22 ボーリングデート-湊-
まっちゃんの様子がランチからおかしいな…
やっちゃんも気にしているみたいだな。
今はボーリングの受付を終えて、
レーンの椅子に座って名前を登録したりしている。
その間もまっちゃんは陽太の方を見ようとしないようだ。
話していたと思ったら下を向いて目線を合わせようとしない。
陽太なんかしたかな?
やるじゃん。
でも、この状態はあんまり良くないかな…
しゃーない。
湊
「とりあえず、グループ戦してみるか?せっかくダブルデートだし。」
紗良
「そうだね!あたしは堤と組むから。花は北条くんと組みなよ?」
花
「え?あ、あたしは…」
紗良
「組みなよ?」
いやいや、やっちゃんそれは脅しになるから。
やっちゃん必死過ぎだよ。
花
「は、はい…」
紗良
「ふふふっ…」
湊
「やっちゃん…顔怖いよ…」
紗良
「うるさい。」
とりあえずチームが決まったようだ。
まだあっちは陽太がなんとかするか。
俺は自分の方に注力しよう。
湊
「なぁ、やっちゃんはボーリング得意?俺は結構得意なんだよねー。」
紗良
「……………」
湊
「あれ?やっちゃん?」
やっちゃんの目線の先には陽太とまっちゃんがいる。
まだ気にしているようで俺の話を聞けていないらしい。
心配なのはわかるけど、さすがにこっちを向いてほしい。
湊
「なぁ…」
俺がやっちゃんを呼ぼうとしたら
陽太にかき消された。くそ…
陽太
「なぁ!ゲーム始まる前にちょっと飲み物だけ買ってきていいか?みんなの分も買ってくるから。」
湊
「マジで!サンキュー!俺コーラで!」
紗良
「あたしジンジャエールにしようかな」
陽太
「了解。なぁ、松見?ちょっと飲み物持つの手伝ってくれないか?」
花
「え!?」
陽太が自分から珍しく仕掛けている。
自分からなかなか行くことないのに、まじやるじゃん。
陽太
「俺だけじゃ持ちきれなくてさ」
花
「う、うん…」
2人は飲み物を買いに席を立った。
俺は再びやっちゃんの方に声をかけた。
顔を見せないと反応してくれたさそうなので
やっちゃんの顔を覗き込んだ。
湊
「なぁ、やっちゃん?」
紗良
「わぁ!な、なに!?」
いきなりの俺の顔にやっちゃんが驚いて後退る。
だけどようやくこっちを向いてくれた。
湊
「2人のことが心配なのはわかるけど、こっちにも構ってほしいなー?」
紗良
「はぁ?なに気持ちの悪いこと言ってんの?」
湊
「うわー傷つくなー」
紗良
「わざとらし!」
湊
「はは、ひどいな!」
紗良
「そんなおちゃらけて言われてもねー?説得力ないよ」
やっちゃんはいつものように俺の冗談だと思って返している。
違うよ。俺はやっちゃんのこと…
返事がない様子をさすがに変だと思ったのか、やっちゃんが俺を呼んだ。
紗良
「堤?」
湊
「俺だって傷ついたり、寂しいと思うことくらいあるんだよ」
紗良
「え?」
俺は今の気持ちを正直に吐露した。
そんな俺にやっちゃんは動揺を隠せないようだった。
湊
「まして、自分が気になる子に言われた言葉ならなおさら」
紗良
「な、なにそれ…」
湊
「俺…」
もう、言うか…
湊
「俺、やっちゃんのこと…」
陽太
「ただいまー遅くなってごめんな?」
飲み物を買いに行っていた陽太とまっちゃんが帰ってきた。
陽太てめー!今回は本当にタイミングが悪いよ。
でも、まぁ仕方ない。
湊
「ありがとー!コーラは?」
陽太
「これ!で、ジンジャエールがこれ!」
陽太が俺にコーラを渡してきた。
次にやっちゃんの方にジンジャエールを渡していた。
飲み物を配り終える頃、俺はやっちゃんの隣に座って周りに聞こえないような声で言った。
湊
「帰り際ちょっと話があるから」
驚いたやっちゃんと俺はバチっと目があった。
俺はよろしくというようにウィンクをした。
さすがにキザ過ぎた…な…
俺は猛省しながら、帰りに伝える言葉を反芻するのだった。




