私は711歳
昔は、
「お前を殺しても、あいつは生き返らない」
が刑事ドラマで、遺族が恨んでいる犯人に言う
「常套句」
だった。
30世紀の今、
犯人が死ねば、被害者は、
「生き返る」
そのため、
復讐が増えた。
ほとんどの人がレプリカントとなったため、
なかなか死なないのに、殺そうとする。
殺人は凄惨に、そして当然、治安も悪くなった。
ほとんどすべてを、機械がやってくれる。
掃除も食事の準備も片付けも。
レプリカントになって疲れはしないのに、
家ではやることもない。
余計に力は余分な方向に使う。
完全犯罪を考える方向にも向かった。
そしてそれに動物が巻き込まれることが多くなった。
ノボルとヒミコの地球への旅
(今、ノボルとヒミコの住んでいる木星衛星エウロパでは禁じられていた)
も、そうして実行された。
ほとんどの動物の言葉が理解できるようになった今、
ノボルとヒミコのペット犬「アイアイ」を
これに利用しない手はなかった。
光でさえも40分もかかる離れた地球には、
20世紀で考えられていた宇宙船ではなく、
瞬間移動が使われていた。
その機械にアイアイを入れる申請をした。
動物は地球に送ってもいいことになっていた。
それに実際にはノボルとヒミコが入ったのだ。
これが、
ノボルとヒミコが地球に行った方法だった。
そして、地球で、エウロパでは味わえない
「様々な事」
を経験するのだ。