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君色プライド  作者: あるみ
高校1年生
15/42

15 回想-湊②-

でも、そんなにうまくいくはずがない。


陽太

「八束、お前今日弁当忘れてるだろ?」


紗良

「え?うそ!?まじだ!?」


陽太

「ほら、朝おばさんに渡してくれてって頼まれたんだよ」


紗良

「うそ!北条くん、ありがとう!」


陽太

「気をつけろよ」


紗良

「本当だねーまじ助かったー昼ないとか地獄だもん」


北条くんと呼ばれたそいつはじゃあなと言って自分の席に戻っていった。

やっちゃんも笑顔で手を振りかえしていた。

俺はすぐやっちゃんに話しかけた。


「なぁ、あいつ彼氏かなんかなの?」


そのあとのやっちゃんの反応は今までとは違う荒々しいものだった。


紗良

「違う!余計な詮索しないで!」


「な、なんだよ…聞いただけだろ?」


紗良

「そう言う詮索して、笑いものにするような人、あたし大嫌いなの!」


まずいことを聞いたようだ。


「悪かった…でも笑うつもりはなかった。あいつのことを知りたかっただけなんだ」


俺は何も言えなくなりそうだったがなんとか言葉を絞り出した。


紗良

「……………こっちこそごめん。ちょっとトラウマがあって。」


「トラウマ?」


紗良

「あーなんでもない!あいつは幼馴染の北条陽太。」


トラウマという言葉が少し気になったが、今は深入りするべきではないと思い言葉を飲み込んだ。

幼馴染みか…だから仲がいいのか…


そう思っていたが、日が経つにつれてわかってきた。

やっちゃんは陽太のことが好きなのだろう。他との反応が少し違うのだ。

もちろん俺とも…


でも、やっちゃんは告白する気はなさそうに見える。むしろ諦めているような…


俺は2人にイライラしていた。


俺は何もしないなら仕掛けてやろうと思い、陽太に話しかけてみた。


「よう!」


陽太

「ん?」


「お前、やっちゃんの幼馴染なんだって?」


陽太

「やっちゃん?あ、八束か、ってことは…お前が堤か!」


「って、同じクラスなのになんで覚えてねーんだよ!?」


まさか、ライバルに覚えられてないなんて屈辱だ…

俺は陽太を睨んだ…


陽太

「悪い、顔を覚えるの苦手なんだ…名前はよく聞いてたんだけど…」


「は?」


陽太

「八束があんなおちゃらけてるのに勉強とか部活とかめっちゃ好成績で本当に悔しいってあいつ意外と負けず嫌いだから」


「やっちゃんが…」


やっちゃんが俺を見てくれていたことが嬉しかった。


陽太

「八束がそんなふうにいうの珍しいんだわ。堤ってめっちゃ努力家なんだな」


「やめろ…」


陽太

「はは、悪い」


努力を認められることは両親以外では初めてのことでむず痒く同時に嬉しかった…


俺はライバルとして仕掛けることをすっかり忘れて

この時から陽太と俺も話すようになった。


そして、話していくにつれてやっちゃんが諦めている理由がわかった。松見花の存在だった。

その時の俺では陽太態度ではわからなかったが、やっちゃんの様子でわかった。


俺はやっちゃんのやり方に不満があった。

だから、なんでそんなことをするのか聞いた。


紗良

「な、なんで…」


「なんとなく」

湊(内なる声)

『見てればわかるよ』


やっちゃんは諦めたように話しだした。


紗良

「好きな人には幸せになってほしいから」


俺には理解できなかった。俺は自分が幸せにしたいと思うから。でもだからこそ、憧れた。

やっちゃんほど愛情深い人はいないのではないかと思った。

それでも俺は、


「わかった、俺も手伝うよ。」


紗良

「は?」


「あいつらくっつけるの」


やっちゃんを俺自身が幸せにしたいと思った。


【どんなに汚い手を使おうが好きな人を幸せにすること。】


それが俺のプライドだ。


----------



やっちゃんは中庭のベンチでうずくまってる。何かあったか?

俺はいつも通り話しかけた。


「何してんだよ」


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