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不思議なS/失った少女

 ある組織の手引きによって、大雅たちの手を逃れたシャルロットは、その組織の地下研究所に連れてこられていた。

 今、彼女の前には大きな機械のような形をした石があった。


 「これは?」

 「オーパーツですよ。我々はこれを使った計画をプロジェクトOと呼称して、研究を進めています」

 「これにはなにがあるの?」

 「わかりません。ですが、この世界を揺るがしうるものがあるのは確かです」

 「私に出資する代わりに、これの研究を手伝えと?」

 「話が早くて助かります」

 「わかったわ。あの女を見返すことができるなら」


 そう言って、研究を快諾する。


 だが、彼女は知らない。この研究が世界の終末の始まりにつながる存在を復活させてしまうことを


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 例の件から数日。

 劉生高校探偵事務所には、重い空気が流れていた。


 俺たちは先日、風見宗光さんのお葬式に行ってきた。その時の風見先輩の泣いてる姿が頭から離れないのだ。

 俺たちは依頼人を泣かせてしまった。これから俺たちはどうすればいいのだろうか?


 そんな中、澄香が頭を下げる。


 「ごめん。あの時、私が力を温存してたら宗光さんを守れたかもしれないのに……」

 「澄香のせいじゃねえよ。守れなかったのは俺も同じだ」

 「ふ、2人とも頑張ったと思うよ!誰が何と言おうと、私は2人の頑張りは知ってるから」

 「ああ、ありがとうな芽衣」

 「うん、ありがとうね芽衣」


 俺たちの空気を晴らそうと芽衣が俺たちを元気づけるが、いまいちスイッチが入らない。


 「わ、私にできることはなにかない?なんでもするよ?」

 「私はいいかな」

 「俺も。芽衣もそんなに気を使う必要はないぞ」

 「で、でも、私は戦えるわけでもないから……」

 「それでもいいんだ」

 「私はっ、大雅への恩を返したいの。浮気相手役を名乗り出たのも……」


 そう言って俯く芽衣。役に立とうと思ってくれるのはうれしいが、俺には芽衣が無理しているように映ってしまう。

 自分が役に立とうとして芽衣が壊れるのは見たくないぞ。


 「浮気相手役も最近は忙しくてあんま機能してないからなくても大丈夫だ。そんなに気を張るな」

 「う、うん……。じゃあ、もう偽装カップルはいいのかな?」

 「まあ、そうだな」

 (私……いらないんだ……)


 俺は、そんな彼女の暗い気持ちを理解することができなかった。


 そして、それに気づかないまま次の依頼人を迎えた。


 コンコンコン


 「どうぞー」

 「失礼します」

 「あれ?あなたは?」

 「久しぶり、というほどでもないわね。こんにちは」


 今回の依頼人はなんと前回の依頼人、風見由香の母親である風見結城だった。


 俺たちはひとまず教室の中を少し片づけて、席を対面にするように座る。


 「で、今回の依頼は?」

 「娘を助けてほしいのよ」

 「というと?」

 「知ってるでしょ?あの子、あれから部屋からすら出てきてくれないのよ。さすがに親として心配でね。それで先生に相談したらここに相談したら解決してくれるって言われたの」

 「そうですか……。わかりました。ついては、今からご自宅に伺っても?」

 「ありがとう。今からでも来れるわ」


 こうして俺たちは、これから中々ヘビーな問題になる依頼を受けたのだった。


 ―――移動中―――


 「ここが風見先輩の家……」

 「ほら、上がって。見てくれはそれなりにあるけど、中は見た目ほどないわよ」

 「お邪魔します」


 俺は、そう言って風見先輩の家に入った。


 端的に言うと、風見先輩の家はでかかった。芽衣の家ほどではないが、一般的な家よりは絶対に大きい。

 結城さんは中はそれほどと言っていたが、明らかに中も広い。

 吹き抜けってなんだよ。俺、人生で初めて吹き抜けの家見た。あれって芸能人とかの家だけじゃないんだ。


 「風見先輩の部屋ってどこですか?」

 「ああ、今案内するわね」


 結城さんは、俺をリビングに招き入れてから俺を風見先輩の部屋へと連れて行ってくれた。

 ちなみに、芽衣と澄香はお留守番だ。こういうのは大勢で押しかけるものではない。


 そんなことを考えていると、すぐに風見先輩の部屋にの前についた。

 だが、鍵がかけられているのかは知らないが、結城さんはドアをノックして風見先輩の応答を待っている。いや、女子の部屋に無断で入ると恫喝されると聞いたことがある。それか?


 「由香、友達が来てくれたわよ」

 「……」

 「由香、とにかくドアを開けなさい」

 「……」


 そうやって応答を待つも、特に返答がない。死んでるのか?いや、ご飯は食べてるみたいだし生きてはいるはずだが。


 「困ったわね……。このままじゃ……」

 「俺に任せてもらっていいですか?」

 「そう?ごめんなさいね。本当に入られたくないのかドアのカギを中に持って行って閉めちゃったみたいで」

 「あら。まあ、俺の前に鍵なんてかかってないも同然ですよ」


 カチャ


 俺は能力を使って鍵を開け、そのままノブに手をかけ扉を開ける。


 「あれ?鍵空いてたの?」

 「そ、そうですね」


 そういえば、結城さんは俺の能力のことを知らないんだった。


 「失礼します。風見先輩いますか?」


 俺はそう言いながら部屋の中に入る。だが、視界に入るところには見当たらない。ということで、ベッドがある左側を見ると―――


 ―――一糸まとわぬ姿でベッドの上にうずくまっている風見先輩がいた。


 バタン!


 「あら、どうしたの?」

 「着てませんね」

 「へ?」

 「すう……服、着てません。下着すら……」

 「な、なんですって!?」


 結城さんは血相を変えて、娘の部屋の中に突っ込んで色々な叫び声が聞こえた後に出てきた。


 「はあはあ……もう大丈夫よ」

 「ああ、じゃあ失礼します」


 俺は、部屋に入って風見先輩の方に進む。

 そして、俺は話しかけるのだが


 「風見先輩、この前の一件はすいませんでした」

 「……」

 「俺がお父さんを守れなくて……」

 「……帰って」

 「え?」

 「帰って。今、誰とも話をしたくない」


 彼女から返ってきたのは拒絶だった。


 想定してたこととはいえ、さすがに困ったな。別に俺は女心に詳しいわけじゃない。そればっかりは本を見たところで完全に理解はできない。


 だが、彼女の気が変わったのか、それとも言葉だけで本当は誰かに話を聞いてほしかったのか、ぽつぽつと話し始めた。


 「夢を見るんだ。父さんの腹が貫かれる瞬間を何度も」

 「それは、辛いですね」

 「本当は浮気なんて疑ってなかったんだ。ただ、父さんが最近帰りが遅くて、私にもかまってくれなくて寂しかったんだ」

 「そうですか……」

 「でも、その思いが今回の結果を招いた。父さんは死ななくていいのに私が殺したんだ」

 「それは違う」

 「有藤君?」


 彼女は、自分のことをずっと攻めていたのだろう。だから、彼女が認識する前に壊れて行っているのだろう。

 だが、彼女は俺たちにもいい影響を与えるきっかけをくれた。


 「風見先輩のおかげで、俺は【ガーディア】の名をもらった。風見先輩の依頼がなければ、俺は名もないただの未確認存在でした。それにお父さんも一人で戦うことになって、もしかしたら風見先輩の知らないところで死んだかもしれないです。あなたの依頼があったから、お父さんの死に様。思いを見ることができたんですよ。そんなに責めちゃいけないですよ」

 「でも、私はどうしたら……」

 「先輩、最後に外に出たのはいつですか?」

 「葬式の日だ」

 「だったら、週末俺と―――」


 彼女の傷は俺が癒す。守れなかった俺にも責任がある。彼女の失ったものをどうにかして埋めてやりたい。

 だから、俺にできることをやる。


 「俺とデートしましょう!」

 「え?」


 ボンッ


 俺の言葉を聞いた先輩は、今まで見たことがないくらいに顔を赤く染めた。

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