表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/45

第一章 ― 2― 1 ※862文字

 昼休みになった。授業の合間の時間に話しかけてこなかったところを見ると、本人的には、重大なことのつもりで、そんな短時間で終わる話ではないと考えていたからだ。俺にとっては、本当にどうでもいい話だったのだが。


 食堂に行きながら、直哉は言った。

「D組の平石って知ってるか?」

 平石ってのは、小柄で世間様的にはちょっと可愛いと言われる、高校一年生の女子だ。直哉よりは頭がよいが、客観的に見れば、そこら辺にいる一般的高校生である。

 ここで、少し考える。『はい』でも『いいえ』でもこいつの恋愛イベントに付き合わされるのは間違いない。こいつの強引さは、ゲームの強制イベントも真っ青だからな。

「いや、全然知らんね」

 無駄とは知りつつ、本当はすでに知っているが嘘をつく。

「それなら、教えてやる」

 ああ、やっぱり始まったかと思いつつ、こいつの勘違い話に付き合う。

会話の流れだけかいつまんで言おう。

『最近視線がよくあうようになった。⇒気付けば、俺のことを見ているように感じる。⇒俺のことが好きなんだろう。⇒けっこうかわいいし俺も付き合ってみてもよい。⇒しかし、こちらから声をかけるのはちょっとリスクが伴う。⇒せめて好きだということを確定させてからにしたい⇒おまえなんとかしてくれよ。』

 なんて身勝手な言い分だと抗議する俺の手をつかんで、そのまま直哉は、俺をD組に連れて行く。

「な、かなりかわいいだろ?」

 ああ、そうだな、かわいいさ、かわいいよ、かわいいともさ。直哉搭載の色眼鏡かければな。

俺には、何十回見ても、かなりといえる顔立ちには見えん。俺だったら、もっと誰が見ても美人と思うような女子と付き合いたいんだがな。お前だって昔はそういってただろう。本当に人間って言うのはこうやって願望のレートを下げていくんだなと思わされる、よい一例だ。

「まぁ、がんばってくれ。俺がどうやってこんなことに協力できるというんだ?」

「お前の中学の友人が彼女と仲良いって話だからさ。そのつてを頼って確かめてくれよ」

 また、しばらくし考えてから、俺はあいまいに答えた。

「……気が向いたらな」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ