表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『チョーク一つで世界を変える〜異世界教育改革農村編〜』  作者: くろめがね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

59/60

第五十九話 役が、欲になる

59話です。

朝、板の前に人が集まっていた。


理由は、単純だ。


線を引く役:交代制


その一行が、

**“見られる場所”**にあるからだ。



「……今日は、誰?」


誰かが聞く。


ミラが、板を見る。


「……まだ、決めてない」



「……やりたい人、いる?」


軽い問いかけ。


だが、

返事が早すぎた。



「俺、できる」


若い男の声。


間髪入れず、

別の声も重なる。


「……私も」



空気が、止まる。



「……え?」


誰かが、戸惑う。



「嫌われ役だぞ?」

「きついぞ?」


確認の声。



若い男は、

肩をすくめる。


「……でもさ」


一拍。



「決める側だろ」


その言葉が、

静かに落ちる。



午前。


その日、

線を引く役は二人になる。


ミラと、若い男。



「……二人?」


セラが、眉をひそめる。



「一人だと、

 重い」


若い男は言う。


「二人なら、

 分けられる」


一理ある。



判断は、出る。


逃がす場所は短め。

理由も明確。



だが、

言い方が違う。



「……今日は、

 ここまで」


若い男の声。


少し、

張りがある。



「理由は?」


聞かれる前に、

言う。


「制度だから」



ミラの視線が、

一瞬だけ動く。



昼前。


逃がす場所。


人が、少ない。



「……今日は、

 居心地悪い」


誰かが言う。



「決まってるからな」


若い男が答える。



その言い方に、

微かな違和感が走る。



昼。


集まりが、

自然に起きる。



「……今日の判断、

 どうだった?」


誰かが聞く。



「正しい」

「問題ない」


数字も、合っている。



だが、

セラが言う。


「……気になった」


全員が、見る。



「役を、

 やりたがる声」


沈黙。



午後。


線を引く場面が、

増える。


必要以上に。



「……そこも?」


「……念のため」



理由は、

いつも“制度”。



夕方。


畑は、回る。


だが、

自由が減った感じが残る。



夜。


逃がす場所。


ロウが、

若い男に声をかける。



「……今日、

 楽しかった?」



男は、

即答する。


「悪くない」



「理由は?」



「皆が、

 俺を見る」


その一言で、

ロウの表情が変わる。



「……それ、

 危ない」



男は、

笑う。


「役だろ」



「役は、

 回すものだ」


ロウは言う。



「でも」


男は続ける。


「欲しくなる役も、

 ある」



翌朝。


板の前に、

人が集まる。



「……今日、

 誰?」



誰かが言う。


「……昨日の人、

 上手かったよな」



ロウが、

静かに言う。


「それ、

 評価だ」



沈黙。



板の下に、

新しい一文が書かれる。



→ 回す

→ ○


→ 欲しがる

→ 危険



農村は、

次の段階に入った。


制度は、

守るために作った。


だが――

見られる制度は、

 欲を生む。


次に起きるのは、

争いではない。


競争だ。


誤字脱字はお許しください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ