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苦悩のC/二人でヒーロー

 氷から解放された俺は、澄香とともにグレイに意識を向けていた。

 いくら吹っ飛ばしたとはいえ、相手は使途を名乗る存在。こんな程度で負けるような相手じゃないだろう。


 俺たちの考えの通りに、グレイは瓦礫をかき分けて立ち上がる。


 「お前たち……」

 「許さないぞ、なんてありきたりなこと言わないよなあ?」

 「それはこっちのセリフだっつーの!私のお母さんとお父さんを殺したこと、普通に憎んでるからね」

 「てなわけだ。悪いが、殺させてもらう」

 「クソがあああ!」


 絶叫を上げながら攻撃を仕掛けるグレイ。そこには、理性のかけらも見えない。なぜかは知らないが、人間に対する恨みが爆発したようだ。


 だが、相手が冷静さを失った今がチャンス!


 「澄香!」

 「【デュアルスタンプ】!」


 澄香は、右側にある二本の腕を一本のようにまとめ上げて、地面を殴りつける。すると、地面は大きく揺れて、グレイが大勢を崩す。


 今の澄香は、突っ込んだりしないから連携がとりやすい。多分、俺が凍ってる間になにかがあったんだ。いや、きっかけがあったのかな?自分のが間違っているのは、薄々わかってたようだから。


 俺はそう考えながら、体のカラーを赤から青に変える。

 そのまま前に指を出し、グレイに照準を定める。


 「【サイコミラージュスラスト】」

 「ぐ、ぐおお……」


 俺の飛ばした一本の斬撃は、グレイの手前で数えきれないほどの量に増えていき、四方八方から斬りつける。

 その攻撃に、さしものグレイもまともしていることは出来ないようだ。


 「【クォテットバスター】あああ!」

 「がっ!?」


 俺の攻撃の後、間髪入れずに澄香が四つの拳を合わせて、グレイに振り下ろす。

 その攻撃はグレイを思いっきり前のめりにさせる。


 俺も負けじと、体勢が崩れたグレイに赤色に変化した俺が攻撃を加える。


 「【グレネードフィスト】」

 「ぐわっ!?」


 その勢いでグレイは吹っ飛んでいき、俺たちと距離が生まれてしまった。

 これまで、攻撃どころかまともに動けなかったグレイがこの機を逃すはずがなく、俺たちに巨大な一撃をぶつけようとしてきた。


 「大雅、でかいのが来るよ」

 「ああ、ていうか、オーディンとかガーディアで呼び合わないのな」

 「慣れない!少しずつ変えてくから許して!」

 「別に怒ってねえよ。二人で行くぞ」

 「うん!」


 俺たちの波長が合ってきたころ、グレイが巨大な氷のミサイルを生み出して、こちらに射出してきた。

 こちらも、負けじと陣形を組む。


 俺が澄香の前に立って、少しだけしゃがむ。簡単に言うなら「ウルトラダブルフラッシャー」のポジショニングだ。調べてくれ


 俺は、また赤から青に変わって澄香に指示を出す。


 「精密射撃は任せろ。澄香はありったけをここに!」

 「任せて!【フルチャージ】!」


 バチバチバチバチ


 俺の手元に集まる四つのエネルギーがお互いを高めあい、高出力のエネルギーがプラズマ化し、放電が始まった。

 これが、俺たちの技。二人の力だ。


 「「【ツインライトニングフラッシュ】!」」


 俺たちの放った光線は、グレイの攻撃を真正面から打ち破り爆発させた。

 一見、倒したように見えたが、あくまで偽装されたようだ。敵ながら見事な判断だ。


 「逃げられた……」

 「はあ、すまない。もっと細く一点に絞ればいけたかもしれない」

 「でも、しなかったのはあれ以上細くしたらあれを破壊できないからなんでしょ?」

 「まあそうだな。どう計算しても、あれ以下の細さだと氷を貫通するけど、破壊ができなかった」

 「ならいいわよ。どうせ、あいつとは決着をつけないといけない。いつかまた戦えるから」

 「本当にどうした?俺が凍ってる間になにかあったのか?」

 「……あったわね。芽衣にもひどいことさせちゃった。謝ってくる」

 「ああ、行ってこい。―――俺は、どうしようかな」


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 「ごめん芽衣!」


 そう威勢よく謝罪するのは阿内澄香。戸籍上は、梓芽衣の妹となっている人物だ。養子だがな。


 突然の澄香の謝罪に芽衣は戸惑いを隠しきれない。


 「な、なによ急に……」

 「私が半端な覚悟で戦ってた。芽衣はなにも間違ってなかった!」

 「そ、そんなことないわよ。家族のため、それだって立派な理由だよ。私が悪いの。わかってたのに、澄香が辛いのなんて百も承知だったのに、ひどいこと言っちゃった」

 「そんなことない!芽衣の言う通り、この力は人のために使うべきだったのよ。復讐にとらわれるのも生きる活力になるけど、でも人を助けるほうが気持ちがいいの」

 「本当に何があったの?澄香が別人みたいなんだけど?」

 「そう……?」


 こうして、澄香は芽衣と仲直りをし、いつも通りの日常に戻るのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 騒動の翌日

 俺と澄香は学校に来てない間に行われていた数学の小テストを解いていた。

 先に結果を言うなら、俺と澄香の点数はともに100点だ。一問だけ、まだ習ってない範囲の大学入試レベルの問題があったが、澄香に解法と答えを教えてやった。


 え?カンニング?まずは教師の素行を怒れよ。


 姑息な真似をしたくせに満点を取られて、心底悔しがっている数学教師は、本当に滑稽だった。

 あれだけで、ご飯三杯はイケてしまう。それくらいざまあって思った。


 あ、ちなみにこのことは、校長に報告済みだ。こんなことをしておいてただで済ませていいはずがない。

 俺たちにこの問題を出したということは、ほかの生徒にも出しているということだ。

 そんなもの容認できるかってんだ。


 数学教師は、その後校長にたっぷり絞られ、精査したら色々と横領の痕跡が見つかり、懲戒免職処分になっていた。いいざまだ。


 澄香と芽衣と言えばだが、あの二人は前ほどの距離を感じなくなった。

 なんか、俺のいない間に少しもめていたっぽいのだが、俺がどうこう言う問題でもない。


 そう!JKは複雑なんだ!


 そういえばあの場にいた研究員たちはグレイが逃げた後、なにか生体組織が落ちてないかと探していた。

 その様は、真夏の日に蟻を探している子供のようだった。


 今回はガルガウズこと神田さんが出動してこなかったが、療養中らしい。復帰を願うばかりだ。

 グレイの件は、マスコミなど各所で報道され、俺以外にも未確認が存在することが話題になっていた。これまた、敵だとか味方だとか。はたまた、この力が人類に向けられたら驚異ですなどと見当違いな予想をしている専門家たちも多く。まだまだ、俺たちを敵視する声も多い。


 まあ、なるようにはなるさ。


 俺たちは、というより澄香は一段階成長した。次のグレイとの戦いでは、もしかしたら決着をつけるのかもしれない。

ノベルピア限定でショートネタを公開しています。時間があれば、ノベルピア側に覗いていってください。

https://novelpia.jp/novel/270

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