勃発!Bの波乱/風紀委員長の憂鬱
最後に報告があります
「神田君、よくやったわ!」
「き、急になんですか、芹沢さん」
「あなたがしでかした、この間の件よ!」
「ああ、あれですか。あれについては後悔してませんよ。怪人に手を貸したのは事実ですが、僕はあのドレードを信じることに決めましたから」
「よく言ったわ!今日は、焼き肉おごるわ!」
芹沢は、神田の背中をたたきながらそう言う。ここまで彼女の機嫌がいい理由は、言うまでもなく先刻の一件だろう。
龍のドレード―――つまり、大雅が彼女にとって大きなものを残したのだ。
それは、シグマブレードに付着していた生体組織だ。あの戦いの後、回収された剣には、大雅の皮膚組織が残っており、解析の結果彼女の開発がまた一歩先に進んだのだ。
「これで、ガルガウズχも完成が近いわ!」
「ガルガウズ……カイ?」
「そうよ。今の装備では、ドレードに対応しきれない。でも、Ωを使うわけにはいかない。だから、新しい鎧を作ることにしたのよ。で、そのうえで行き詰ってた装甲の作りのヒントをあの生体組織から得られたのよ!」
「は、はあ……」
「それで、あの皮膚は―――」
この後、芹沢の熱弁は1時間以上も続き、神田を大いに疲れさせるのだった。
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「うーん、おいしい!」
「これはうまいな……」
「そうでしょ?父さんが、出張で買ってきた饅頭。これ、私のお気に入りなんだよねえ」
俺たちは、放課後に部室で饅頭を食べていた。
ここ数日、出張でいなかった芽衣父が買ってきたお土産だ。なんでも、これは娘である芽衣のお気に入りであるらしく、よく買ってくるものだそうだ。
ぶっちゃけ家で食べればいいと思うのだが、彼女は部室で雰囲気のある場所で食べたいというので、部室で食べている次第だ。
コンコンコン
そんな中、部室に訪問者がやってくる。
「どうぞー」
「失礼します」
そう言って、礼儀正しく入ってきた人物を俺は知っていた。というより、超有名人だ。
高校三年、風紀委員会委員長 風見由香
彼女は、超堅物の女子生徒として有名だ。しかも、お父さんは科学者として日夜頑張っているらしい。
そんな彼女が、いったいなんの用だろうか?
「風紀委員長がなんの用で?」
「シンプルだ。父の素行調査をしてほしいんだ」
「は?」
毎度思う。高校生らしい依頼はいつ来るのだろうか?
少し時間は経過して
「うーん、依頼内容はそのまま、風紀委員長の父親の素行調査でいいんですか?」
「ああ、最近、父さんが妙な動きが多くてな」
「例えば?」
「夜帰りが極端に遅い」
「研究者として、徹夜はよくあるのでは?」
「父さんは、必ず夜中の一時には帰って来ていた。なのに、最近は夜中の四時。ほぼ、朝に帰ってくるのだ」
「あー」
「お願いだ!父さんが浮気をしてないか調査してくれ!」
「浮気調査かい!」
いや、なんとなくわかってたけど!もっとこう、父さんが悪事に加担してないか!とか、予想してたから、少しだけ拍子抜けだ。
まあ、調べるか。
「とりあえず、わかった。でも、そういうのは興信所とかに行けばいいんじゃないか?」
「あいにく、私はそんな大金は持っていない。私の独断で動かせる金など、たかが知れてる」
「なんで、そんなに自信満々なんすか?」
彼女は、自分には金がないということを、ふんすとでも音が立ちそうな表情で言う。なぜ、そんなに自信を持って言えるのだろうか?
まあいい。最近は、本当に面倒な依頼が多くて(マラークがらみだったせいだが……)、今回は休み休み、やっていくか。
「じゃあ、とりあえず調査に一週間。一週間後の放課後、またこの部室に来てください。なにか緊急の連絡があったら、個人的に電話します」
「わかった。依頼を受けてくれてありがとう」
「まあ、いいですよこれくらい」
というわけで、俺は調査を開始した。
委員長の父親を見つけるのは、簡単だった。家に毎日帰っているのなら、そこから追跡できる。
そこから、父親の行動記録を表にしてまとめると
AM8:00 出宅
AM9:00 出勤
AM0:00 退勤
AM1:00 帰宅
気持ち悪いほど、これ以外に行動が存在しなかった。
家から会社までの移動も自転車。特に怪しい点はない。
なら、会社の中か?と思い、名簿に目を通したのだが、この会社に出入りしているのは、ほぼ全員が男で、女性は出入りすらしていなかった。
清掃員、宅配……多岐にわたって名簿を調べたが、結果は同じだった。
不気味なほどに、会社の従業員が男ばかり。なにか、男じゃないと都合が悪いのだろうか?それとも、ニッチすぎて女性が近寄らないのか?
どちらかはわからないが、これでは浮気は不可能だろう。一応、図書館で彼のスマホなどのアクセスも解析してみたが、ネットサーフィンすらしていなかった。
仕方がないので、俺は図書館に入り、あの会社の研究結果など、依頼人の父親が関わっている研究の資料を読み漁った。
すると、気になるものが出てきたのだが、これは報告の時でいいだろう。
そんなこんなで、俺は約束の一週間の時を迎えた。
「結果はどうでしたか?」
「俺がでいる調査の範囲だと、浮気している証拠はありませんでした」
「そうか、よかった……」
「だけど、これを見てほしい」
「これは?」
俺が出したのは、とある研究資料。
研究名は、【バトルトルーパー開発実験㊙】
「これは、委員長のお父さんが関わっている研究の資料です」
「バトルトルーパー……なんだこれは?」
「人間を生物兵器として運用する実験です。あなたのお父さんはこれに関与しています」
「そ、そんな実験が?なにかの間違いでは?」
「いや、関与している可能性が非常に高い」
「そう……なのか」
この資料の言う【バトルトルーパー】は、警察の特殊部隊といった、特別な組織のように、個々として強力な戦力を軍として扱うものだ。
しかも、強力な戦力というのは、超常的な力を差し、この実験はそれの開発をもくろんでいるのだ。
そして、この実験は恐ろしいものを生み出してしまったとあるのだが、それ以上は記録がない。
資料に記載がないのでは、俺も知ることは出来ない。だが、ここまで書かれているのなら、時期に加筆されるだろう。
「これに関しては、調べたいことはいくつかあるから、あんまり先走って父親に聞かないように」
「わかっている……」
本当にわかってるんだろうな?
この度、新型コロナウイルスに感染しました。無症状で特に変わらず、投稿を続けていくつもりですが、辛くなった場合には、突然更新が止まります。止まったら、そういうことだと思ってください。




