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第一章 ― 4― 5 ※939文字

○セーブ先

・頭:能力に目覚めた日の朝。四月第二週の火曜日。

・左肘:能力に目覚めた日の夕方。四月第二週の火曜日。霧島が上野で殺人事件を起こした事を、テレビで知った直後に保存。

・左膝:平石行方不明ルート。放課後より前。四月第三週の火曜日。田中に平石がどうして来ていないのか聞くために、D組の前で保存。

・右つま先:一回目の高校卒業式後に保存。

・左つま先:能力に目覚めた日の朝。四月第二週の火曜日昼休み。コンビニには行かず、寝て学校に来て直哉に平石を知っていると答えた後で保存。


※基本的に何月何週は便宜上つけているだけで、作中では触れていない。


 珍しく、やることに迷わないでこの日の朝を迎えた。能力に目覚めた日の朝だ。


 何をするかは、言うまでもない。平石の忠告に従って、中学の卒業アルバムを見ることにした。写真の中から平石を探し出すのに苦労はしなかった。卒業といっても、そんなに時間がたっているわけでもない、顔が変わっているはずも無かったからだ。体育祭やら、文化祭やら修学旅行の写真を見るとそれなりに乗っているのだが、俺の中では中学時代全体が懐かしいと言う感情以外、何もわいてこなかった。それもそのはずで、俺にとっては十年近い昔の話だからな。


 卒業アルバムに平石の写真は数点載っていた。しかし、どれもこれも、俺との接点があるものではないと思う。ちなみに、俺の写真は二枚で、そのうち一枚はクラブ紹介の集合写真だ。クラブ紹介の化学実験がやけに派手だったので入ってみたのだったが、実際は化学式の暗記などがメインの地味な活動で、部屋の隅でひたすらフラスコを拭いていたことを思い出した。こんな影の薄い俺のことを、良く平石は覚えていたなと、改めて感心する。その平石は書道部在籍で、クラブ活動での接点もなさそうだった。

 正確に言えば書道部は化学部の隣にあったから、何度かは顔を合わせてはいたのだろうが、俺はそんな細かいことを覚えているほど記憶力はよくない。これでは、平石の身の回りで何が起こっているかを聞き出すきっかけにはならないな。俺は諦めてアルバムを閉じた。

 

 本来なら学校に行かなくてはならない時間ななっていたが、俺は平石が行方不明になるルートに戻るつもりだったので、のんびりと構えていた。ついでに、余裕があるうちに俺が何をしておきたいか自問自答しておこうと思う。

 その一。平石行方不明ルートにおいて、コンビニの事件との因果関係を含め、行方不明になった原因を調べる。

 その二。この後俺は、平石行方不明ルートには進むつもりは無いが、普通のルートに平石が行方不明になる可能性が出てくるのかどうかを調べる。

 こう改めて書いてみると、かなりハードル高いな。さっき嫌われた俺の身としては。ここはきちんと作戦を練ってから取り掛かったほうがよさそうだといえる。

 この後、一時間ぐらい頭の中でシュミレーションをし対策を練ってから、俺は左膝に触れて『ロード』と呟いた。 

 

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