~プロローグ~
~プロローグ~
……ドスッ
『……これは、どういうつもりだ。王よ』
俺の背中に焼けるような痛みが走る。
視線を下に落とすと、身体を貫通した剣の刃が視界に入った。
俺の言葉を受けて、背中を向けていた王が振り返る。
『くくく……君はよくやってくれた。後のことはこちらに任せておくがいい』
ニタリと下卑た笑みを浮かべながら、王が俺にそう言葉を放った。
クソが……最初からそのつもりだったのか……
『魔王軍討伐に向けた策略の最終確認をしたい』
王の呼び出しにノコノコ応じた結末がコレか……
『君は優秀だった、有能だった、魔王軍に対して劣勢だった私の軍を立て直し、あと一歩で勝利するところまで推し進めてくれた』
『……それに対しての仕打ちがコレか?』
俺は激痛に堪えながら王を睨みつけ、体を突き抜けている刃を指差す。
傷口からはドクドクと血が溢れて来ている。
まぁ……助から無いだろうな……
恐らくだが、刃に毒辺りも仕込まれているはずだ。
『君は危険だ。生かしておけば私の立場すら危うくなるだろう』
『……なるほどな。愚王だと思っていたが……危機管理能力だけは……一流……だな……』
遠のく意識。俺の生命の炎はもう消えるだろう。
『王になる』
その野望がこんな形で幕を下ろすのは些か悔いが遺る。
『……俺を殺したことを後悔させてやるからな……ギルフォード……ランバルス……』
『ははは……私の覇道を空の上から眺めているがいい……エルランド・ハーウッド』
こうして。俺の『人間としての生涯』は幕を閉じた。