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怪しげなG/見捨てた責任

 『装着者の意識の回復を確認。ガルガウズ、いけます』

 『神田君、待ちなさい!そのドレードはなにか違うわ!』

 「ドレードは人間を殺し続けている悪魔です!それは、こいつも変わらないはずです!宇田さん!」

 『ガルガウズシステムの全制御システムをパージ。高出力モードに移行します』


 こいつ、俺を殺す気だ。


 俺は直感的にそう思った。奴の装備している鎧から見たことないレベルのエネルギーが放出されている。

 俺も、やろうと思えばできるかもしれないが、さすがにあんな高出力のエネルギーを出すわけにはいかない。


 俺は奴の落とした剣をもう一度握りなおす。人間を殺すわけにはいかないから、先ほどの様に無理矢理エネルギーを集めるのはよそう。


 『システムハックの解除を確認。シグマブレードの安全装置オンにします』


 突然、俺の握っていた剣が出力を失う。さすがに止められるか……


 おそらく相手は、俺のことをさっきのやつの仲間だと思ってるか、それに準じた何かだと思ってるはずだ。

 どの道、今の怪人態からどうにかして元の姿に戻らないと殺されるだけだ。


 そんなことを考えていると、目の前の機械鎧の持つ銃が突然熱を帯び始めた。


 何が起きている?


 『ガンユニット、アタッチメントオン!熱放出確認』

 『流体銀酸砲、異常なし』

 「銀化顆粒弾、発射!」


 ガガガガガガガガガガガ


 機械鎧から容赦なく弾幕が降り注ぐ。俺は撃たれた部分を、弾丸を排出しつつ傷を塞ぐ。だが、異変に気付く。


 体が重い……なんだ……これ?


 (ガルガウズのガンユニットは、先刻に回収されたドレードの死体を研究材料にして開発した、対ドレード専用の弾丸を搭載している。たとえ死に達せなくても、ダメージは―――いや、体に異変くらいはあるはずだわ)


 徐々に……本当にわずかずつだが、俺の体が摩耗していってる。このまま弾幕を食らい続ければ、いずれ死ぬ。

 それは嫌だ。


 恋人も家族も失って一人だけど、それでもまだ死にたくない。いつか由愛の幸せを見届けるくらいまでは生きたい。


 『ガンユニット、熱量オーバー。リロードしてください』

 「了解です。このまま押し切ります」

 『待って神田君。敵が反撃してこない。なにかおかしいわ』

 「大丈夫ですよ芹沢さん。それだけ敵が弱っているという事です」

 『ガンユニット、リロード完了。次弾いけます』


 まだ、死ねない!俺はここで死ぬわけにはいかないんだ!由愛を見捨てた責任は果たす!岩貞と由愛をくっつけて見せる!


 「グアアアアアアアアアアア!」

 「な、なんだ?」

 「ガアアア!」

 「うぐ……」


 バチバチバチ


 俺は鎧の胸部を掴んで壁に叩きつける。それと同時に、力を具現化させて鎧の中に流し込む。すると、目論見通り、鎧が音を立ててショートし始めた。


 『胸部全損。……いえ、全武装損壊。これ以上の戦闘は不可能です!』

 『なっ……!?そんな!一撃で破壊されたの?』

 『かろうじて頭部ユニットは生きてます。映像だけは確認可能です』

 『神田君聞こえる?すぐに鎧を脱いで離脱しなさい』

 「ですが……」

 『命令を聞きなさい!あなたは今から生身で行動しなきゃいけないのよ!早く、私の言う事を聞いて!』

 「……わかりました。ですが、子供たちは保護させてもらいます」

 『宇田君。逃走用のシステムがあったでしょ。起動して』

 『わかりました』


 俺が、鎧を叩きつけた直後、突然鎧から白い煙が放出される。おそらく煙幕だ。今の一撃で鎧を動けなくした。戦闘能力を失ったから撤退を余儀なくされたのだろう。


 煙幕が収まった後、俺を残して他のメンバーは全員消えていた。


 それはそれでちょうどよかったので、俺は声を上げる。


 「早く出て来いよ。俺になにか依頼があるんじゃないか?」


 そう声を掛けると、破壊されたドアのところから小さい子供の霊が現れた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 時は進んで、大雅を除いた合コンの一行は、警察署にて保護されていた。


 7人が待機させられているのは、少し広く会議に使うのであろう机がある部屋だった。一同はここに来てから会話らしい会話をしていなかったが、澄香が会話を始める。


 「有藤君、大丈夫かな?」

 「「「……」」」

 「まさか死んでないよね?」

 「「「……」」」


 澄香の言葉に誰ひとりとして反応しない。それもそうだ。ほんのさっきまで関わっていた人間が、怪物と同じ姿になったのだから関わりたくないと思うのは当然だろう。


 ただ澄香は、自分を助けてくれた大雅を、不必要に忌避したくないのだ。


 「有藤君……」

 「な、なあ、もうやめようぜ。俺たちは何も見てない。有藤なんて奴はいなかったことにしようぜ」

 「ああ、そうだな」

 「私も、もう関わりたくない……」


 しかし、澄香の考えとは裏腹に他のメンバーは知らないふりをすることを決めようとしていた。


 「みんな!有藤君は私たちを守ってくれたんだよ!あの怪物を倒してくれたじゃん!」

 「でも!あいつは、あの怪物たちと同じだろ?なんで擁護できるんだよ!」

 「あなた達には感謝の気持ちはないの?どんな見た目をしてても、有藤君は有藤君なんじゃないの?」

 「だけど……」

 「四の五の言うな!全員、なんでここで生きていられる?なんで私は正気を保っていられる?全部、有藤君のおかげでしょ!」


 他のメンバーが、大雅に怯えている中、澄香の一喝が響く。それでも大雅の力は怖いようで……


 コンコンコン


 澄香たちのいる部屋にノックして入って来たのは、先ほど、自分たちを避難させてくれた警察署所属特殊防衛班対ドレード部隊の3人だった。


 「ちょっと話いいかな?」

 「はい……」


 メンバーたちの態度に澄香は憤りをおぼえていたが、神田の一言によって冷静になる。


 そこからは、その人たちにことのいきさつなどを話し、質疑応答は終盤に迫っていった。


 「じゃあ、あなたたち以外にはメンバーはいなかったのかしら?」

 「いえ、もう一人―――「もう一人、有藤って奴がいたんですけど、建物の中ではぐれちゃって……。もう生きてるかすらわかりません……」……あ、あんた……」

 「そう、じゃあ一応探してはみるけど、お友達が戻ってくる可能性は期待しないでね」

 「わかりました」


 ここぞとばかりに演技をする四宮に、澄香は引いた。自分が無理を言って合コンに来させたのに、この仕打ち。彼女としても許せない事だったが、対策班の人たちに話していいのかと思う。


 (ドラマとか映画とかで、こういう能力を持ってる人は研究機関で研究される描写ってよくあるよね?やっぱりそういう事ってされるのかな?だったら、言わない方が)


 そう考えた澄香は、静かにしていることにした。恩人である大雅をそんな悲惨な最後に向かわせるようなことをしたくない。


 果たして、彼女のこの選択肢は正しかったのか。澄香は、この判断のせいで―――いや、仕組まれた運命によって、戦いに巻き込まれていくのだった。

この世界は現実とは違う世界です。聞いたことのない化学物質が出てきてもそんなものは存在しないとか、現実的じゃないとか、はっきり言って意味の分からないツッコミはおやめください。

他作品のものでもそうですが、現実と創作物の中の違いを分けてください。凄く困ります

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