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『チョーク一つで世界を変える〜異世界教育改革農村編〜』  作者: くろめがね


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46/60

第四十六話 先生がいない教育

46話です。

朝、畑に板が立った。


先生の字ではない。

少し歪んだ字。


だが、

内容は分かる。



今日の確認

・水

・人数

・余り



「……誰が書いた?」


セラが聞く。


ベテランの男が、少し気まずそうに言う。


「……俺」


誰も笑わない。



作業は、自然に始まる。


配置は昨日と同じ。

だが、

確認が一つ多い。



「水、ここ足りてる?」

「歩数、合ってる?」

「余り、出てない?」


先生がいた頃より、

言葉が増えている。



午前。


子どもたちが、

小さな輪を作っている。


「昨日の数、覚えてる?」

「うん」

「じゃあ、今日は?」


簡単な計算。

紙はない。

指と地面だけ。



「……先生みたいだな」


誰かが言う。



セラは、首を振る。


「違う」


全員が見る。



「先生は、

 答えを出してた」


「今は、

 出してない」


沈黙。


だが、

否定はない。



昼前。


一つ、判断が分かれる。


水を増やすか。

減らすか。



「昨日は……」

「いや、今日は暑い」

「でも、人数は……」


議論が起きる。



誰も、結論を急がない。


これが、

先生がいない教育の特徴だった。



「……試す?」


セラが言う。


全員が見る。



「全部じゃない」

「一部だけ」


小さな賭け。



午後。


結果が出る。


水を増やした場所は、

少し良い。


だが、

他は変わらない。



「……増やしすぎなくて、

 良かったな」


誰かが言う。



夕方。


板に、追記がされる。


今日の結果

・一部増 → ○

・全体増 → ×


字は、また違う。



夜。


集まりが開かれる。


先生はいない。


だが、

全員が話す。



「今日、

 うまくいった?」


即答はない。



「……派手じゃないけど」

「壊れてない」

「昨日より、分かる」


それで十分だった。



ベテランの男が、言う。


「……俺さ」


全員が、顔を上げる。



「先生がいたら、

 聞いてたと思う」


沈黙。



「でも、今日は」

「聞かなくて済んだ」


誰も否定しない。



子どもが、言う。


「……先生、

 いなくても

 いい日あるね」


大人が、少し笑う。



板の下に、

一文が足される。


教育

→ 答えを渡す

→ ×


教育

→ 試させる

→ ○



翌朝。


畑は回る。


昨日より、

少しだけ早い。



誰かが言う。


「……これ、

 続けられるな」



農村は、

確かに一歩進んだ。


先生がいなくても、

教育は続く。


だが――

先生が消えた理由は、

まだ語られていない。


チョークの世界は他にもありますので、よろしければご覧ください。

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