレビのニュースを見続けた。だいどんでん返しとかあるかもしれないので、もっと時間を取ったほうがよかったかもしれないが、その後、報道機関は散々騒いだこの事件を忘れたかのように、放映しなくなったので、俺はその取組みを切り上げたというわけだ。

 事件の内容こうだ。容疑者である霧島錬は、事件当日、会社に行く前によったコンビニで、荷物を無くしてしまった。その荷物の中には、重要な仕事の資料が入っており、それを無くすことは会社に重大な損害をもたらすことになる。そのことに気付いた時点で、霧島は何がなんだか分からなくなり、気付いたら刃物を持って、上野で取り押さえられていた。ここ一年の霧島容疑者は超過勤務によりストレスがたまっており、書類紛失が引き金となって心神喪失を引き起こしたのではないかと、弁護士は主張している。

 

 例のコンビニがこの事件の最後の契機になったのは、どうやら間違いが無いようだった。とりあえず、俺はあのコンビニで何があったのかを確かめようと、能力に目覚めたあの日をロードすることにした。

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