第一章 ― 2― 3 ※1053文字
2010/11/08時点
第一章 ― 2― 2の最後の行に一行追加しました。そちらを確認してから、続きを読んでください。
俺は目を覚ました。二度寝してから、学校へ急ぐ。
教室に入り、おはようと周りに声をかけ、席に着いた。
「おい、何で電話でなかったんだよ」
「電車の中だったからな」
お約束のやり取りを済ます。
「直哉、話の途中だぞ、勝手に決めちまうがいいのか?」
「まて、今行くから」
向こうのからの呼びかけに直哉は答え、俺のほうに向き直ると、話し出す。
「ちょっと、いい話だからさ。後でな」
目配せして、窓際のほうに戻っていく。百パーセントくだらない話で終わるのはいうまでもない。
昼休みになり食堂に行きながら、直哉は言った。
「D組の平石って知ってるか?」
「いや、全然知らんね」
くだらないこのやり取りに、俺は深くため息をつきつつ言った。
「それなら、教えてやる」
長いどうでもいい話を経て、俺はD組に連れて行かれる。
「な、かなりかわいいだろ?」
俺には何十回見ても、かなりといえる顔立ちには見えん彼女を、直哉は見せ付ける。
「まぁ、がんばってくれ。俺がどうやってこんなことに協力できるというんだ?」
「お前の中学の友人が彼女と仲良いって話だからさ。そのつてを頼って確かめてくれよ」
心底どうでもよく思いながら、俺は答えた。
「気が向いたらな」
そして、夕方。奴の電話を取りながら、夕方のニュース番組を見る。
「すまんすまん、行来か?」
「俺以外この電話に出る奴がいたら、ほぼ盗難されたものだから、警察に連絡頼むわ」
「よし、わかった。まぁそんなことはどうでもいいんだが」
「あのさ、俺、名前をいい忘れていたわ」
「何の?」
ここからだ。直哉の話などどうでもよかった。ニュースではコーナが変わり、今日の出来事を流し始める。
「例のお前の友人の名前さ」
「ああ」
適当に相槌を打ちつつ、俺は思う。やはりだ。
「田中って言うんだ、頼んだぞ」
「ああ」
やはり思った通りだった。上野での無差別殺人の報道など起こらなかった。
それもそうだ。なぜかって? 俺の一回目の高校一年の時、こんな事件は起こらなかったからだ。そして、一回目の時と同じように、俺は今日を過ごした。だから、起こるはずがないと確信していたのだ。
俺は、右手で左肘を抱え一言呟いた。『ロード』と。
少し眩暈がしたが、いつものことで慣れていた。俺はチャンネルを変えて、戻ってきたことを確認する。テレビでは、上野の無差別殺人事件が、最初見た局とは時間差で報道されていた。そして、俺は改めて認識した。客観的に見て、この事件は俺が引き起こしたといえると。間接的にはとはいえだ。
さて、どうするかな。俺は、頭を抱えた。解決方法を模索することにした。