9 放課後-紗良-
帰りのホームルームが終わるとあたしは花に話しかけに行った。
紗良
「花?北条くんとはどうなった?」
花は相変わらずの優しさであたしを気遣いつつ話してくれた。
花
「紗良、心配してくれてありがとう。大丈夫だよ!委員会のあと話してくれるみたいだから。」
紗良
「本当に!?良かったー!ちょっと心配してたんだ…」
花
「何を心配してるの?ただ話すだけだよ?」
紗良
「あーいやこっちの話!」
あたしはなんでもないふりをする。
それを察した花が話題を変えてくれた。
花
「あ、だから今日一緒に帰れなくなっちゃった!ごめんね!紗良!一緒に行こうって言ってたパンケーキの店行けなくなっちゃって…」
本当に花はよくできた子だよ。ありがとう。聞かないでくれて。
紗良
「あーそうじゃーん!残念!仕方ないね!また一緒に行こうよ!今回の報告も兼ねてね」
花
「報告することあるかなー?でもパンケーキは食べたい!絶対行こうね!」
紗良
「今日は美術部はお休みだっけ?」
花
「うん!今は特にコンクールとかないから週2で休みだよ」
紗良
「そっかーいいなー!あたしはしばらくは休みなしだよー」
花
「もうすぐそっちはコンクールだもんねー紗良の歌好きだから頑張って!見にいくから」
紗良
「うん!ありがとう!じゃあ委員会頑張ってね!」
花
「うん!行ってくるね!」
そう言って花は教室を後にした。
さて、あたしも合唱部の練習に…
そう思って教室を出ると
北条くんも出るところのようだった。
あたしは北条くんを捕まえて話をした。
紗良
「北条くん!花のことよろしくね!頑張ってね!」
陽太
「なんのことだよ」
北条くんは相変わらずつんけんした態度をとった。
紗良
「北条くんはそう言うと思った。でもわかってるから。ずっと見てたから花に対する言動がみんなと違うしね。」
陽太
「そんなことねーよ。八束の気のせいだろ?」
紗良
「そんなことない!あたしは陽太を…」
自分で自分にびっくりした。そんな必死に抑えていた思いをこんな形で吐露してしまうなんて
紗良
「ご、ごめん!変なこと言って、何勢いに任せて言ってんだろ…」
陽太
「八束?」
紗良
「あ、あたしも今日は合唱部の練習あるんだった!とりあえず!花のことよろしくね!部活頑張って!」
あたしは逃げるようにその場を去った。