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君色プライド  作者: あるみ
高校1年生
19/42

19 プライド-湊-

紗良

「堤…ありがとう…」


「え!?あ、お、おう」


まさかやっちゃんにお礼を言われるとは思わなかったため俺は少し動揺してしまった。


紗良

「何よ」


やっちゃんは少し笑っていた。


「やっちゃんが素直にありがとうなんて雪でも降るかと」

湊(内なる声)

『貴重な笑顔だ。かわいい。』


紗良

「あたしだってお礼くらい言うわよ!失礼なこと言わないで!」


「お!元に戻った」

湊(内なる声)

『もう元に戻っちゃった…』


でも、この方がやっちゃんらしいよな…


「それでやっぱり伝えないのか」


俺は気になってたことを改めて聞いた。


紗良

「うん、今言うとせっかくのところを邪魔しちゃいそうだし、自分で伝えないって決めたから。プライド的なやつかな」


俺はやっぱり納得できなかった。でも、ここまで決めているやっちゃんを変えることも不可能に思えた。ならば好都合だ。


「ふーん」


紗良

「あ、あんた…あたしが泣いたこと言わないでよ…」


俺にもプライドはある。

やっちゃんみたいな優しいプライドではないけど。


「さーてどうしようかな!」


紗良

「絶対言わないで!」


「じゃあ条件がある。」


紗良

「条件って…」


「俺と明日デートしない?」


紗良

「な、なんでそうなるの!?」


やっちゃんは顔を真っ赤にして反論していた。


「なら、この話はなかったことに…」


紗良

「ま、待って…わかった…ただし、花たちも一緒なら…」


俺はニヤッと笑って続けた。


「その言葉嘘じゃないよね?」


やっちゃんは静かに頷いた。

俺は心の中でガッツポーズをしていた。どんなに汚い手段だとしても俺は俺のプライドを曲げない。


「なら、善は急げだ!陽太に伝えないとな!」


紗良

「ま、待って!今は!」


やっちゃんは通話をかけようとした俺を止めた。

その瞬間理解した。今はちょうど委員会も部活も終わる頃タイミング的に悪いんじゃないかと言うことか。


「そうだな…デートの件は帰ったら伝えておくよ。」


(この判断が間違いだったと気づくのは後の話。)


紗良

「デートって言うな!」


「はいはい!わかったよ。じゃあ、俺らは帰るか。駅まで送るよ」


駅前まで送るという言葉にやっちゃんは少し戸惑っているようだ。


湊(内なる声)

『ちょっと意識してくれてるのかな?かわいいな。』


俺は心の中でニヤけながらやっちゃんを呼んだ。


「ほら、帰るぞ!」


紗良

「う、うん」



俺はもう少しこのままでいたいと思いながら家路を歩いた。

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