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人間界逃走の果てに  作者: コサイン
9/14

逃走9:Aクラス

ヴァン視点もうちっと増やすべきかなー?



「ガラッ!

さぁ、ホームルームを始めるぞー。」


いつもと変わらないアーサーの姿。ベルは書いていた手を止めた。


「今日の時間割りは変更無しだ。それと、去年卒業したお前達の先輩のウィリアムっつー人が――こんな事言っても関係ないだろうが――王室付き魔法使いになったので一応報告。他には――」


よし、あいつはここのクラスじゃない。


安心したようにまた手を動かすベル。


後ろではシュメイルのガッカリしたような溜め息が聞こえる。


「最後に一つ!

お前達の新しい仲間だ!」


え、嘘。


「先生ー!まさか

転入生スかー!?」


クラスの元気のいい男子が尋ねた。


「ピンポン!その通り!」


途端にざわめくAクラス。口々に「男?女?」などとはしゃいでいた。


アーサーは少し困った顔をする。


「では、あー…


…呼びに行くわ。」


そう言い残すとアーサーは教室を出て行った。何か問題でもあったのだろうか。


後ろから小突かれた。


「何よ。」


「ヴァンジルドさんこのクラスになったんですね!私嬉しいですわ!」


シュメイルは喜々とした表情でベルとは正反対だ。


「あいつじゃないかも知れないじゃない。」


何となくそう言ってやりたくなった。


「ま、すぐに分かりますわよ。」


そう言うと、シュメイルは扉を見つめる。


次の瞬間扉が開いて、アーサーが大股に入って来た。続いて顔を出したのは――。



「キャアァアーーーーーーーー!!!!!!!」



やっぱり『あいつ』だった。

―――回想終了―――


ベキッ!


ベルが使っていたシャーペンの芯が音を立てて折れた。


皆馬鹿ばっか!


ちらりと窓際の一番前の席を盗み見ると女子が群がってその中心部にいる人物が見えない。


今はホームルームと一時間目の間の休み時間だ。ホームルームが終わったと同時に女子は――ベルを除く――ヴァンの周りに駆け寄り質問を浴びせている訳である。


「趣味は何?」


「目の色は元々なの?」


「好きなタイプは?」


「彼女はいるの?」


ベルはキャーキャー盛り上がる女の子達を内心馬鹿にしながら作業を進めた。


「ベルはあそこに行かないんだ?」


右隣りを見るとフィリップがニコニコしてベルを見ている。


「行かないわ。

興味ないもの。」


「本当?良かった!」


「……どうして?」


ベルがヴァンの所に行こうが行くまいがフィリップには関係のない事なのに。


フィリップは顔を少し赤くして慌てたように手を振った。


「た、大した意味はないんだ。」


「ふーん。」


カリカリカリ。


フィリップは再び口を開いた。


「あのさ、今度遊びに行かない?ショッピングでも何でもいいからさ。」


「何で?」


ベルはとことん鈍かった。


「あーえっと、ほら!僕達クラスではよく話すけど学校以外では会った事ないじゃない?

だから会ってみたいなって。」


手を止めてうーん、と考え込むように頬杖をつくベル。


男の子と二人きりか…どうしようかな。


「返事は後ででいいよ!次は実戦訓練の移動教室だしさ!」


ベルが返事に困っているとフィリップはそう言ってクラスの男の子友達のもとへ駆け寄って行った。



次から次へとされる質問。正直飽き飽きだった。


「俺移動したいんだけどー。」


ヴァンが席を立つと周りの女子達は今頃気付いたように「そうだった!移動教室!」と叫んで散り散りになった。


「ハァー。」


疲れた。


「お疲れだったね。

訓練場まで一緒に行く?」


顔を上げるとそこには、さらさらな黒い髪に黒目の150センチ位のちっちゃい男の子と、短く切った茶色の髪に鋭い目付きをした180センチ位の背の高い男子二人が立っていた。


「サンキュー。

で、誰だお前ら?」


ちっちゃい方がその質問にクスリと笑う。


「僕はケルン=ピン。同じクラスに従姉妹がいるよ。よろしくね。」


「ピン、か…それってシュメイルの事か?」


ケルンは笑顔で頷いた。


「そうだよ。

シュメイルから君の事は聞いてたよ。彼女、べた褒めだったなあ。」


「そうなのか?」


(俺何か褒められる事したっけ?


…関係ないけど、後ろのデカいヤツは無口キャラか?さっきからちっこいのしか喋ってねーな。)


そんなことを考えていると、ヴァン曰く『後ろのデカいヤツ』が口を開いた。


「はっじめましてーー!!俺の名はジャックリー=レイスル!よろしくなあっ!?」


「…違ったみたいだなー。」


「え!?

どうゆうことー!?

気になる木になるー!!」


ジャックリーはウザキャラだった。


「じゃ、木になっとけ。さ、行こうかケルン。」


「うんっ!」


「おーい!ちょっと待ってー!?」


歩き出したヴァンとケルンに慌てて付いて行くジャックリー。後に裏で『美形問題児三兄弟』という何とも微妙な名前が付けられるのはもっと後の話である。



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