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不思議なS/愉快犯

 先輩のデートで来ていた遊園地でガーディアに変身した俺の姿は、いつもとは違い体には青のラインが入っていた。


 この間のパワー特化型の姿とは、また違う状態なのだろう。

 ただ、なんとな力の使い方はわかる。さっきこの力が発現したのは感じていたからな。


 そして、俺は次の敵の攻撃に備える。

 現状、敵の姿が見えない。だが、声は聞こえているということは、この空間にいるのは間違いない。

 見えないだけでいる。実態はあるかもしれない。なら―――


 「【サーチスチーム】」


 俺が力を発動すると、俺の体から煙が出始めて周囲を覆い始める。


 相手の実態があるなら、そいつに当たった瞬間にドーム状に広がる煙が変形するはずだ。

 それに見つけた後も煙を出し続ければ探知は可能だ。


 まあ、それも相手の実態があることが条件。ゴンドラを宙に浮かせるような奴だ、普通なはずがない。もし、実態ごと消せるのなら探知できない。次の策を練るしかない。

 確率は五分五分より後者のほうが優勢という感じか。


 俺がそう考えていると、二つの気配が煙に引っかかる。


 片方は後ろにいる先輩。もう一つは煙でとらえている概形も人のものではない。賭けに勝った。


 「【サイコスラスト】」


 俺は、気配のするほうに向かって斬撃を飛ばす。ガーディアの状態でがある程度の超常的能力の使用が制限されていたが、この姿ではその限りではないらしい。


 そう考えているうちに斬撃は敵に命中し衝撃波を放つ。その勢いで、俺の探知煙が晴れていき、敵の姿があらわになる。


 「いってえなあ……」

 「その姿、バトルトルーパーか?」

 「あ?これを知ってるのか?」

 「知ってるさ。バトルナイフを刺すことによって、人を超能力者に変える悪魔のアイテムだろ」

 「ほとんどあっているが、一か所違うよ」

 「は?」

 「これは悪魔のアイテムではなく、神のアイテムだ!」


 ここで俺は察した。


 研究報告にあった毒素か?麻薬的効果のある。

 だが、あれは解消されたはず。もしかして、性能重視の姿に戻したのか?数年前の姿に。


 奴はもう、毒に犯されて正常な判断を下せる状態にはないということだ。

 だが、バトルナイフをあいつが持っているのも気になる。


 「あはは!いくぞ!」

 「ちっ、考え事をしてるのに!」


 敵の笑い声とともに、俺に瓦礫が飛んでくる。しかも、不思議なことに瓦礫のひとつひとつに飛行機とかについているような翼がついているのだ。


 背後には先輩がいる。周囲の人はすでに逃げている。だとしても、遊園地の再興に向けて被害を大きすぎるものにはしたくない。


 「つーわけだ。【サイコリフレクト】」

 「ち、なんだよ。お前はなんのナイフを使ってやがる」

 「俺は天然だよ」


 奴のナイフはおそらく『Wing』。翼だ。こんな露骨に翼を物体に付与してるんだ。間違いないだろう。

 そう考えつつも俺は、攻撃のすべてを力で受けきり先輩を守り切る。


 「先輩、大丈夫ですか?」

 「あ、ああ。だが、あれは……」

 「ああ、バトルトルーパーだ。だが、少し気になることがある」

 「そうか……」


 相手がバトルトルーパーと聞いて表情が一層暗くなる先輩。確かにその気持ちはわかる。自分の父親が加担していた研究が、こうして皆を泣かせている。辛いだろう。


 だが、気になること。それが分かれば、気が晴れるかもしれない。

 まずは、戦いを終わらせることだ。


 「があああああ!殺してやる!そうだ、爆撃だ」

 「言ってることが意味わからん。あれも副作用か?」

 「くたばれ、雑魚ども!」

 「なっ!?」


 翼がナイフではないのか?さすがにミサイルは飛ばせないだろう。羽を飛ばして爆発させるとか、漫画みたいな攻撃方法だと思ったら大間違い。しっかりミサイルが飛んできた。


 そういえば、さっきも透明化になっていた。もしかしたら『Wing』ではない?


 クソ、こんな攻撃はさっきみたいな至近距離防御では衝撃でなにかしら被害が出る。

 なら―――


 「【止まれ】!―――ぐっ……重い……」

 「なんだその力はよお!俺にそのナイフをよこせ!」

 「だから天然だって……クソッ、さすがにこの数はきついな」


 さすがに何十発もあるミサイルを止めるのは骨が折れる。しかも、それの方向を変えるのも苦労するな。だが、それでもこの姿はやり切れるだけの力の出力をくれる。本当に便利だ。


 「攻撃、返すよ」

 「な!?」


 俺はとにかく、ミサイルをすべて敵に集中させる。こうすれば、一点のみの被害で抑えられるはずだ。


 しかし、爆発の中から立ち上がる影がある。

 まだ、倒れねえのかよ。


 「クソったれがああああああ!」

 「そろそろ、自分が限界だということを理解したほうがいいんじゃないか?」

 「うるさいうるさいうるさい!」

 「ちっ、ただの愉快犯だと思ったら、しちめんどくせえな」


 現状、奴のナイフの名称が分からない以上、どんな能力なのかわからない。

 とりあえずまとめるなら、奴の能力は、ステルス、ミサイル、翼。どうしたものか。せめて、名前が分かれば、これ以上の能力についても推測ができるというのに。


 「じゃあ、一か八かで……アナライズ……やっぱ無理か」

 「今度は爆死だ!」


 そう言うと、奴は突然空を飛びだし黒いものを投下し始めた。


 「なんだ?」


 そう思いつつ、その黒いものを見つめていると内部エネルギーの収束を確認した。原理はわからないが、奴の言葉から爆弾だとは推測できる。

 仕方がないので、爆弾をバリアで覆ってなにもなかったかのようにする。


 だが、奴的にはそれが気に入らなかったようでわめいているが、何かに気付いたのか高笑いし始めた。


 「あはははは!わかったぞ!お前のナイフが!」

 「だから、俺は天然だって……」

 「盾のナイフだな?」

 「は?」

 「だから、さっきからお前は盾の展開しかしてない。さっきの攻撃は盾を飛ばす派生形だろ?」

 「もうだめだこりゃ……とりあえず、ボコボコにしよう」


 ―――話はそれからみたいだ。


 「【バイオレントブラスト】」


 俺は両手を前に突き出し、手のひらから数々の砲弾を飛ばしていく。それによって、敵の体は浮いてしまうが、そんなのは関係なしに滞空中にも当てていく。なかなかのエイムだろ?


 「このゴミがあああ!俺の、邪魔をするなああああ!」

 「なんだよ、まだあんじゃん」


 激情した敵は、無から機関銃を取り出し、銃口を俺に向ける。


 ナイフの名称が分かった。



 Fighterだ。

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