表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『チョーク一つで世界を変える〜異世界教育改革農村編〜』  作者: くろめがね


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

19/60

第十九話 教えないと、壊れる欲

第19話です

朝、井戸の周りが騒がしかった。


水を汲む音が、

いつもより多い。

無駄話も、少ない。


「……昨夜、寝れた?」

「半分」

「同じ」


笑いは出ない。

代わりに、視線が長い。



畑に出ると、距離が詰まっている。


人が増えたからではない。

触れない夜が続いた反動だ。


肩が当たる。

肘が触れる。

だが、誰も離れない。


先生は、板を持って立っていた。



午前。


女たちが、順に集まる。


「先生」

「はい」

「聞きたいこと、ある」


声は低い。

だが、回りくどくない。


「……いつ、していい?」


直球だった。



先生は、板に線を引く。


→ 行為

→ 結果


線の下に、もう一本。


→ 判断

→ 行為

→ 結果


「間に、判断を入れます」


「判断って?」

「時期、相手、場所、回数」


具体的だ。



「回数?」

「はい」


空気がざわつく。


「……減らせってこと?」

「管理してください、という意味です」


「冷たい」

「現実的です」


誰かが、息を吐いた。



昼前。


男たちも集まる。


「先生」

「はい」

「俺たちも、聞いていい?」


「どうぞ」


「……溜まる」


正直すぎる。



先生は否定しない。


「溜まります」

「じゃあ?」

「出す場所と、出さない日を分けます」


沈黙。


「……そんなこと、できる?」

「できます」


「どうやって?」



板に書く。


・作業重

・翌日作業

→ 控える


・余裕

・管理可能

→ 可


「感情ではなく、予定で決めます」


数人が、苦笑した。



「先生」

セラが言う。


「それ、エロくないね」


「目的が違います」


「目的って?」


「続けることです」


セラは目を細める。


「……なるほど」



午後。


村の中央に、布が一枚敷かれる。


夜のためではない。

話し合いのためだ。


「ここで決める」

「何を?」

「今夜、する人」


ざわつく。



「手、挙げるの?」

「順番?」

「……点呼?」


冗談が出るが、

全員、真剣だ。



先生は言う。


「申告制です」

「……申告?」


「したい人」

「控える人」


「理由は?」

「不要です」


欲を、評価しない。


それが、重要だった。



夜。


灯りは三つ。


布の周りに、

距離を取って座る。


「……今日は」

一人が言う。


「控える」


次に、もう一人。


「控える」


三人目が、少し迷ってから言う。


「……する」


誰も、責めない。



動きは、静かだった。


触れ合う人もいる。

触れない人もいる。


同じ空間で、違う選択。


それが、初めて許された夜だった。



翌朝。


畑は、回っている。


目の下に影はあるが、

揉めていない。


セラが言う。


「先生」

「はい」

「これ、成功?」


先生は、板を指す。


→ 判断

→ 行為

→ 管理


「壊れていないので」



昼。


港の少年が、板を見る。


申告

→ 判断

→ 行為


「先生」

「はい」

「大人って、面倒だね」


「ええ」


「でも……」

「はい」


「勝手じゃない」


先生は、少しだけ頷いた。



欲は、否定しない。


だが、

放置もしない。


農村は、

“エロを隠す村”から

“エロを管理する村”へ

一歩、踏み出した。


祝われない。

だが、

壊れていない。


それが、この段階の成功だった。


誤字脱字はお許しください。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ