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第一章 ― 3― 6 ※800文字

○セーブ先

・頭:能力に目覚めた日の朝。四月第二週の火曜日。

・左肘:能力に目覚めた日の夕方。四月第二週の火曜日。霧島が上野で殺人事件を起こした事を、テレビで知った直後に保存。

・左膝:平石行方不明ルート。放課後より前。四月第三週の火曜日。田中に平石がどうして来ていないのか聞くために、D組の前で保存。

・右つま先:一回目の高校卒業式後に保存。


※基本的に何月何週は便宜上つけているだけで、作中では触れていない。


2010/11/22時点 

平石が居なくなった理由を溜めて後ろにおいていたが、分かりやすさを優先して、前に持ってきた。

 どうやら、何があったのかは想像ができてきた。だが、もう少し様子を見ようと廊下を戻り少し歩いて、すぐそばのドアを開ける。電気をつけないと何も見えないほどの暗さだったが、俺は電気をつけず携帯のディスプレイの光で中を進んでいく。

 リビングもその奥のキッチンもきれいに片付けられていたが、ガスの元栓が締まっているのを見て、俺は自分の考えに自信を持った。

 毒を食らわば皿までと、他の部屋もいろいろ見て回る。家電のプラグとコンセントがはずされていたり、布団が綺麗にたたんであったりするのをみて、もはや間違いないと確信して、左膝を触って『ロード』ととなえた。


 D組の扉の前に戻ってきた。ドアを開けず俺は、そのままきびすを返す。この後に田中と会って下手な嘘をつくまでもなく、平石に連絡がつかない理由が分かったからだ。夜逃げに間違いない。

 ただ何故それが、コンビニの事件と結びつくのかが分からない。平石が居なくなるコンビニの事件とそうでないコンビニの事件では、結果の差異は無いはずと思うのだが……。

 そうか、あの後、持ち逃げしようとした男を警察につき渡す前に、逃げられたのかもしれない。そして、そいつが借金の取立屋であり、平石の家はその厳しい取立てに耐え切れずに……夜逃げをしたんだろう。

 この推察を確認するために俺は、もう一度、能力に目覚めた朝に戻ることにした。


 この手記を書き始めてから三度目のこの朝の描写は、もうするまでも無いだろう。

 この間と同じように自転車を降り、この間と同じようにコンビニに留まり、この間と同じように店員に声をかけられた。そして、外で事件が起こる。

 どさくさに紛れてその場から離れるまでは、この間同じだったが、その後、隠れて事の成り行きを見守っていたのは、この間とは違っていた。その俺の目の前で、アタッシュケースを盗もうとしていた男は、警察に引き渡され連れて行かれていった。


 俺の予想は、見事に外れたのだった。

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