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怪しげなG/真実の煙

 「早く出て来いよ。俺になにか依頼があるんじゃないか?」


 俺がそう声を掛けると、物陰から少年の霊が現れた。よくよく見て見ると、先ほどのドアを開けて、会釈した霊だ。


 「お兄ちゃんには僕が見えるの?」

 「ああ、はっきりとな。でも、今は兄ちゃんってよりも、怪物って感じだよ」

 「人の姿に戻りたい?」

 「ああ、戻れるならな」


 そう言うと、少年はなにかを手繰り寄せるようなしぐさを見せて、物を手繰り寄せる。

 少年が手繰り寄せたのは、小さい香炉だった。


 「これは真実の煙と言って、その人の潜在意識に隠された本当の姿を浮き彫りにする道具だよ」

 「これを浴びれば元に戻ると?」

 「お兄ちゃんが心から自分を自分だと思っているのならね。でも、レイトに覚醒してしまった者達はみんな、自分を見失ってる」

 「わかった。やってくれ。もし、戻れなくても家族とかを守るために生きるさ」

 「わかったよお兄ちゃん。じゃあ、目を瞑って」


 俺が目を瞑ると、少年は煙を俺に向けて焚いてくる。煙に包まれる感覚を感じながらも、己を強く思い続けていると、少年が終わったことを伝えてくる。


 「終わったよお兄ちゃん」

 「ん?ああ、終わったのか」


 俺は目を開けると、自分の手を見る。


 俺の手だ。


 それから、おそるおそる鏡に映る自分を見る。

 そこに映るのは、自身の顔。


 戻ることが出来たのだ。


 「これからお兄ちゃんは、その姿が真実の姿として生きていける。だからね、次からは自分の意志でレイトになれるし、元に戻れるよ」

 「ちょっと待て、レイトってなんだ?」


 少年の話を遮って質問する。

 さっきからレイトだかなんだか知らない単語が出てきているので、話についていけていない。


 「レイトは、人間から進化した存在。人ならざる存在故に、マラークと戦う力を持つ者」

 「マラーク……あの怪物たちのことか?」

 「そう。でも、あの怪物たちが何なのかはわからない。レイトに進化しようとしている者を殺していることしかわからない」

 「進化しようとするもの……」


 だったらなぜ、芽衣の母親を殺さなかったのか。それが引っかかるな。

 まあ、今はどうでもいいことだ。


 「それを知ってるってことは、お前も」

 「うん。今から68年前に『アイスロード』に氷漬けにされて死んだんだ。行方不明ってことになってるけど、実際は見えないだけで死体はこの家の至る所にあるよ」

 「うーん。最後の情報は気持ち悪いから言わないで欲しかったな」

 「で、ここで依頼があるんだ」


 俺がいらない情報で、気味悪がっていると、少年は満面の笑みでそう言う。

 そういや、俺が探偵って言ったことなくない?まあ、いいか


 「依頼って?」

 「お父さんを解放してほしい」

 「お父さん?」

 「見たでしょ?この家の屋根に乗っかってた幽霊」

 「ああ、あれか」

 「あれがお父さん。『アイスロード』に殺されて、強い思念のもとに実態を持ってしまったんだよ。その思念はわからないけど、お父さんは物凄くマラークを恨んでる」

 「そりゃ、殺されたからな」

 「だから、お兄ちゃんの力でこの家を浄化してほしいの。なんでもできるんでしょ?」

 「滅茶苦茶言うなよ」


 まあ、依頼だ。できることはしよう。


 まず、浄化という事がどういうものなのかはわからないが、代償はどうつくのだろうか?普通に戦うより高くつくのは確かだろうな。


 これが物理的な範囲なのかどうか、俺では判断しかねる。


 「じゃあ、始めるぞ。【浄化】」


 俺が力を発動すると、俺のいた屋敷が金色に光始める。

 少しずつ屋敷から嫌な気配が消えていき、少年の霊も透け始める。浄化が進み、漂っていた邪気のようなものが薄れていくと、内装が少しだけ綺麗なっているような気がした。おそらく、能力に汚染されて家具などがお化け屋敷風に変わっていったのだろう。


 そんなことを思っていると、少年の両横に2つの人影が現れた。


 おそらく少年の両親だ。


 「ありがとう。私は死んでから能力が発揮されて、私の意志ではどうしようもなかった。だから、今回のことは本当に感謝している」

 「その必要はない」

 「そうであっても、感謝させてくれ。こうして、妻と息子とともに逝くことが出来る。ありがとう」

 「そうかい。じゃあ、生まれ変わったらレイトにならないと良いな」

 「感謝ついでに、助言をさせてくれ。君の大事なものは自分の手元においておけ。でないと、失ってしまうぞ」

 「頭の片隅にでも入れておくさ。じゃあな、おっさん」


 そう言うと、3人の霊は残念そうな顔をしながら昇天した。


 「……帰るか―――ん?」


 俺は帰ろうとすると、強力な悪気を感じ足を止める。


 今ので浄化しきれなかったのか?


 そう思いつつも俺は気配に近づき、気配の主がいるであろう、引き出しを開けた。

 中には、模造品か本物かはわからないが、干からびた眼球が入っていた。そのブツはただただ気持ち悪い。


 ただ、その眼球からとんでもない怨念を感じる。


 ギロッ


 俺は、その眼球が突然動いて、目が合ったように見えた。本当に『ギロッ』という擬音が似合うような感じで。


 「……」


 だが、特に何も起きない。いや、澄香とかが見たのはこれだろうか?だとするなら、消さないとな


 グシャ


 俺はおもむろに眼球を手に取り、握りつぶす。その後力によって生成した無の空間に放り込んだ。

 これでこの屋敷は【幽霊屋敷】と呼ばれることは無くなるだろう。


 そんなこんなで、今回の依頼は達成も失敗もしなかった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 幽霊屋敷の件から数日後


 学校では、俺が怪物という噂が流れていたが、あまりにも現実離れしていたために、すぐに収束した。


 噂の発生源は、あの日合コンに来ていた男子3人だ。あんまりにも驚いているのは理解できるが、それを言いふらすのはどうなのだろうか?


 まあ、そんなことは気にしていても仕方ないし、そもそも俺はもう教室にいることはほとんどない。

 関係のないことだ。


 あの幽霊屋敷はというと、取り壊しが決まった。


 俺が浄化の際に発した金色の光の発生に伴って、あの屋敷に行って意識が昏睡状態などの人たちが一斉に目を覚ました。などとの事で、現在の所持者が取り壊すことを決めたらしい。


 物凄いスピード決断だ。


 あ、あとこれは後で聞いた話なのだが―――














 俺が駆けつける前に澄香の両親が、マラークに殺された

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